icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院43巻3号

1984年03月発行

文献概要

病院職員の基礎知識 診療科の知識

臨床検査部門

著者: 稲生富三1

所属機関: 1社会保険中京病院検査部

ページ範囲:P.236 - P.236

文献購入ページに移動
臨床検査とその歴史
 生体中で生命現象が営まれているということは,生体を構成しているいろいろな成分が,物理的,化学的に極めて微妙に働き,一定のバランスを保って成り立っているということである.バランスがなんらかの原因によって徐々に,あるいは突然に崩れ始め精神的,肉体的に正常な状態でないことを感ずるようになる.これを病むという.病む原因となっているいろいろな成分のバランスがどのように崩れているかを知るために行うのが臨床検査である.
 臨床検査の歴史は古く,ヒポクラテスが行った尿の観察が始まりとされており,ティオフィロス・プロトスパタリオスが体系化し,近世に至るまで医師が光を通して色や沈殿物の具合を調べて診断していた.我が国でも江戸時代に尿検査は行われていたが,体系化した臨床検査が行われるようになったのは明治時代になってからである.尿検査や細菌検査,梅毒反応,寄生虫検査などが診断の裏付けとして患者の主治医によって行われていた.第2次大戦後に導入されたアメリカ医学は,臨床検査の成績を一つの資料として診断することから検査する範囲も必然的に広くなり検査技術も,複雑になった.こうなると医師が診療の片手間に行うということができなくなり,臨床検査の中央化が進み旧陸,海軍病院や医科系大学の研究室などにいた技術者が専門に行うようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら