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文献詳細

雑誌文献

病院42巻10号

1983年10月発行

文献概要

病院職員の基礎知識 診療科の知識

精神科

著者: 武正建一1

所属機関: 1杏林大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.884 - P.884

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精神科の歴史
 心の狂いや異常については既に人類の有史以来何らかのかたちで注目されていたと考えられるが,ギリシャ時代以前にはもっぱら悪魔や神がかりの状態とみなされることが多かった.しかし近代的な医学思想の祖ともなったギリシャ時代になると,精神病(てんかん)の原因が脳にあるとしたピホクラテスのように精神異常も一つの病気として扱う見方が生まれた.このような方向づけはローマ医学からアラビアの医学へと受け継がれて行くが,精神障害者を呪術によらない適切な看護と治療へと導く道は必ずしも平坦なものではなかった.
 とりわけヨーロッパの中世(500〜1,600)には,キリスト教の教義のもとで精神病者はある種の悪魔にとりつかれたものとして断罪されることが少なくなく,まさに受難の時代を経なければならなかった.そしてルネッサンスの科学的啓蒙の訪れとともに,18世紀に至ってようやく精神病者を宗教的迷信の手から医学の分野へと取り戻すことになる.ピネルが精神病者を鎖から解放したのもちょうど18世紀末のフランス革命のさなかであり,その後19世紀にかけて今日あるような精神医学における症状学や看護の基礎がヨーロッパを中心にして発展してきたのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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