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老人医療と福祉の課題
老人保健医療と福祉のシステム化
著者: 磯典理12
所属機関: 1大手前女子短期大学 2大阪大学医学部
ページ範囲:P.451 - P.455
文献購入ページに移動我が国における今後10年,20年における人口老齢化の速度は,先進国においてさえ経験したことのないほど急速なものであることが予想される.加えて1975年以降,経済成長の鈍化に伴って国の財政状況が悪くなり,福祉の分野に対して,ニードに応じて資源配分を増やすことが難しくなってきた.そこで乏しい資源配分をより有効に働かせるためにも総合化と効率化が強く叫ばれている.更に世界的な動向として人間の健康を直接医療だけに結び付けず,生活,住居,家族関係,地域社会等を踏まえて保健医療福祉の活動をシステム化しようという方向になってきている.
病弱老人や寝たきり老人を考える場合,純粋な医療技術適用の分野と生活機能に対する介護ケアが常に混合重層して,いずれを主,いずれを従とするかの基準はないが,我が国では医療に関する保障が先行する型で進んできた.その結果,昭和55年度で総医療費が12兆円と第一次産業の生産高と同じにまで伸びて国の予算を圧迫するようになってきた.
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