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特集 中間施設とこれからの病院
長期ケアにおける中間施設機能—施設ケアと在宅ケアの中間
著者: 前田信雄1
所属機関: 1国立公衆衛生院社会保障室
ページ範囲:P.293 - P.300
文献購入ページに移動私が中間施設について提唱をしたのは,1983年9月であった.有病老人を例にして,そのころも十人十色の議論があった「中間施設論」を整理し,私の意見もしくは提唱を試みた.それは医療と福祉との間の収容施設ではなく,施設・収容ケアと在宅の中間にこそ位置づけるべきもの,と提案した.その位置づけを,模式を用いて示すと図のようになった1).
私の位置づけは,収容ケアの果たす役割が終わり,しかも在宅だけでは未だ完全自立できない患者と家族を支援するのが中間施設,というものだった.要するに,収容と在宅ケアの間ということであるから,更に広く解すると,在宅ケアにある程度限界がきたが,収容ケアにいっきょに長く依存するまでもない患者・家族への援助も,この中間施設機能に含まれる.短期保護事業つまりショートステイがその一例である.数か月入所つまり俗にセミロングステイと呼ばれる1か月とか3か月の入所も,少しずつ取り入れられつつある.これも長期の収容ケアを防いだり,長期入院の代替となるものである.いずれ近いうちに,あるいは基本的に,在宅ケアを保障するための諸方策である.
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