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雑誌目次

雑誌文献

病院39巻7号

1980年07月発行

雑誌目次

特集 省エネルギー時代の病院

病院における省エネルギー

著者: 川北祐幸

ページ範囲:P.565 - P.567

 昭和48年秋の石油ショック以来しばらく安定していた国際的エネルギー問題も,イランの政変を機に,非常に不安定になった.産油国は資源の有限化を意識し,あらゆる面で,有効的に石油を利用する政策に転換している.
 日本は戦後35年のあいだに,GNP世界第2位にまで発展したが,終戦直後は米国の50分の1だったことを考えると大変な成長である.「省エネルギー」という言葉は昭和48年の石油ショック頃から盛んにつかわれるようになったが,当時は高くなったエネルギーをいかに上手に使うか,100のエネルギーで,110のものを生産しようという意味で理解していた.しかし,今回の「省エネルギー」とは,いかにエネルギーを使わないようにするか,すなわちエネルギーの節約である.更に進めて省資源である.

エネルギー供給不足時代への対応

著者: 矢内正一

ページ範囲:P.568 - P.572

はじめに
 1978年10月末,イランの石油労働者のストライキが始まった時,その後に引き続く世界の混乱を予想した人はほとんどいなかったに違いない.しかし事態の進展は人々の予想を上回る早さで進み,中東の石油大国,ペルシャ湾岸一の軍事大国イランに君臨したパーレビ体制はもろくも崩壊し,ホメイニ師の指導するイスラム共和国が成立した.革命の動揺期に1日500万バーレルにのぼるイランからの輸出石油が世界市場から消え,サウジアラビアを中心とする他の産油国の増産努力にもかかわらず,スポット市場での石油価格は上昇を続け,また,数次にわたる産油国の石油価格の引上げが行われた.その結果1973年の第1次石油危機後の不況からようやく回復しつつあった世界経済は,再び石油価格上昇によるインフレーションとの戦いを迫られている.

病院建築面での省エネルギー設計

著者: 柳沢忠 ,   谷口元

ページ範囲:P.573 - P.575

 病院建築の省エネルギー設計においては,直接エネルギーを消費する付帯設備面での工夫が主役であるが,建築の形状・空間の広さ・外壁の断熱・開口部の扱い等あらゆる面での工夫が必要となる.後者を建築面と総称して具体的な省エネルギー設計の方法を述べてみたい.

病院設備における省エネルギー

著者: 井上宇市

ページ範囲:P.576 - P.578

はじめに
 世界的な石油事情の悪化と,これによる石油はじめ電力,ガスなどのエネルギーコストの急上昇により,すべての建築は省エネルギーを強いられているが,特に病院はエネルギーの多消費型の建築であり,その要求は一層きびしいものとなる.
 建築設備の省エネルギーにおいて,どの建築にも共通なことは,建築あるいはこれに含まれる設備機器,生産機械,医療機能などの機能を害することなく省エネルギーを行うことが必要条件である.この点,官庁において言われている室内温度を夏は26℃より28℃,冬は22℃より18℃にすることは病院のごとき空調が病人の一つの療養条件になっている場合は無意味である.

省エネルギーの工夫

著者: 岡崎禮治 ,   大島民郎 ,   阿久津慎 ,   宇佐美敏男 ,   深津稔 ,   飯田基 ,   上林三郎 ,   水野精巳 ,   望月和昭

ページ範囲:P.579 - P.588

上天草病院
天然の利を活用
 上天草病院は,病床200,医師13を含あて,職員数185,看護専門学校(学生定員90),天草郡市医師会臨床検査センターを併設している,人口7,000の僻地の町,竜ケ岳町立の病院である.昭和39年に開設されたが,当初より冷暖房完備など,僻地感払拭のために,デラックス志向のゆき方をしてきた.
 また,医療の地域完結のため,不採算行為は敢えて行ってきたが,開院以来,年度決算で黒字を続けており,その総計は2億4千万円に達している.これは病院の全職員が衆知を集めて省エネルギーに工夫をこらしてきたからであると思う.エネルギー関係では,僻地立地であることから都市型病院にはみられない欠点と,その裏返しの利点とがこの上天草病院にある.

代替エネルギーの活用例—ソーラーシステムの導入

著者: 上田喜久男

ページ範囲:P.589 - P.595

内外から注目されている
 近畿大学は,常に新しいエネルギーの研究開発に努力してきた.昭和36年には私学で初めて原子炉に火を燈したのに続き,昭和52年6月,医学部附属病院の神経科病棟・講堂で,我が国初の大型太陽熱利用による冷暖房給湯システムの運転を開始した.また昨年8月,東大阪の大学本部法学部校舎増築工事に伴い,更に改良した同規模のソーラーシステムの試験運転も稼動した.太陽熱利用は「オイルショック」以後通商産業省工業技術院の「サンシャイン計画」に基づいて,政府,メーカー等で研究開発が進められてきたが,本学の真空ガラス管形集熱器及び低温式吸収冷凍器は,石油資源枯渇化による省エネ時代の到来で,内外から注目を集めている.今回本誌の特集企画に当たり,医学部神経科病棟・講堂の実測データ及び経済評価等について報告する.

グラフ

包括的老人医療を目指して—洛和会音羽病院

ページ範囲:P.557 - P.562

 京都駅から車で東に20分,周辺に水田が拡がり,名神高速京都東インターが交叉し,滋賀県大津市がすぐ隣に接している地点に,コンパクトながらも予防からリハビリに到る,すべての機能を備えた老人専門の総合医療施設が誕生した.この3月21日にオープンした医療法人社団洛和会音羽病院(346床,院長榊田博)である.
 医療法人社団洛和会(理事長矢野宏)の施設としては,これまでもアレルギー喘息専門の矢野医院,二次救急医療を中心とした丸太町病院(170床,院長矢野 宏)がある.かつては結核患者収容施設であった京都中央市民病院が京都市立病院に移管された後の京都市西北地区の医療の空白を埋めるべく,丸太町病院を設立した矢野理事長は,最近急速に発展した京都の山科周辺地区の綿密な医療ニードの調査を行い,ここに老人を中心とする500床目標の高度機能病院の出現をみたわけである.

日本病院会理事会の唯一人のナースの参与聖路加国際病院総婦長 内田 卿子さん

著者: 高橋シュン

ページ範囲:P.564 - P.564

 聖路加国際病院の管理棟の入口の所に総婦長室があります.セントポーリヤの鉢植を背にし,いつも穏やかなお顔でお仕事をされているのが内田総婦長さんです.内田さんは,東京下町で生れ,熊谷高女を卒業,昭和24年に聖路加女子専門学校を卒業されました.卒後一年間の臨床経験の後,下関にある梅光女学院高校の保健の教諭として赴任されましたが,29年看護主任として再び聖路加病院に迎えられ,2年後には婦長に抜擢されています.社会的活動も,看護協会,日本病院協会等の看護に関する委員また母校の看護管理の非常勤講師,評議員等々,大変忙しく活躍しておられます.特に,日本病院会理事会のただ一人のナースの参与であることもうかがっています.
 彼女は,どんな場においても,その場その場に相応しい内容で,しかも弁舌爽やかに話される方です.話下手な私は,いつも感心し,うらやましくも思います.200名余りのスタッフを抱えられていますが,彼女の興奮して人に接しているところは未だ一度も見たことがありません.常に冷静にことを運んでおられますが,冷静過ぎるととる人もあるようです.日本舞踊,書道などを修められるなど日本女性らしい奥ゆかしさを持っておられることは余り知られていないかも知れません.

ニュース

診療録の「普及」と「活用」を討議—第4回日本診療録管理学会/リハビリテーション医学専門医制度が発足—第17回日本リハビリテーション医学会総会

著者: 編集室

ページ範囲:P.567 - P.567

 第4回日本診療録管理学会(会長=藤野臻策県立ガンセンター新潟病院部長)が去る6月4,5日の両日,全国から関係者多数を集め,新潟市東映ホテルで開催された.今回は,平沢興元京大総長による「仕事への奉仕」など特別講演2題をはじめ,シンポジウム2題及び一般演題36題の発表のほか,指定課題「X線フィルムの管理—マイクロ化を中心に」がもたれた.
 学会第1日に行われたシンポジウム「診療録管理の普及のために」では,主宰の酒井隆子氏(京都市立病院)は診療録管理士の立場から,診療録の本質のPR,管理室の設置,担当者の教育・育成などを提言.また共同主宰者の高橋政祺氏(杏林大学)は資格制度にふれ質の面を考慮すべきであると述べ,続いて演者の発言に移った.

岐路に立つ病院の未来を探る—第6回日本病院学会

著者: 編集室

ページ範囲:P.619 - P.620

 第6回日本病院学会(会長:村田勇・富山県立中央病院長)は"現代医療の実像と未来への指向"をテーマに,さる6月6日から8日にわたって富山市の県民会館,農協会館など3会場に分かれて行われた.特別講演3,シンポジウム2,教育講演3,一般演題は200題を越え,医師はじめ,ナース,栄養士など若い女性の参会者の姿が目立った.各演題とも岐路に立つ病院の現状とその打開策という問題に深く彩られていたのが,今学会の特色といえよう.

設備機器総点検

冷蔵ロッカー

著者: 橋本佳子

ページ範囲:P.597 - P.597

 一般家庭で今や冷蔵庫は一年を通じ生活必需品となっているように,病院でも病棟の冷暖房装置が普及するにつれて冬期も含め冷蔵庫が入院患者の必需品となってきている.食物・飲物・果物・お見舞品等の患者の個人的な食品を看護婦室で保管することは,管理上からも衛生上からも無理なことであろう.
 当院では病室内への冷蔵庫の持ち込みを禁じている病棟を対象に,昭和52年8月より冷蔵ロッカーを4か所に配置し患者の需要にこたえ好評を得ている.

統計のページ

病院経営分析の実態・4—「病院経営分析調査」(全国公私病院連盟,昭和54年6月)より

著者: 森福省一

ページ範囲:P.598 - P.599

医師1人1日当たり診療収入
 医師1人1日当たり診療収入を,表12及び図7に示した.
 総数について見ると,入院では163,000円,外来では80,000円,計243,000円となっている.

医療の周辺 人間工学—病院建築への提言・3

トラフィック(人の流れ)

著者: 古川俊之

ページ範囲:P.600 - P.601

 病院の混雑はしばしば指摘される問題の一つである.かつては外来の雑踏は日本の病院につきものの欠点であるかのごとき議論もあったが,アメリカの総合病院でも外来診療の機能が重視されるようになると,同じような混雑風景が見られるようになった.予約制度があっても混雑に変わりがないということは,建物の構造にも一半の責任があることを思わせる.
 実際に総合病院内の人の流れを調査した結果によると,①各部門の配置が良くないために複雑な流れとなる,②診察,検査,薬局などの部門でそれぞれ30〜60分の待ち時間がある,③移動に要する時間が無視できない,などが明らかにされている.また料金前納方式が移動回数を増すこと,短い時間帯に受診者が集中することも指摘されている.更に詳しい分析では,部門間の移動に要する時間はボアソン分布となると予想されるが,現実には更にすその伸びた形となる.つまり自然なバラツキによって説明できない移動時間の遅れがみられる.そうした例からインタビューによって事情を調べると,目的とする場所が見当たらなかった,方向を誤って回り道をした,という回答がほとんどである.もちろん待ち時間を予想して,入院中の知人を見舞いに行ったという要領の良い人もあるが,これは例外である.

講座 解説・新しい医療機器・1

Computed Tomography(CT)

著者: 久保圭弘

ページ範囲:P.602 - P.603

 実用機としてのCTは,1973年6月,米国Mayo Clinicに初めて設置され,日本には1975年8月,東京女子医大に導入された.
 爾来,その優れた診断性能と,患者に苦痛を与えないことから,急速な普及を見,現在米国に約1,500台,日本には約900台が稼働している.

現場訪問

柳原病院地域看護課 大沼和加子さんに聞く

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.604 - P.605

 昭和26年診療所として東京の下町・足立区に開設された柳原病院(91床)は,地域に出ていく医療に積極的に取り組んでいるが,52年2月,専任で訪問看護を行う地域看護課を作り,日の出,旭,東,柳原の4町,人口3万人,一辺約2kmの三角形の地域を対象として訪問看護,往診を行っている.この地域は荒川と隅田川に挾まれた人口密集地で家内零細工場が多く,住民は低所得者層が大半を占める一方,いわゆる下町風で人情味がある.この街を白衣のまま自転車で飛び回り,街の人からも親しまれているのが,当院地域看護課の大沼さんである.現在,スタッフ3名で一人一日5〜6件,月200件の訪問を行っている.

実務のポイント 会計・経理

経理事務のチェックポイント(2)

著者: 山崎義男

ページ範囲:P.606 - P.607

財務諸表
1.財務諸表の様式は適切か
 医療機関としては病院会計準則(昭和40年12月10日厚生省医務局編)の別表第1に勘定科目表,また別表第2の1に損益計算書様式,別表第2の2に貸借対照表様式が示されているので,まずこの様式を基本的に取り入れるべきであろう.しかしながら利益金処分計算書(案)と財務諸表付属明細表についてはなんらの様式も示されていないので,企業会計原則関係の諸様式,商法,税法,証券取引法などの諸規則で定められている各種様式の中から採用するか,またはこれらの様式を参考にして各自で制定することになる.
 いずれにしても監督官庁,上部組織,金融税務関係など外部関係者が,医療機関の財政状態,及び経営成績に関する判断を行うための情報を提供するという目的に合致した様式によって,期中における資産,負債,引当金,資本などの増減,移動を合理的に明瞭に記入できる様式が必要である.

看護

病棟における物品管理

著者: 浅井民

ページ範囲:P.608 - P.609

 私が管理する内科病棟は定床51床で,職員数は看護婦12名,准看護婦3名,看護助手2.5名,病棟事務員1名の計18.5名である.約50名の患者が,日夜,健康回復のための治療を受けながら生活をするのであるから,使用される物品は多岐,多量にわたることはいうまでもない.物品を広義にとれば,リネン類,薬品,事務用品,医療用消耗品,医療用備品等種々あるが,ここでは狭義の物品として,一般消耗品,医療用消耗品,医療用備品について考える.
 病棟の看護業務に必要な物品の管理を行うことは病棟婦長の責任であるが,婦長の責任の第一は患者看護にあるから,物品管理に費す時間と労力はできるだけ少なくしたいと考えている.この解決には,看護部門外,例えば資材課等の関係が大きく関与することはいうまでもない.病院全体として,能率的で確実な管理制度を打ち立てなければならないという前提に立って,私自身が日頃物品管理のポイント,目標として考えていることは,次のとおりである.

医事

診療費の算定と請求事務—手作業の場合

著者: 盛田利代雄

ページ範囲:P.610 - P.612

 当院では,医事業務の中央化と伝票制度の採用を行っている.そのため医療行為の診療報酬算定のすべてを伝票制で行い,算定の熟練化による成果を期待している.
 昨今,ますます医療技術が高度に専門化されていく傾向にある病院医療にあっては,医事課職員としてもそれに対応できる精度の高い医療事務が要求されるので,診療費の算定と請求事務の知識を十分向上させるよう,実践的な教育訓練の場を多くする努力を怠ってはならない.

新病院建築・31

労働福祉事業団総合せき損センターの設計

著者: 山本晴生 ,   今田栄二

ページ範囲:P.613 - P.618

 昭和51年から54年にかけて,労働福祉事業団と,雇用促進事業団とによって計画・建設された"総合せき損センター"は,せき髄損傷患者を短期間で社会に復帰させることを目的として,治療から医学的リハビリテーション,職業的リハビリテーション,職能評価,職業指導までを行おうとする,我が国で初めてのせき髄損傷の一貫した治療施設である.
 せき髄損傷の治療は,まずその傷害をうけた直後から治療・機能回復訓練を始める=早期の治療が大切=といわれるように,治療・機能回復訓練を始める時期が外傷治癒後の麻痺の状態に影響する.事故現場からすみやかに患者を収容することが,短期社会復帰の第一歩である.このためこのセンターには,運動場を兼ねてヘリコプターが到着できる場所も設けられている.

精神病院医療の展開 対談

児童精神病棟—その2・思春期病棟の現状と課題

著者: 小倉清 ,   後藤彰夫

ページ範囲:P.621 - P.626

どんな患者が入院しているか
 後藤まず,思春期患者の病棟には,いったいどんな患者が入っているか,あるいは入りたいと希望してくるかという問題があります.
 そこで,まず関東中央病院にはどんな児童の患者が入院するかをうかがいたいと思います.

リハビリテーション・その現状

大田病院リハビリテーション科の医療

著者: 沢浦美奈子

ページ範囲:P.627 - P.630

はじめに
 城南福祉医療協会大田病院は,東京都大田区大森東にあり,172床の市中における中規模病院である.土地柄は,昭和25年以前にはのり製造業が盛んであったが時の流れとともに海が汚染され,転業せざるを得なくなっている.木造アパート群と金属加工の機械工場(家内工業的)ができ,ちょうど京浜工業地帯の一角で住宅地と工業地帯とが半々という土地となった.したがって古くからいる土地の人たちは比較的大家族が多く,農村型であり,6畳一間のアパートに引っ越して来た人たちは,地方から上京した若い独身者または若夫婦と子どもということになる.アパート住まいの人たちは概して生活に余裕がなく,住宅条件もたいへん悪い.ひとり暮らし老人もかなり多い.生活保護患者の割合は,外来では約1割,入院患者は2割に近い.
 大田病院は,診療科としては,内科,外科,小児科,整形外科,歯科,肛門科,胃腸科,婦人科,皮膚科,泌尿器科,呼吸器科,循環器科,理学診療科があり,常勤医数32名,歯科常勤医数5名,常勤職員数233名である.

いま民間病院は

若手院長の作った透析病院—東京都町田市・あけぼの病院

著者: 南郷英明 ,   青木亘 ,   小笠原道夫

ページ範囲:P.632 - P.637

医師会の反対にもめげず
 小笠原この病院はいつオープンなさったのですか.
 青木一昨年の11月1日です.その前,約2年半,病院を作る準備をしながら,約500メートルくらい離れたところに,あけぼのクリニックというのを作り,透析専門にやっていたわけです.

読者の声

患者さんの椅子

著者: 下司孝之

ページ範囲:P.637 - P.637

 病院の入口はなぜ,三寸高いのだろうか.数多い身体障害者の車イスを寄せつけない建築が安くもない設計料を支払って,なぜいとも平然となされているのだろうか.そんな疑問から新病棟の建設を機に,車イスで入れる病院を目指してみた.
 そうすると車イス用のトイレが6階におしやられたり屋上への段差が乗り越えられないままに残ってしまったりしたが,健常者の発想からは得られない考え方を知ることができた.

ほんねたてまえ

我々国民が医療費の使い方を考える/士農工商

著者:

ページ範囲:P.639 - P.639

 医療保障ということばがある.国民の医療は国が保障するということであるが,打ち出の小槌ではあるまいし,国が印刷するお札で国民の医療を行うというお話にはならぬ.健康保険はお互いの保険であるが,国庫の金を持ち込むとなると,うえのにおいが漂ってくる.国庫の金もまた納税者によるものであることを忘れがちになる.
 国民が担当するその医療費が10兆円に達してしまった.国民1人当たり年額10万円のこの費用はやむところなく増え続けるものと見込まれている.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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