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病院職員のための医学知識
肝炎ウイルス
著者: 志方俊夫123
所属機関: 1国立予防衛生研究所病理部 2日本大学医学部病理 3長崎大学熱研防疫
ページ範囲:P.54 - P.55
文献購入ページに移動昔カタル性黄疸と呼ばれていた肝臓の病気が,臨床的にまた疫学的にウイルスによる伝染性疾患であろうと推定されたのは1920年代から1930年代にかけてであった.1940年代には弘好文,MacCallumらによって人体接種実験が行われている.しかしB型肝炎ウイルスがみつかったのは1960年半ばBlumbergがオーストラリア抗原を発見したのを契機にしてであり,A型肝炎ウイルスがみつかったのは1970年代半ばと実に長い期間を経過した.ここで既にA型,B型ということを述べたが,ウイルスがみつかるかなり前から疫学的,臨床的に2種類のウイルス性肝炎が知られていた.流行性肝炎と呼ばれ,食物,水などを介して経口的に感染するA型肝炎は戦争などに関連して,また平時も地域的に大流行を起こした.一方,B型肝炎は黄熱病などのワクチン接種などによって感染し血清肝炎と呼ばれていたのである.
臨床的にはA型は潜伏期が短く,B型は長いとされた.しかし現在は既にA型肝炎とB型肝炎の全貌はほぼ明らかにされ,既に治療とか予防とか対策の段階に入っている.B型肝炎ウイルスは血中に存在するので輸血によって多くのB型肝炎患者が発生した.
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