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老人医療と福祉の課題
老人のぼけの実情と課題—東京都の実態を中心に
著者: 柄澤昭秀1
所属機関: 1東京都老人総合研究所心理精神医学部
ページ範囲:P.808 - P.813
文献購入ページに移動 ぼけ老人の問題に適切に対処するためには,まず老人のぼけの社会医学的な実態の把握が前提とならなければならないことは言うまでもない.ただ,診療所や病院を訪れるぼけ老人はぼけ老人のうちのごく一部にしか過ぎないから,医療機関における医師の観察や経験のみから,ぼけ老人問題の全貌をとらえることは難しい.どうしても一般家庭の中のいわゆる在宅ぼけ老人の実態を知ることが必要であるが,この種の調査はそれを実施するのに様々な制約や困難が伴うために,これまであまり行われておらず,在宅ぼけ老人の実態を示す最近の資料は世界各国いずれにおいても乏しいというのが実情であった.もっともこれまでに信頼し得る調査報告が全くなかったわけではない,Primrose8)—スコットランド(1962年),Nielsen8)—デンマーク(1963年),Kay8)—イングランド(1964年),Bollerup1)—コペンハーゲン(1975年),そして我が国では新福ら12)—島根県隠岐島(1955〜58年),金子ら5)—奈良県橿原市(1956年)等の業績が知られているが,これらの多くは1950年代あるいは1960年代に行われた小地域内での調査である.
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