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病院職員のための医学知識
胆石症診療の進歩
著者: 大菅俊明1
所属機関: 1筑波大学臨床医学系内科
ページ範囲:P.702 - P.703
文献購入ページに移動胆石はエジプトや中国のミイラからも発見されるとおり,人類が始まって以来の病気です.昔は胆石自体を魔除けに使ったりしていましたし,また癪と呼ばれる激しい腹痛の発作の原因になることも知られていました.胆石は胆嚢炎を伴ったり,腹痛発作を起こしたり,日常もっとも頻繁にみられる消化器疾患の一つでした.しかし疼痛に対して優れた鎮痛剤,胆嚢炎のような炎症に対しては抗生物質,更に胆嚢ごとに胆石を摘出してしまう手術療法が完成されるに至って,胆石症という病気は致命的でなくなりました.その結果,今日ではもうそれほど恐くない病気として考えられるようになり,患者側も医師側の関心も薄れていた状態でした.
ところが最近再び胆石症に対する関心が高まってきました.その理由は大きく言うと次のようになります.まず胆石がなぜ起きるかということがこの10年くらいの間に急速に分かってきたこと,最近胆石が増加していること,日本人の胆石の種類に変化がきていること,手術をしないで胆石を溶解する治療法が開発されたことなどであります.
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