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文献詳細

雑誌文献

病院43巻11号

1984年11月発行

文献概要

時評

豚と近代合理主義

著者: 塙正男

所属機関:

ページ範囲:P.976 - P.976

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 食糧危機が来るとかいう報道も,ここのところ何か流行歌のリフレインのように,繰り返し流されているが,NHK総合テレビ8月23日放映の「21世紀は警告する—飢えか戦争か」をつい見てしまった.ここで取り上げられた食糧は豚であって,ヨーロッパの豚と中国の豚が対比され,それが珍しく面白かった.
 デンマークの豚は,1900年ころから養豚を国家的輸出産業とするべく,近代育種学の粋を集中して,豚の改良に力を入れた結果,脂身のない,しかも胴長の豚をつくり上げることに成功した.とにかくそのために,肋骨の多い豚が生まれたのである.一方中国では,ここ何百年か(現在でも全く)手を加えられないままに豚を飼ってきた.豚もハダシだし,人間もハダシである.同じ長屋の一室を与えられ,人間の残り物を食べて育つ(エサも少しは与えるが).したがって,清掃の手間がはぶけるわけである.その代わり,成育速度がヨーロッパ種に比較して3倍くらいかかる.脂身も多い.姿,形も白人と東洋人くらいの差がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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