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文献詳細

雑誌文献

病院40巻6号

1981年06月発行

文献概要

医療の周辺 物理学・1

医学物理学者と放射線治療

著者: 尾内能夫1

所属機関: 1癌研究所物理部

ページ範囲:P.504 - P.505

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 放射線物理学はドイツのRontg-enがX線を発見した1895年に始まる.放射線治療はその翌年,ドイツのVoigtが鼻咽頭癌にX線照射をしたときから始まり,1899年にはスウェーデンのSjögrenとStenbeckが皮膚癌のX線治療に成功している.そのころはX線の性質もよく分かっていなかったろうから,放射線物理学の進歩とともに放射線治療も進歩していったに相違ないし,放射線治療には放射線物理学者の協力が必須であったと思われる.欧米ではこの必要性が固定化し,制度化されていて,医療の中に物理学者のポストがある.コンピュータ断層(com-puted tomography,CTと略す)の原理を提唱してノーベル賞を受賞したCormackも,アフリカのケープタウン大学で放射線治療のための物理を担当していた学者である.医療の中で物理を担当している学者を医学物理学者あるいは病院物理学者と呼んでいるが,日本ではあまり知られていない.欧米では物理部をもつ大学の医学部,医学系研究所あるいは病院が多数あるのに,日本では放射線医学総合研究所と癌研究所にあるだけである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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