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特集 医療評価の導入
病院における医療評価の導入
著者: 紀伊國献三1
所属機関: 1筑波大学社会医学系
ページ範囲:P.201 - P.204
文献購入ページに移動「医療」という言葉は様々に使用されている.日本病院管理学会の用語委員会では「医師による専門的診療を中心にして,それに関連する周辺行為を含めたものをいう」と定義している.ここでは,「医療」は「診療」を含むそれより広義なものを意味している.それならば,「医療評価」とは診療を中心とするが,その周辺行為を含むものの総合評価ということになる.「評価」を辞典的にとらえれば「物の価値を決めること」となろうが,この場合,医療評価の概念がいわば英語の翻訳語であることに注意する必要がある.Auditを「評価」と訳すことから始まった用語であることは,病院管理研究所講義要綱などからもうかがうことができる.
すなわち医療のAuditを医療評価と考えることができよう.Auditとは「監査」と英和辞典が記すように会計的用語として使われることの多い語であるが,これは管理過程の一部,すなわちPlan-Do-SeeのSeeの部分に相当する活動である.定義的には,それゆえに医療評価とは「診療を中心とする周辺行為の目的達成のための管理統制行為」と言うことができよう.そして会計的な監査がそうであるように,行われた行為をあらかじめ設定された基準と比較して,その差を測定して差を縮小するための努力を行うことがその内容となるであろう.その際に医療行為の量的面は客観化されており,問題となることは,医療行為の質の面での評価であろう.
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