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病院職員のための医学知識
臨床免疫学の進歩
著者: 塩川優一1
所属機関: 1順天堂大学内科
ページ範囲:P.146 - P.147
文献購入ページに移動免疫(immunity)というのは,その名の示すとおり,病気を免(まぬか)れるという意味です.すなわち,昔は腸チフスなどの伝染病がよく流行したのですが,一度そのような病気にかかると2度と同じ病気にはかからないか,またはかかっても軽くて済むということが分かっておりました.そこで1798年,Jennerは種痘を行い,1度牛痘にかからせることにより痘瘡を予防するという方法を始めたのです.そしてその後,多くの学者の研究により,まず病原体が体内に侵入するとそれを抗原(antigen)として抗体(antibody)が産生されるが,その後再び抗原が侵入するとこの抗体と結合してそれを無害にする,これが種痘の原理だということが分かりました.そして,微生物に限らず蛋白質,その他大分子の物質が抗原となり得ることが分かり,抗原を投与して抗体を作る現象を免疫と呼ぶことになったのです.現在,免疫,及びそれに関係する現象について研究する学問を免疫学と呼んでいますが,免疫学は特に最近になって大きな発達を遂げております.
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