文献詳細
文献概要
中小規模病院の運営
中小国保病院の使命と現実
著者: 山口昇1
所属機関: 1御調国保病院
ページ範囲:P.721 - P.725
文献購入ページに移動戦後,国民皆保険に伴って全国各地に国保直診が開設された.その設立目的は地域住民の健康管理,保健予防活動から治療,更にリハビリテーション(以下リハビリと略す),社会復帰までをも含むいわゆる包括医療をすすめることである.この包括医療を地域に実践することが直診の使命であると言えよう.「地域医療」という言葉が使われ出してから久しいが,元来,地域医療とは地域に包括医療を実践することであろう.中でも中小国保直診は,開設当初よりプライマリー・ケアの担い手として地域の中に根をおろしてきた.大分県東国東広域病院の籾井院長は「プライマリー・ケアとは単なる初期医療の意味ではなく,最も重要な基本医療のことであり,それにはプライマリー・ヘルスケアとプライマリー・メディカルケアの二つがある.しかもこれらを総合した"地域ケア"が今後の医療の主軸をなすであろうが,そのリーダー役が可能な最短距離にあるのが国保直診である.」と述べている.また,昭和55年徳島市で開催された第20回国保地域医療学会でも「国保診療施設とプライマリー・ケア」と題してシンポジウムが行われた.このときも国保直診はプライマリー・ケアを地域にいかに実践していくか,種々の面から検討,論議された.いずれにしても,中小国保直診がプライマリー・ケアの担い手であることには変わりはないと言えるのではなかろうか.
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