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医療の周辺 社会学(家族関係論)—老人と家族・3
老親扶養の居住形態
著者: 奥山正司1
所属機関: 1東京都老人総合研究所
ページ範囲:P.64 - P.65
文献購入ページに移動 ここでの目的は,老親扶養と居住形態(Living Arrangement)のかかわりを老人問題の脈絡の中で明らかにすることである.また,ここで言う老親扶養とは,家族的扶養に限定し,親の側から子への扶養を意味するのではなく,もっぱら老親に対する子からの扶養を意味している.
ところで,親世代が必ず結婚して子どもを持ち,また同様に子の世代も必ず結婚することを前提にして考えれば,これまでの老人層は,人口学的にみて老後をみてもらえる子ども夫婦が老親夫婦1組に対しておおよそ3組あった.もちろん,その場合,老親は子夫婦のうち1組の子夫婦に依存すればよいわけであるから,他の子ども夫婦はそれほど扶養負担を感じなかったというのが大方の事実である.ところが,今後(21世紀以降)の老人層は,一夫婦当たり平均すればせいぜい1組の子夫婦しか持たないことになる.したがって,もし,子夫婦の側に突如,扶養できなくなる事態が生ずれば,他の子夫婦がいないばかりでなく,子どもによる扶養を期待できない老親が著しく増加することが予想される.それがここ数年来,ひとり暮らしや老夫婦のみの世帯が大幅に増加していること(もちろん,これだけの理由ではないが)に端的に示されている(表3).
ところで,親世代が必ず結婚して子どもを持ち,また同様に子の世代も必ず結婚することを前提にして考えれば,これまでの老人層は,人口学的にみて老後をみてもらえる子ども夫婦が老親夫婦1組に対しておおよそ3組あった.もちろん,その場合,老親は子夫婦のうち1組の子夫婦に依存すればよいわけであるから,他の子ども夫婦はそれほど扶養負担を感じなかったというのが大方の事実である.ところが,今後(21世紀以降)の老人層は,一夫婦当たり平均すればせいぜい1組の子夫婦しか持たないことになる.したがって,もし,子夫婦の側に突如,扶養できなくなる事態が生ずれば,他の子夫婦がいないばかりでなく,子どもによる扶養を期待できない老親が著しく増加することが予想される.それがここ数年来,ひとり暮らしや老夫婦のみの世帯が大幅に増加していること(もちろん,これだけの理由ではないが)に端的に示されている(表3).
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