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文献詳細

雑誌文献

病院40巻3号

1981年03月発行

文献概要

随想

早春

著者: 鈴木辰四郎1

所属機関: 1長野赤十字病院

ページ範囲:P.235 - P.235

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 北信濃の春は遅いと言われているが,春の兆しは早くから現れはじめている.
 12月22日は冬至であるが,この日は一年中でいちばん短い日である.冬至を境にして昼間が伸びてくるが,昔の人はそのことを畳の目がひとつずつ伸びてゆくと表現した.極めて徐々にではあるが昼間の伸びてゆくことはわかる.しばらくの間そのことは気付かれないほどであるが,新しい年が明ける頃になるとだれの目にもわかるほどになる.今までは南の空に低かった太陽も,いつしか頭上高く明るさを増して,物の象(かたち)も一段と鮮明に映るようになる.厳しい寒気の中にも春の気配が,そこはかとなく感ぜられるのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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