文献詳細
文献概要
特集 老人保健法と病院医療の展開
老人保健法の影響とその対応—医療変革期における第一線病院の対応
著者: 茅野嗣雄1
所属機関: 1特定医療法人新都市医療研究会君津会君津病院
ページ範囲:P.602 - P.605
文献購入ページに移動総理府統計局は,4月9日前回国勢調査後の人口変動を加味した57年10月1日現在の推計人口を発表した.それによると,人口は1億1,869万人で,65歳以上の老年人口が1,350万人となり総人口の9.6%を占め,厚生省人口問題研究所の予測を上回り高齢化が一段と早いピッチで進んでいる傾向を示した(4月10日付朝日新聞).この傾向は更に続き,昭和75年には15.6%と現在の西欧諸国に追いつき,昭和100年には21.3%となって世界でもトップレベルの高齢化社会になる.これは国民生活水準の向上によることも大きいが官民あげての保健医療供給体制の充実,国民皆保険への努力,更に医学医術の進歩がもたらした大きな成果であると言える.
このような人口増加・高齢化社会の到来は,必然的に医療費の高騰を招き,昭和35年対国民所得比3.1%であったものが,昭和55年には6.2%,12兆円と倍増した.特に全人口中8.9%を占める65歳以上の一般診療費が全医療費の29.7%に達しており,入院点数は平均点数の2倍に上る結果が出ている.また国民1人当たりの医療費は10年間で4倍に伸び,55年度では10万2,500円となったが,これは対GNP比5.01%に当たり欧米の水準に達するのは時間の問題とみられている(米国6.8%1979年,英国4.4%1976年,仏7.3%1979年,カナダ5.2%1978年).
掲載誌情報