病院精神医療の展開
病院と地域の接点を探る—宮城県村田町の家族会活動を通して
著者:
相澤宏邦1
所属機関:
1宮城県立名取病院
ページ範囲:P.255 - P.258
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病院と地域の接点というと病院と地域が相対峙して存在し,お互いに共通項を模索し合うような視点でとらえがちであるが,そもそも病院は地域の中に含まれているものであり,地域を構成する様々な状況と多面的にかかわり合いながら存在しているはずである.地域の中に存在しているいろいろな資源や人々と病院は有機的にかかわりながら,院内の患者一人一人の社会復帰への足掛りとして指向して行かねばならない.病院が患者を退院させようとするとき,あるいは退院した後,あるいは入院をさせないで外来で治療を行おうとするとき,患者は地域の中で,どのような人々に出会い,また施設に出入りして援助を受けるようになるのか.また,病院はそのような人々や施設とどうかかわって行くことができるのか.本稿では,宮城県村田町でのいわゆる地域精神衛生活動,中でも家族会活動を通して精神病院とのかかわりを見てみたい.
家族会は町内にある施設資源をどう利用し,また,人的資源をどう活用しているか.保健婦,精神衛生指導医など医療スタッフは,この家族会活動をどのように援助しているのか.病院側はこのような地域活動をどれくらい活用できているのか.また活用しようとしているのか.これらいくつかの事柄について考えてみたい.