icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院43巻8号

1984年08月発行

文献概要

病院精神医療の展開

老人精神障害者の入院医療—その現状と問題点

著者: 竹中星郎1

所属機関: 1浴風会病院診療部

ページ範囲:P.708 - P.712

文献購入ページに移動
 精神病院の老人病棟や老人病院の精神科病棟は大半が痴呆患者で占められている.その上に多くの入院待機が控えている.高齢化社会と言われるようになって久しいが,中でも痴呆老人の著しい増加は医療のわくを越えて緊急の社会的問題となっている.在宅の痴呆老人の家族が介護に疲れ果てる現象の一方で,核家族化は老人だけの世帯の増大を生んでいる.
 このような背景は老年精神障害の入院の要因に極めてよく反映されている.それらのほとんどは,①異常行動や夜間せん妄,あるいは身体病を併発のための治療を必要とする急性群,②失禁,緋徊,寝たきりなどの介護を必要とする群,の二つに尽きる.前者は治療を目的としており,後者は介護している家族の状況や意向による面が大きい.脳出血のために一般病院に入院して,治療の目的を果たしても痴呆や介護を必要とする機能障害が残ると,家庭へ退院できずに老人病院や精神病院に転送される.これらは医療よりも福祉的問題である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら