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小特集 都立病院の財政再建をめぐって
都立病院の使命と経営合理化
著者: 木下二亮12
所属機関: 1成城木下病院 2前東京都医師会病院
ページ範囲:P.480 - P.483
文献購入ページに移動 東京都は昭和55年11月14日「東京都公営企業等財政再建の方策」を発表した.東京都が直接経営している17の都立病院産院が,昭和54年末には231億円の累積欠損金をかかえており,昭和58年度には154億円の収支不足を生じ,累積欠損金は690億円に達するものと予測されると指摘し,これに対する財政再建の方策を打ち出している.筆者は昭和45年4月から昭和54年3月までの10年間,東京都医師会の病院担当理事を務めてきた.その間,日進月歩の医学の進歩を踏まえて,東京都民のための医療の確保対策を関係者と深く検討するとともに,そこで得た結論の実現に努めてきた.すなわち,都における医療体系の整備の一環として,"都立病院産院のありかたと役割"について東京都医師会長と美濃部前都知事との間に合意をとりつけ,更にその具体化について東京都に意見具申するとともに,その実現のため都の関係者に協力し努力してきたのである.そのような立場から,今回の"財政再建の方策"(以下「再建案」と略)について,この機会に意見を述べ,東京都民の医療福祉向上に資するとともに,他の自治体あるいは国が地域医療計画を策定してゆく上で,参考にしていただきたいと念願する.
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