icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院41巻11号

1982年11月発行

文献概要

病院精神医療の展開

病院精神医療チームにおける看護者の役割

著者: 稲岡文昭1

所属機関: 1国立公衆衛生院衛生看護学部

ページ範囲:P.987 - P.990

文献購入ページに移動
 現代はアイデンティティの危機の時代と言われているが,精神科看護者の役割も,今日,アイデンティティの危機に見舞われている1).これは今日の精神医学の動きと精神衛生の考え方に基因するものと思われる.
 精神病が悪霊にとりつかれた不治のいわゆる"気狂い"の病として取り扱われた時代には看護者は患者の保護拘束,監視,食事の世話などを,更にマラリァ熱療法,インシュリンショック療法,電気ショック療法などが精神科治療の中心になると,その治療介助を,というようにその役割は明確であった.向精神薬の登場により,看護者の役割も医師の従属的機能から,生活療法すなわち生活指導,作業療法,レクリエーション療法の担当者としての役割を担うことになった2).生活療法を中心とした看護者の働きかけは,確かに病院内での日常生活行動の自立をもたらした.しかし,生活療法は必ずしも患者が社会復帰する過程で直接的に力とはなりえず,また,いったん社会復帰した患者も再三再四入院を繰り返し,いわゆる"院内寛解"しかもたらさないのではないかと疑問視する声も出てきた3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?