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雑誌目次

雑誌文献

病院39巻4号

1980年04月発行

雑誌目次

グラフ

地域ニーズに即した現代医療の展開—国立療養所神奈川病院

ページ範囲:P.293 - P.298

 創立を機に植えられた無慮500本の桜並木は,昨年で樹齢40年をかぞえ,今頃は花の盛りを競っていることだろう.
 人口約12万の秦野市東部の丘陵に建つ当院からは,登山・ハイキングコースとして都民に親しまれている丹沢・大山連峰が北方間近に迫り,西には富士が雄大な全容を現わす.15万m2余の広い敷地内には,桜,ヒマラヤ杉の大樹とともに,さつき,もっこく,もみじなどの庭木が四季折々に人の心をなごませる.これらの恵まれた自然と病院の心遣いが療養者に最適の医療環境を提供している.交通機関としては,新宿から小田急電鉄で1時間15分,大秦野駅を降りてバスで北へ3キロの道のりである.

諸橋会長再選,補佐役に徳岡,村田の両氏全国自治体病院協議会

著者: 森泰樹

ページ範囲:P.300 - P.300

 公立病院の使命は医療の公共性に徹することであることは論をまたない.だからと言って公共性の袖にかくれて必要な経営の合理化,あるいは生産性の向上に目をつむって十年一日のごとく親方日の丸経営にあぐらをかいていてもいいということにはならない.
 ここに一人の男がいる.その名を諸橋芳夫という.全国1000余の公立病院の先頭に立って公立病院の経営の健全化に命を賭けている男である.自らの病院はもちろん設備万端医療の最高水準をゆき,しかも見事な黒字経営に成功している.彼の学問にかける情熱は病院の剖検率が常に80%を超え,大学病院のそれを凌駕する一事でも明らかなことである.また腰の重い自治,厚生の両者の尻を叩いて,遂に自治医大を誕生させ,僻地医療の先鞭をつけたのも彼である.

小特集 クリニカル・ファーマシィの導入

クリニカル・ファーマシィとは

著者: 斎藤太郎

ページ範囲:P.301 - P.301

患者志向patient-orientedの薬学
 クリニカル・ファーマシィ(Clinical pharmacy)といきなり言っても,何のことだか,皆目わからない方々が多いと思う.ここではまず,クリニカル・ファーマシィとは何か,を簡単に紹介しておきたい.
 Clinical Pharmacology臨床薬理学Clinical Pathology臨床病理学Clinical Psychology臨床心理学Clinical Chemistry臨床化学Clinical Physiology臨床生理学Clinical Biochemistry臨床生化学などからも分かるように,クリニカル・ファーマシィは,我が国では臨床薬学と呼称されている.Clinic (臨床)は,今や"bed—床に臨む"の意を必ずしも持っていない.現今,clinicは<基礎>に対する<応用>の意,<動物>に対する<ヒト>の意,個に対する<集団>の意・逆に<集団>に対する<個>の意,<理論>に対する<実際>の意,<物>に対する<ヒト>とか,<死んだもの>に対する<生きたもの>などの意にアクセントを付けて表現したものである."臨床"なる語を"床に臨む—病床に臨む"と単純に語源的に理解することによって,多くの誤解を招いている.クリニカル・ファーマシィを"病棟薬学"などと解釈するのもこれに属し,誤りである.

ドラッグ・ユーティリゼーション・レビューとクリニカル・ファーマシィ—歴史的背景とその将来

著者: 川崎近太郎

ページ範囲:P.302 - P.306

臨床薬学とRational Prescribing
 Rational prescribingという概念は臨床薬学の実践において基礎になるものである.原文でその定義を示すならば,"Prescribing the right drug for the right patient, at the right time, in the right amounts, and with due consideration of relative costs."である,正しい薬を適時適量,適切な症状に対して患者に与えるべきことは当然であるが,保険制度下では投薬について経済的な制限が加えられる.適切な価格比較の考慮をもって,処方せんの決定を求めること,すなわち自由競争の資本主義国でまたは社会保障制度下での薬剤選択を合理化しようとするのは極めて困難な仕事である.
 米連邦政府HEW (Heaith, Education and Welfare)のTask Force on Prescription Drugsがいわゆるジョンソン大統領の唱えたアメリカの求めるgreat societyとしての社会保障制度下の医療対策であり,その勧告として提案されたのがrational prescribingである.具体的にはこの特別委員会最終報告は"主要知見の総括"48項目,"勧告"25項目を挙げている1)

クリニカル・ファーマシィの教育—東京薬科大学における医療薬学—専攻科教育開設の経験から

著者: 川瀬清

ページ範囲:P.307 - P.310

 本学の医療薬学教育については,従来より各所で報告し,大方のご批判を仰いできた(参考文献参照).本稿では,できるだけ既発表のものとは異なる観点から経験を述べてみよう.

アメリカにおけるクリニカル・ファーマシィの導入と展開

著者: 赤穂栄一

ページ範囲:P.311 - P.315

発展の経緯
 クリニカル・ファーマシィの歴史をたどってみると,1944年にL.W.Rising教授が初めてその概念を提唱し,続いて1953年にH.W.Youngken教授がRising教授の実践内容を論理的に記述した論文を発表したことに端を発すると言われている.両教授のクリニカル・ファーマシィに対する提唱は公に取り上げられることなく消えた.しかしながら,間接的に米国薬学界を刺激する力はあったと見るべきで,1960年代に入ってクリニカル・ファーマシィの概念,及びその実践活動に関する論文の数が次第に多くなってきた.1966年のBrodie1),1967年のParker2)の論文がその代表で,前者は,"薬剤師業務の最終的な目標は国民が薬物を安全に使用するように努力することで,そのためには薬剤師の主要な機能はクリニカルなものであるべきである"と述べ,後者は,"クリニカル・ファーマシィとは患者における安全でかつ適切な薬物の用法を強調する概念または哲学である"と述べている.このような機運の中にあって,画期的な企画が時を同じくして1〜2の研究機関で始まった.そのうちのひとつが,W.E.Smithを中心とするカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)における実験的分散薬局サービスである.これがMoffit Hos—pitalの9階に設けられた,いわゆるsateilite pharmacyである.

カリフォルニア大学ロスアンジェルス校病院病棟薬局を見て

著者: 浅井一太郎

ページ範囲:P.316 - P.319

総合病院の薬剤部の役割
 病院,殊に近代総合病院での薬剤部の仕事がどうあるべきかについて,筆者は虎の門病院の開院以来長年にわたって,漠然とではあるが,これで良いのかという疑問を持ち続けてきた.と言ってもこれは決して薬剤部の人たちが自分たちの仕事を怠けていたということではない.あくまで総合病院における薬剤部のあり方がどうあるべきかということであって,虎の門病院の薬剤部は日本の病院の常識的な範囲の働きについては,かなりの,いやそれ以上の働きをしていたことを十分に評価しているつもりである.
 こうした漠然たる疑問の上に立って,何年か前に,薬剤部で実際に仕事をしている薬剤師諸君がどのような考えを持っているかを知りたいと思い,次のような質問をしたことがある."薬剤師として,現在のように,終日薬局の中に閉じこもって,処方の調剤や注射薬の補給業務に専念しているのが本来の業務と考えるか,あるいは病棟に進出して投薬業務をも分担するのが正しい方向と考えるか"と.筆者は後者に賛成という答えが多いことを予期していたのであるが,集まった回答は予想に反して,"薬剤師は薬局内で仕事をするのが本来の姿と考える"というものが大部分であった.

特別寄稿

高度安全病棟の設備と運営—東京都立荏原病院特殊感染症病棟

著者: 瀬尾威久 ,   松原義雄

ページ範囲:P.320 - P.324

 近年,航空機による海外との交通が頻繁となるにつれ,日本人も広く世界各地に進出するようになり,本来は日本に存在しないいくつかの感染症まで我が国に移入される機会が増えてきた.予防あるいは治療によい手段のある疾患に関しては比較的問題が少ない.例えば痘瘡には種痘,マラリアには予防内服をすることにより,ほぼ発病を防ぐことができる.しかしながら,よい予防・治療方法がなく,致命率の高い,本来はアフリカ原住民の疾患であると考えられるラッサ熱,マールブルグ病,エボラ出血熱などがヨーロッパ,アメリカなどに移入された事実から,いつこれらの疾患が日本に移入されるかしれない.既に我が国でも1976年2月接触者5人が発生した際に,政府はラッサ熱を指定伝染病とした.その後,東京都は,国の要請に基づき,国庫補助を受け,1979年7月に東京都立荏原病院に高度安全病棟を建設し,ラッサ熱を始めとする危険な感染症を収容することとなった.既にこのための診療班が結成され,患者入院に備え,定期的に研修が実施されている.

ほんねたてまえ

看護の勤務体制に柔軟な発想を

著者: T.K

ページ範囲:P.324 - P.324

 精神科医療の多様化は精神科勤務者だけでなく,一般の人々にも次第に明確になって来ていると思う.例えば私の勤務する都立松沢病院においても,救急医療,身体病治療,老人医療,リハビリテーション,中毒対策など,どれ一つとっても真正面から取り上げてゆかなければならない大問題である.
 ところで,こうした多様化して来ている医療に対して,どのような体制で当たるかという医療側の体制をどうするかという問題になると,どうもたて前と本音とが分かれて来てしまうようである.

精神病院医療の展開

福間病院におけるデイ・ケア

著者: 佐々木勇之進

ページ範囲:P.325 - P.328

 公的・民間病院を問わず,デイ・ケアに関心を持つ人人から,民間病院でデイ・ケアを行う際の困難性の有無,またそれを乗り越えるにはどうすればよいか,などについて,しばしば尋ねられた経験がある.しかし,この質問は,筆者自身には無意味な質問に思われたので,今まであいまいな返事しかしてこなかった.今回も,同様な趣旨の執筆依頼であり,あまり気もすすまないが,渋々ながらも筆を執ることにした.
 さて,筆者が最も興味を持っているのは,分裂病である.とりわけ,看護,リハビリテーションには,強い関心を示してきた.福間病院は,分裂病病院をもって特色としてきた.

リハビリテーション・その現状

本院と分院のリハビリテーションの連携の経験

著者: 渡辺淳

ページ範囲:P.329 - P.332

 一般病院が,リハビリテーションを実施する際の問題点の一つとして,リハビリテーション専門病院との医療連携の困難さが常に取り上げられる1〜3).その原因は,①リハビリテーションを必要とする患者数から見るならば,リハビリテーション専門病院が絶対的に不足しているため,予約から入院までに長期間を必要とすることが多いこと,②リハビリテーション専門病院は,総合病院でないため,高度な医学的管理を必要とする患者の入院は敬遠したり,看護体制が弱いため日常生活動作(ADL)の能力の低い患者を制限するなどの問題がある.更に,③我が国では,リハビリテーション専門病院が温泉地など患者にとって遠隔地にあり,家族や地域社会から切り離されるため,リハビリテーション専門病院への転院は容易でないことにもよる.これらの弱点により,患者にとって必要な時期に必要なサービスが受けられず,一般病院では在院期間が長期化する一因となり,結果として家庭復帰や社会復帰が遅れることになる.
 筆者は,リハビリテーション専門病院(中通リハビリテーション病院)に勤務しながら,一般病院(中通病院)に毎週1回リハビリテーションのコンサルテーションを行っている.本稿では,その経験を紹介しながら,一般病院とリハビリテーション専門病院との医療の連携について論じてみたい.

設備機器総点検

ナースコール

著者: 陣田泰子

ページ範囲:P.333 - P.333

 年々拡大してゆく病院の中で,いかに患者の要求に応えるか,現場に働く看護婦にとって重要な問題である.ナースコールは各種使用されているが,当院では,一病室一回線方式の自動交互通話ナースコールインターホンを使用している(図1).

統計のページ

病院経営分析の実態・1—「病院経営分析調査」(全国公私病院連盟,昭和54年6月より)

著者: 森福省一

ページ範囲:P.334 - P.335

調査の目的と調査に協力した病院
 前回,紹介した病院経営実態調査—病院経営収支調査—と同時に,毎年6月に行われる調査である.
 この調査は,病院の部門別人員,科別診療行為別収入,手術,検査,調剤,放射線,給食などの業務量を調査し,病院経営収支調査の情報とリンクさせて結果を表章している.

医療の周辺 生物学—最近の話題・6

生態学・行動学の視点と医学

著者: 長野敬

ページ範囲:P.336 - P.337

 現代生物学の発展が医療に及ぼしてきた影響は,前回まで繰り返し触れたとおり,もっぱら分析的・分子生物学的な側面を中心としていた.脳での精神機能のように,ものごとを総合的に見ざるを得ない局面でも,最もめざましい成果のいくつかは,向精神薬,神経作用ペプチドなど,個々の物質をとらえるという形で得られてきた.
 しかし現在の生物学のうちに,こうした分析的・"還元主義的"なものとは対照的な方向でも,重要な展開がなされていることを見逃してはならないであろう.それは生物の個体を研究対象とするのでなしに,個体から出発して生物の世界の論理をとらえようとする方向である.これを大きく分けて標語をつければ,生態学(ecology)及び行動生物学(ethology)と呼ぶことができる.

講座 入門・ME機器の正しい使い方・8

観血式血圧モニタの正しい使い方

著者: 小野哲章

ページ範囲:P.338 - P.339

直接法と間接法
 血圧の測定には二つの方法がある.マンシェットと聴診器および水銀柱によるものと,血管内に,生理食塩水で満たしたカテーテルを挿入し,血圧を体外に導き,血圧トランスデューサで測定するものの二つである.前者は間接法もしくは非観血式(血を観ない方式の意)と呼ばれ,後者は直接法もしくは観血式と呼ばれる.
 間接法は,道具も手技も簡単であるが,ショック状態の異常低血圧時には測定できなくなる.直接法は,機器を必要とし,手技も比較的面倒であるが,どんな状態でも測定できる.また血圧波形も観測できるので,手術中や術後ICUなどで,モニタ用に使われる.

実務のポイント 放射線 診療放射線技師の役割・5

放射線業務の能率化—むだをなくすために

著者: 松谷一雄

ページ範囲:P.340 - P.341

 病院の中で放射線部門は中央診療システムの一部門として採用され,多くの総合病院の機構の中で重要な役割を果たしている.中央化は病院管理の手段として,診療に必要な設備を一か所に集め,病院内の全科が共同で使用し,診療面からも運営の面からも能率良く効果的に業務を行うためである.中央放射線部だけでなく他に中央手術部,中央検査部,中央材料部なども同じである.
 放射線業務の能率を考えるときに,放射線科のあり方,あるいは中央放射線部のあり方が問題となってくる.このことが各方面で論議されたのも,合理的な運営のための手段が中心であったと思える.我が国では施設面のみ中央化している所が多いが,中央化の採用については長所短所があって,問題点の解決には今日なお時間を要するのではないだろうか.

ハウスキーピング

委託業務の運用と費用の算定(1)

著者: 近藤英二

ページ範囲:P.342 - P.343

 病院を取り巻く諸事情によって,本来,病院の職員が行うべき作業が,病院の外部の者に委託して行われるようになり,この傾向は年々増加している.そして,当然,その費用も増えてきている.そこで,この管理が適正を欠くと,委託に出した一つの要因でもある経費の削減が好転せず,金をみぞに捨てていることになりかねない.

看護

病棟における事故と対処の仕方

著者: 萩屋恵子

ページ範囲:P.344 - P.345

 入院患者の年齢層は最近徐々に高くなって来ているが,それに伴い臨床看護の場においても患者の安全ということが基本的な大きな問題となって浮かび上って来ている.

現場訪問

横浜市立市民病院看護科小児病棟保母 井上ま津江さんに聞く

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.346 - P.347

 一横浜市立市民病院は,昭和35年の開設と同時に,保母さんを導入したと聞きましたが,その動機はどのようなことだったのでしょうか.
 井上当院の開設は昭和35年ですが,私たち保母は翌年から赴任しました.当時の小児科医長の小島正典先生と磯口総婦長さんが,新たな構想で,保母の導入に努力されたようです.小島先生は,入院児に対しては全人的発育が歪められないような入院生活を送れるように,病院はその体制をとるべきだという考え方を持たれ,情緒面にも力をそそぐ看護の一環として保育の必要性を言われていました.

新病院建築・28

中央鉄道病院病棟(I)—建築計画の立場から

著者: 中祐一郎

ページ範囲:P.349 - P.354

 中央鉄道病院では新しい高層病棟が昨年末に落成し,雄大な改築構想が芽生えて以来,25年間にわたる全体改築事業がほぼ完成した.以下2回にわたり,本号では新病棟の全体計画について建築計画者の立場から,そして次号では各部計画を中心にユーザー側の計画担当者の立場から紹介させていただく.
 この改築事業について,私共は関係諸分野の数多くの学識者の方々の御指導をたまわった.とりわけ吉武泰水(九州芸工大),守屋博(順天堂大),田口正生(田口建築設計事務所)の三先生には古くから御指導をいただいてきた.また全国の多くの病院で見学や調査をさせていただき貴重な計画上の示唆を得たことも多い.長い間に御恩をうけた諸先生,病院関係者の皆様に厚く御礼申し上げる.

海外の医療

イタリアの国営医療への転換

著者: 久保田章市

ページ範囲:P.355 - P.360

 イタリアでは,医療保障制度の改革がなが年の懸案となっていたが,1978年12月に「国民保健サービス法」(1978年12月23日法律第833号)が制定され,79年1月1日から施行された.これにより,いよいよ80年から国民保健サービス制度が発足することになった.これはイタリアの医療保障制度を,従来の社会保険方式から,イギリスでみられるような租税を財源とする国民保健サービス(NHS)方式に転換するものであり,極めて注目に値する改革である.
 イタリアの医療保障改革の動きは,数年前から我が国でも関心が持たれていたが,特に,1978年12,月に「国民保健サービス法」が制定されてから,社会保険関係者をはじめ一般の人々にも次第に知られるようになった.そして,この改革の目的は何か,なぜ改革が行われたのか,新制度の内容はどういうものか,医者の身分はどうなるのか,新制度はいつから実施されるのか,などの関心が寄せられた.

いま民間病院は

病院機能の充実と職員の待遇改善—私の病院運営を振り返って

著者: 今給黎満幸

ページ範囲:P.361 - P.364

病院の規模と性格
 当院は財団法人今給黎病院と称し,民法34条の非課税公益法人「財団法人昭和会」の運営となっている.
 現在325床,職員270名(常勤医12名,非常勤医15名),内科・小児科・外科.消化器科・整形外科・理学診療科・放射線科・麻酔科を標榜している特殊な民間病院である.

寄稿 チェーン・ホスピタル

勤務医の立場からみた徳洲会病院—本誌特集第38巻第10号「チェーン・ホスピタル」を読んで

著者: 山本智英

ページ範囲:P.365 - P.367

 本誌54年10月号特集「チェーン・ホスピタル」に各界より様々な意見が寄せられた.これらの意見は医療への期待と現実の医療の矛盾,チェーン・ホスピタルへの疑問と提言,徳洲会の掲げる理念についての疑問などに整理することができる.組織としての医療は医療の基本的要素である医師と患者のほかに土地,設備と技術,資本を必要とするが,チェーン・ホスピタルについての議論は主に後者をいかに効率よく運営するかという経済的立場より論じられている.そこで現在の困難な医療の現実の中で良い医療を提供するために医療の実践者である勤務医の立場でチェーン・ホスピタルの問題を考えてみたい.またこの機会をかりて若干誤解されている我々の徳洲会の理念について説明ないし弁解を加えたい.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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