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特集 設備投資と技術革新 技術革新の現状と将来
X線機器について
著者: 梅垣洋一郎1
所属機関: 1癌研究所放射線科
ページ範囲:P.560 - P.562
文献購入ページに移動近代医学は解剖学から始まったが,現在でも生体の解剖学,つまり画像診断が医療の基盤となっていることはいうまでもない.画像診断の歴史をふり返って見ると,20世紀の前半はX線が主であったが,戦後はこれに核医学イメージング検査が加わり,更に血管撮影が急速に普及した.しかしこの時期までの画像診断はいわば2次元の画像であった.断層撮影法はあったけれど,その役割は補助的なものであった.この状況はX線CTと超音波診断法の進歩により一変した.X線CTは人体の横断(縦断)面を極めて精細にしかも定量的に描出することができるし,超音波診断特に電子スキャン法では生体の器官の動きを3次元的にリアルタイムで観察することができるようになった.その結果,臨床医がCT,超音波等の診断の後に治療方針を定めるのが通常となってきている.高額医療機器の代表であるCTの増加を防ぐために,異常に低い健保点数の設定などの抑制策が取られているにもかかわらず,CTの設置台数は1980年1月末の841台から1981年1月末の1306台2)と実に1年間に約500台も増加した.超音波診断装置については数字の持ち合わせがないが,CTをはるかに上回る増加である.
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