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文献詳細

雑誌文献

病院43巻1号

1984年01月発行

文献概要

定点観測

—秋田県・象潟町から—現代専門バカ考

著者: 宮原伸二1

所属機関: 1象潟町上郷診療所

ページ範囲:P.68 - P.69

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「人を診る」ということ
 私は当地に赴任前は,しばらくの間総合病院に勤務していた.その当時のことを思い起こしてみると,病院と診療所の患者の間に病気の軽重の違いはあるにしても,自らの医師としてのあり方が今とずいぶん異なるような気がする.それは単に患者の質的相違からくる医療の違いでもなく,年功による患者への接し方の違いでもなく,医師としてもっと基本的なことであることに私は気付いた.
 患者を病院の中で診ているときは,患者の生活がどうしても見えなかったのである.診療所は,患者の生活の真っただ中にあり,単なる生活のみならず,人間の生きざまも目のあたりに見ることができるのである.そのことは言い換えれば,前者は,病気を治すということが,器官や臓器相手の戦いであり,後者は丸ごと人間相手の戦いなのである.人間相手の戦いであるから,病院の医師よりも診療所の医師のほうがはるかに自然に,予防医学や健康増進医学にまで目が向きやすい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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