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雑誌目次

雑誌文献

病院42巻1号

1983年01月発行

雑誌目次

特集 医療施設間の連携

施設間の連携の必要性とその方向

著者: 川北祐幸

ページ範囲:P.17 - P.19

 医療機関の連携という言葉は,すでに多くの方面で使われている.地域医療計画,救急医療対策,医学教育などを考える場合,今日の社会組織の中では,医療機関が単独でその目的を達成することは困難なことを示していることだと思える.
 しかし,いまだに大部分の医療機関は,昔からの流れの中にあり,合理的理論は分かっていても,自己完結型を指向している.大学病院の関連病院の獲得,病院のチェーン化,専門病院なども社会の中にあって,ある機能を強化し,また分散させ,病院のみならず,すべての保健医療機関の新再編成にのっとったものではなく,自分の病院の立場からの結果にしか過ぎない.

「地域医療計画」と施設間の連携

著者: 倉田正一

ページ範囲:P.20 - P.23

 我が国の病院はまことに自由に設立されてきた.もちろん綿密な地域分析の上で計画的に建てられたとは言えまい.経営主体は私的を中心に国立,公的,公的性格を有するものなど20種を超えている.これらがいわば乱立し,競合しているのである.この中には,国立病院の多くが昔の軍病院の引き継ぎであった例を別にしても,最初の設立目的を失っているものが多くある.貧者のために,農民のために,官公吏のために,看護婦養成のためにといった種々の設立目的は皆保険体制,公的扶助により消減したとみてよい,そしていずれの病院も「地域住民のために」互いに無関係に活動を続けているのが現状である.さて,このような現状の中で地域医療計画だ,施設間の連携だと言ってみても,お話としてはまことに結構であるが,本当にできるのか,いったい入院患者を他病院に転送したことがあるのかということになる.
 悪いことに,計画と聞くと思い出されるのは昭和34年の厚生省による医療機関整備計画案である.戦後焼土の中から,すべての国民に適正な医療を受ける機会を均等に保障せんとする議が持ち上がったことは当然であった.この問題には焦点が二つあった.一つは医療費負担の問題であり,他の一つは医療機関の問題であった.前者は国民皆保険と医療扶助を進めてゆくとしても,医療機関のないところでは医療は受けられない.そこで無医地区とか医療機関の適正配置の問題が注目を集めたのである.

専門センター病院と一般病院の連携—神奈川県立の病院を例として

著者: 須川豊 ,   前田実

ページ範囲:P.24 - P.27

 専門病院と言えば,古くから結核療養所と精神病院があった.しかしそれらと一般病院や診療所との連携は,近時の専門病院のように問題ではなかった.
 近代になって,がんセンターや循環器センターなど成人病センターのごとき疾患別専門病院,小児病院や老人病院のような年齢別対象,またリハビリテーション病院のごとき手技別センターが建設された.その上,交通救急センターや休日診療所のような,目的別と言える施設もできた.そしてこれら施設は国が定めたシステムがないので,開設者や管理者の方針,また地域医師会などの考え方によって,様々な運営がなされている.

救急医療における施設間連携の実態

著者: 内村博

ページ範囲:P.28 - P.32

 東京都における救急業務は,昭和11年に消防機関によって開始,昭和27年10月「消防関係救急業務に関する条例」が制定され,その後,昭和38年4月「消防法」の一部改正により救急業務が法制化され,全国統一的に実施されるようになった.
 更に東京都では,昭和48年3月「救急業務等に関する条例」の改正を行い,救急処置や医師の現場要請,応急救護技術の普及などを明確にして都民の期待に応えてきた.

千里地域医療計画とその後の展開

著者: 吉岡観八

ページ範囲:P.33 - P.36

 大阪府(企業局,衛生部)は,千里ニュータウンを造成するに当たり,大阪府医師会,歯科医師会,薬剤師会とともにニュータウン医療のあり方を検討の結果,そのシステム化を図ることに決定した.すなわち,12住区に分割してあるタウンのそれぞれの地区ごとに計画的に各科の診療所を配置し,その中央施設として新千里病院を設立した.この際,診療所と病院が有機的に連携して一体となり地域医療を組織化するため,新千里病院をオープン・システムとしたわけである.日本で始めての公的オープン・システムによる地域医療体制への試みであった.
 かくて,アメリカと医療土壌の違う日本でこのような地域医療のあり方が適切に運営されるかどうかのテストケースとして一石が投じられたわけであるが,その成否については従来関係者に多大の関心を呼んできた.

施設間連携の経済的効果—脳卒中医療・リハビリテーションを例として

著者: 二木立

ページ範囲:P.37 - P.42

医療費抑制時代と施設間連携の意義■
 我が国の医療費問題は,1970年代の高騰時代から1980年代の抑制時代へと,その様相を一変させた.臨調路線の先取りと言われた一昨年6月の医療費改訂に続いて,本年1月には診療報酬アップなしの薬価基準切り下げ,2月には老人保健法実施が行われるなど,財政危機を理由とした政府の医療費抑制策が本格化している.
 従来,医師・医療従事者は医療技術の進歩に医療費増加が伴うのを当然視する傾向が強かった.しかし,もはや今までのような医療費急増は望めず,今後は,医師・医療従事者にも,医療の質を落とさないで医療費・医療資源を効率的に利用するという,新しい努力が求められてくるであろう.

医療情報化時代の施設間の連携

著者: 若松栄一

ページ範囲:P.43 - P.45

 近未来における地域医療機関の連携を考えてみる前に,今後10年間に世の中がどんなに変わるのだろうか,そうした変化の中で医療機関がどう対応していくのだろうかを考えてみたい.
 18世紀から20世紀前半にかけてはエネルギーと動力を中心とした産業革命があった.20世紀後半からは情報革命と称される第三の革命が進行している.高分子化学,セラミックス,アモルファスあるいはバイオテクノロジーなどは革新的技術開発であるが情報革命とは直接的関係はない.情報革命の担い手はC&Cと言われるコンピュータと通信技術の統合である.その中でもコンピュータの驚嘆すべき開発が起動力であった.しかもその展開はわずか30年そこそこの短期間であった.それなしでは宇宙開発も,ロボット化産業もオフィスオートメーションもあり得ない.医学面でもCTも超音波その他の画像機器もまた各種自動分析装置もあり得ない.

グラフ

地方には稀な高機能をを誇る—国保水原郷病院

ページ範囲:P.9 - P.14

 新潟市から東に20キロ余り,阿賀野川を越えてまもなくの水原町(羽越線)は"瓢湖の白鳥"でつとに有名である.昭和25年,人工の用水池に過ぎなかった瓢湖に舞い下りた白鳥の餌付けに5年がかりで成功,以来,冬期間シベリヤから飛来する白鳥の数は年々増加を続け,現在2,500羽にも達している。
 水原町周辺は東に五頭(ごず)連峰をのぞむ広大な水川単作地帯であるが,この周辺5万の住民の医療を一手に担っているのが国保水原郷病院である.

開設者大原孫三郎氏に感謝と敬意 倉敷中央病院院長 藤岡十郎氏

著者: 内藤行雄

ページ範囲:P.16 - P.16

 藤岡院長と私はクラスメートであり親友である.親友であると思っている人は私のほかに多数いるのではなかろうか.それだけ彼は抱擁力があり,人から信頼される資質をもっている.人の価値はどれほど多くの人々に信頼され親しまれるかの数量により定まるものとも言えるが,そんな点で彼はずばぬけた人間である.
 学校出たての彼は文字どおりの白晢の美青年外科医で堂々たる体躯,明快な決断に多くの女性のアイドルであり,私どもも一種の畏敬を感じた.

ニュース

「老人医療のあり方」を発表—全国公私病院連盟,他

著者: 編集室

ページ範囲:P.36 - P.36

 全国公私病院連盟(五十嵐正治会長)は11月19日,「老人医療のあり方について」の中間報告を発表した.これは本年2月施行の老人保健法に関連する保健医療や診療報酬の考え方について提言したもの.中間報告内容は次のとおり.

設備機器総点検

マルチブレンダーミルBL−1型

著者: 高取和郎

ページ範囲:P.49 - P.49

 現在,どの施設でも軟膏類はほとんどメーカー製品を使用している.一方,量は少なくても各病院の特性のある院内製剤を使用している施設も多いようである.このような製剤の少量を練合するに適当な機器は少なく,中小病院で使用する手頃な機器は少なかった.
 当院では,製剤機器とは別の目的で製作されたマルチブレンダーミルBL−1型を用い,軟膏類の製剤に使用している.マルチブレンダーミルは本来,固形物を液状,ペースト状にする目的で製作されたものであるが,軟膏類の製剤,その他に利用するのに場所もとらず手軽に使用できる.

講座 病院経営分析入門・22

採算性の検討と改善(3)

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.50 - P.51

 採算性を改善するには,第1にできるだけ増収を図ること,第2に固定費の増加を抑制し,できれば減少させること,第3が限界利益率を高めることである.
 前回までの計算で,収益については11.7%の増加が見積られ,固定費部分の増を対前年比で6.7%にとどめる可能性が検討された.

病院職員の基礎知識 診療科の知識

内科

著者: 高久史麿

ページ範囲:P.52 - P.53

臨床医学の基
 内科についての説明をということであるが,もともと医学は内科から始まったと言っても過言ではない.内科学の中にはその病気の原因や起こり方を解明する病態生理から診断,治療までが広く含まれているが,その中の病態生理をより詳しく専門的に研究すべく分かれてきたのが基礎医学である.また治療法の中で外科的な処置すなわち手術を要する治療法として分かれてきたのが外科で,その手術に関連する,いろいろな学問を研究するのが外科学である.
 更にまた内科の中から小児科が分かれてきた.それは小児が成人と違った病気の種類を持ち,また同じ病気でも起こり方,経過その他が著しく異なるからである.小児の生理的及び病態生理学的な特異性を研究する学問として生まれてきたのが小児科学である.同様な意味で老年病科も分かれてきた.

医療制度の知識・1

我が国の医療保健制度の概要

著者: 藤崎清道 ,   北川定謙 ,   矢野周作 ,   土居真

ページ範囲:P.54 - P.54

 一国の医療保健制度を概観する場合にはその基本的枠組みを構成するものが何であるかを明確にする必要があります.ここでは表に示した枠組みを用い,我が国の医療保健制度を特徴づけると考えられる項目に焦点をあてて説明していくことにします.

ケーススタディ・人の管理

賭け事にこって借金を抱えた調理師

ページ範囲:P.55 - P.55

〔事例〕
 調理師のA君は,当院の給食課に勤務して既に15年目を迎えたべテランで,年齢は38歳,既に10年前に家庭を持ち,2児の父でもある.
 本人は極めて社交的で人づき合いがよく,だれからでも好感を抱かれる人柄で真面目に勤務していたが,ふとしたことから賭け事にこり出したのである.それに生まれつきの酒好きなことも手伝って,私生活がだんだん荒れるようになり,やがてそれが勤務にも支障を来すようになって来たのである.例えば同僚のことばによれば,A君は早番勤務の前夜は必ずと言ってよいくらい,徹夜麻雀をして勤務に出てくるようで,その時は目はつり上がり,だれかれとなくあたり散らし,器具の取り扱いも乱暴で仕事が粗雑になっているとのことである.

事務長のページ・病院の運営管理

部門別原価計算の活用

著者: 黒田幸男

ページ範囲:P.56 - P.57

原価計算の考え方
 一般企業は原価計算を販売価格決定のために実施している.しかも,その計算過程における作業単位ごとの原価結果によっては,工程管理の合理化や原材料選択の変更などにより,いかに生産原価を安くできるかに努力を傾注している.
 この原価計算は,①製品原価の計算,②一定期間における生産原価の計算,③各部門の価値生産に要した原価の計算,④事業全体の原価の計算,などがその内容である.ただ,これらは単独に行われるのではなく,相互に関連する分類集計作業を通じてトータル化されているものである.

統計のページ

看護職の現状・2—病院正職員看護職の労働実態—設置主体別

著者: 高橋博子

ページ範囲:P.58 - P.59

 日本看護協会会員実態調査(昭和56年10月)資料に基づく正職員の労働条件について,病院設置主体別のクロス集計を前号に引き続き報告する(調査の詳細は『日本看護協会調査研究報告<No.18>昭和56年会員実態調査』を参照されたい).

税務QアンドA

使用人兼務役員の判定

著者: 森久雄

ページ範囲:P.60 - P.60

 問 医療法人社団ですが,先日の税務調査の際,事務長兼理事,副院長兼理事について,従来ずっと認められていた使用人部分の賞与は新しい通達(55年5月)によって,認められない,と言われ修正申告を求められました.
 その理由は,定款の理事に関する規定中に,代表権を有しない旨の定めがないからだと言います.そこで,県医務課当局に定款改正の意向を打診し,「理事は,常務を処理する.ただし,代表権を有しない.」というように,傍線部分の付け加えを申し出たところ,「理事長は,法人を代表し業務を処理する」と傍線部分の代表権集中規定があるので,その必要はない.と言われました.

インタビュー

静和会浅井病院臨床心理士 武内三二さん

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.61 - P.61

 <9名もの臨床心理士を擁していると聞いたのが,インタビューのきっかけとなった.昨年,創立35周年を迎えた浅井病院は,九十九里平野の田園に囲まれた355床の民間精神病院で,3万坪の敷地に入ると,ガラス張りピラミッド型の運動療法棟を始め近代的な施設が明るい開放感を与え,棟舎を結ぶ歩道を挟んで椿花が咲き競っていた.臨床心理といえば,役割や身分の不安定さ故に,その専門用語をもじってアイデンティティが云云されることしばしばであるが,9名のリーダーである武内さんに,その辺に焦点を絞ってお話を伺った.>

新 病院建築・61

東京逓信病院の設計

著者: 野々村俊夫

ページ範囲:P.65 - P.71

建設の経緯
 旧東京逓信病院は逓信省技師山田守の設計によるもので,日本近代建築史上,合理主義建築を代表する名建築と言われた.この病院は昭和12年8月に完成し,翌年2月に診療を開始している.当時としては斬新な中央化をはかった手術・中央材料部門に欧来の最新の医療機器を揃え,高度に整備された病院として,高い評価を得たものであった.この病院は日本近代建築史上に確固とした位置を占めるのみならず,病院建築の歴史という観点から見てもパビリオン式ブロック・タイプの病院建築の最右翼に位置するものと言われ,一つのエポックを画したものと言うことができる.しかし半世紀にわたって名作の名をほしいままにして来たこの病院も,近年に至って益々多様化する医療供給体制によって,老朽狭隘化し,近年の医療技術の格段の進歩,機能の変化に対応しきれなくなり,抜本的改善への社会的要請に応えざるを得なくなった.このため昭和41年郵政省内に東京逓信病院拡張計画協議会が設置され,本格的な建設計画へのスタートが切られた.

老人医療と福祉の課題

ライフケアシステム—診療所と病院とを結ぶネットワーク

著者: 佐藤智

ページ範囲:P.72 - P.75

はじめに
 医療は人類の歴史と共に始まった.人間が死の恐怖から逃れたい,病気の苦痛や痛みを除きたいという願望は,古今東西を問わず変わらない.
 そのために「医師」という専門職が生まれ,後に「病院」という専門の「場所」が生まれた.そして死から逃れ,病気を治してもらいたいと思う人々(患者)は,自分らの立場に立って行動してくれる医師を信頼する.しかし,医師がすべての病気を完全に治してくれるから信頼するのでなく,常に患者の側に立って誠意をもってやってくれるから信頼するのであり,人間の生命は有限で死のあることは十分に理解している(実はこの点が終末ケアをするときに重大なポイントになる).

病院精神医療の展開

精神病院の社会復帰活動を考える—秋元波留夫氏の感想に寄せて

著者: 広田伊蘇夫

ページ範囲:P.76 - P.78

 編集子の依頼により,私の書『精神病院』(岩崎学術出版)に寄せられた秋元波留夫氏の感想(本誌41巻12号,1070〜72頁)に,気乗りはしないが,ともかく応えることとする.ただ,たがのはずれた感情の流露は私のなじむものでもないし,また本誌が秋元氏や私だけのものでない以上,執筆者の持つべき節度をわきまえて記すことにする.それはともかく,秋元氏が懇切丁寧に拙書を読了され,長文の感想を寄せられたることに,ひとまず感謝の意を記しておきたい.
 さて,秋元氏のいささか八方破れの記述の底流に,私の治療実践への問いかけを私は見る.結論的に言えば,この問いかけへの私の返答は極めて簡単である.次のように記すだけでよいのである.〔ひとりの精神科医が,自らの臨床現場において,何をしてきたかは,当の精神科医と直接治療関係にあった病者に,彼は治療者として何をしてくれたかを問えば,おのずと明らかになるものと考えてきたし,今なおそう思いつづけている〕と.臨床に執着し続けるひとりの精神科医としての私は,永年にわたり,つまるところ,この個的関係性をどのように深めてゆくかに腐心し続けただけのことである.その意味では,私は手づくりの職人であり,その結末は病者に問うのが最も妥当であると,私はまず秋元氏に応えておかねばなるまい.

病院と地域活動

地域活動における視座

著者: 前沢政次 ,   天明佳臣

ページ範囲:P.79 - P.82

大学からの発言
 医療は変化しつつある.また絶えず変革を心掛けねばならぬことも医療のもつ本質のひとつであろう.医療の対象である人間,家庭,様々なコミュニティの生活,経済,文化は常に変動してゆくからである.
 最近,医療の包括性が強く叫ばれ,医療と保健の一体化,予防と治療の合体が強調されている.したがって病院といえども,単に訪れる患者を診療するだけでなく,病院外での地域活動に力を注ぐべき時代となってきつつある.病気のみでなく健康をも対象にし,かつ病院においてのみでなく,家庭や地域に活動の場が拡大されねばならない時なのである.

中小規模病院の運営

中小病院の職員の福祉・厚生

著者: 木村政良

ページ範囲:P.83 - P.85

 日本における中小病院は,その大部分が私的病院と考えて良い.これらの病院は医師である院長が診療も経営もともに担い,診療,経営未分離で,同族経営のケースが多い.したがってその個々の病院の経歴,立地条件などにより,職員に対する福祉・厚生への考え方も全くまちまちである.しかしそれぞれの持ち味を生かして,それなりにうまく運営されているというのが現状であると思われる.
 これらの病院の福祉・厚生の問題は労務管理の一環としてとらえなければならない.すなわち職員の労働能力が適切にしかも長期間安定して発揮できるように職員を一個の人間として尊重しその金銭的欲求ばかりでなく,種々心理的,社会的な欲求を満足させ,働きがいのある仕事を与えて活動的な職場集団を作り出すことである.そこで,その"動機づけ"として福祉厚生の面での種々の方策が考えられ導入されなければならない.以上のようなことから中小病院では,公式的な方法論は成り立たないと思う.ここでは,筆者の病院が従来行ってきた,また現在行っていることを紹介し問題点を挙げてご批判を仰ぎたいと思う.

研究と報告【投稿】

医学部学生の病院管理学講義に対する反応

著者: 井上昌彦 ,   紀伊國献三 ,   中島行正

ページ範囲:P.87 - P.90

 私は,この講義があるまで,医師は,診療さえできれば良いと思っていたが,病院管理の重要性,その意義を知って驚いた.だから,できればもっと詳しく講義してもらうために,講義時間を増やすことと,理解のためにスライドなどを利用してもらえればもっと良かったと思う.
 病院管理学の講義というのはどういうものなのか最初は分からなかった.しかし,この講義を聞いて,単に大学を卒業して医師になるということではなく,医師の人格,病院のあり方,今後の医療などについて,もう一度将来を見つめなおさなければならないと思った.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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