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雑誌目次

雑誌文献

病院44巻7号

1985年07月発行

雑誌目次

特集 委託外注のチェックポイント

委託外注の動きとその背景

著者: 黒田幸男

ページ範囲:P.561 - P.564

委託外注をめぐる社会情勢の変化
1)人材派遣業の法制化
法制化される業務と企業メリット
 昨年末より本年にかけて,委託外注の方向を大きく左右する情報がいくつか打ち出され,関係者の注目を集めている.そのうちの一つが労働者派遣事業法であり,この6月に法案の成立をみた.これは最近,確実に進みつつある高年齢化や技術革新による産業構造の変化に伴い,企業採算を維持するための減量経営の実施などが迫られている企業側の事情と,雇用機会の拡大を望む労働側の都合により生まれたものである.例えば,最近の経済企画庁調査によっても明らかなように,パートタイマーなどの臨時職員は現在6人に1人の割合であるが,21世紀には3人に1人になるといった厳しい事態が予測されていることから見ても,労働環境の変化の程度が理解できよう.また,下請企業,派遣労働者が急増し,雇用や就業形態が流動化して,働く価値観が変化していく中で,それらの業務に従事している人々と企業側との間のトラブルが多発するのを解消し,委託外注制度が現実的に合うよう職安法を見直し,野放し状態にある人材派遣業を法的に認知するのと同時に,必要な規制をしていくのが狙いのようである.
 具体的には今後の法整備に伴って明らかにされてくるが,その内容をめぐって労使双方間で活発な論議が展開されたことは記憶に新しい.

委託外注の目的

著者: 上野幸久 ,   佐々木竹利 ,   山本敬 ,   世良博 ,   吉沢信雄 ,   末満幸良

ページ範囲:P.565 - P.572

公的病院の立場から
健康保険総合川崎中央病院の場合
 医学の進歩に伴い,医療の内容はますます複雑となり,技術面でも高度のものが要求され,またそれを処理するためには高価な器材を必要とするようになった.このような医療の高度化と多様化に病院固有の職員と器材で対応することは,中小の病院では極めて困難な状況となっている.また,大病院でさえも,人件費と諸物価の高騰とによって経営が苦しくなっていく情勢の下においては,できるだけ職員数を少なくし,業務の効率化を図り,使用頻度の少ない機器の購入を控えざるを得なくなって来た.医療水準の低下を招くことなく(ある面ではむしろ向上を図る),経営を合理化しようという難しい要求に応えるために自然発生的に発達(?)して来たのが病院業務の外注であろう.
 病床数300余(入院患者数240〜260名,外来患者数500名前後),職員320名の中規模病院である当院もその例外ではなく,検査,医事,ハウスキーピングなど,いろいろな面において業務を外部に委託しているのが現状である.当院において委託外注している業務の概要は表のごとくである.

委託外注の実情とチェックポイント

著者: 斉藤正行 ,   篠田三郎 ,   土野雅弘 ,   倉持一雄 ,   上林三郎

ページ範囲:P.573 - P.584

検査
当院の外注の現状
 北里大学病院が昭和46年7月開院した当時は既に1〜2の特殊検査センターが存在し,他大学病院もRIA (radioimmunoassay)によるホルモン検査やウイルス抗体価測定などを外注していた.当院では人手をたくさん必要としたり,大型高価な自動機器を必要とする一般血液化学検査,血清検査まで外注の形式とした.資金とか人材がなかったからではなく,少しでも高度広範囲な検査を展開し,技師は医療スタッフらしく患者に接する生理検査に1人でも多く従事してもらうためである.その結果,開院時28名の新卒の技師集団でありながら,当日からあらゆる分野の検査を展開できた.それから14年,現在では院内検査技師も100名に膨れたが,36名が生理検査に従事しており,超音波検査に8人の技師が配置され,年間51,479件(保険点数33,601,840点)の検査を行っている.検査部全体として59年度は650万件(保険点数約3億点),うち300万件(約1億点)が外注である.
 外注の内容は血液一般化学,アイソザイム,ポルフィリン,ビタミンなどの特殊化学検査,RIAによる内分泌関係,血清検査などであり,病院技師は病棟・外来採血,夜間,日祭日の至急検査,血液検査,一般検査,染色体,細菌ウイルス,病理,生理検査,輸血検査を分担し,更に開発機構としてプロジェクト検査室,免疫血清検査室を持つ.

アメリカにおける経営管理委託の動向

著者: 田中滋

ページ範囲:P.585 - P.588

 まず病院経営委託ビジネス発展の理由を考えてみよう.それは下記の理由による変容に起因する.今後しばらくはこの傾向が続くであろう.
1)第三者機構(メディケアや私的健康保険など)からの医療費償還額頭打ち傾向2)病院経営に必要な固定資本所要量の増大化3)政府が直接公費負担する部分の医療費軽減策強化4)医療供給主体数増,とりわけ医師数増

委託外注と法問題

著者: 小西國友 ,   渡辺裕

ページ範囲:P.589 - P.594

労働者の派遣をめぐる法律問題
 労働者派遣事業法に関して新聞紙上などで論議されている.ここでは,労働者の派遣に伴って生ずる各種の法律問題のうち,派遣労働者と派遣先使用者と派遣元使用者との三者間における権利・義務関係を中心に検討することにする.

グラフ

新築移転し,県立こども病院と連携する—水戸済生会総合病院

ページ範囲:P.545 - P.550

□新病院への移転
 水戸済生会総合病院の歴史は,昭和18年水戸市八幡町の茨城県済生会茨城診療所からスタートした.丹野院長が赴任された昭和31年当時は,11床,職員数6人の診療所であったのが,翌年水戸済生病院と改称し39床に増床.その後末広町に新築移転,267床の中規模病院へと発展した.しかし,26年余を経て建物も設備も老朽化し,拡大もままならぬ状況下であったところ,"親切な医療"との定評とその医療実績を見込まれたのであろう,県より小児科専門病院の建設計画に際し,済生会に経営管理委託の要請があった.併せて病院用地の斡旋を受け,念願の新病院移転が決まった.こうして,旧病院より7kmの水戸市西部の双葉台,県下最大の団地の一画に,総タイルばりの壮観な新病院が建設された.23,670m2という広い敷地,周囲に緑,常磐高速道水戸インターチェンジ近くと,環境に恵まれている.
 移転作業も全職員の願望と意欲がまとまり,残業も続いたそうだが一致協力して見事に乗り切ってこられた.昨年9月診療開始以来,5か月後には病床もほぼ満床となり,外来患者数(600〜840人位)も増加し順調なすべり出しをみせている.

ご自分の考えを見事に実行松山赤十字病院院長 土屋 定敏氏

著者: 弘中哲也

ページ範囲:P.552 - P.552

 土屋定敏先生は宮崎のご出身で,旧制七高から九州帝国大学医学部を昭和16年3月に卒業,第二外科に入局,軍医として終戦をラバウルで迎えられたと聞いている.昭和26年に九大より,広島赤十字病院外科医長として赴任,43年に松山赤十字病院院長に就任された.私は九大の先輩としての先生から,広島でご一緒だった12年間,多くのことを教えていただいた.
 先生は部長会などで,しばしば,経営その他いろいろなことについて考えを述べられていたが,一同,なるほどと感心しながらも,言うは易く行うは難しという見方をしていた.しかし,先生は私たちに語られたことを松山赤十字病院で見事に実行されている.松山就任当時のご苦労について,先生は多くは語られないが,言語に絶する苦心の末,見事に再建されたことを知らない人はいない.どんな場合にも自分の考えを貫き通すあの闘志が,温厚な先生のどこに潜んでいるのか不思議に思うことがある.

シリーズ・対話

科学としての医学・医療

著者: 中山茂 ,   塙正男

ページ範囲:P.553 - P.560

ME機器は痛みを癒すか
 塙 現在,医師は一応科学教育を受けて,科学者として世に出るわけですが,実践の現場では,厳密な意味の科学とのずれが大きく,むしろ職人性みたいなものが要求されています.そういうところは,先生の言葉で言う「体制化科学」の側からは見えないのではないかと思います.
 ただ現実的に,医療の社会は,一般社会から—主に現在は経済的にでしょうが—いろいろなインパクトを受けています.これは医療自体に問題があって,それに応え得る力がないからではないかと感じています.現実にぼく自身も答えを出せと言われてもわからないわけです.

ニュース

昭和60年度第1回定例医事研究会開催/'85国際モダンホスピタルショウ開催

ページ範囲:P.564 - P.564

 去る6月14日,1985年国際モダンホスピタルショウの特別企画として,今年度第1回定例医事研究会がワールドインポートマート8階,国際会議室にて開催された.
 越谷市立病院染谷光一氏の開会挨拶,本島病院中野隆男氏の司会で,講演「診療報酬点数算定の盲点」(河北総合病院医事課大西正利氏),「同II」(病院システム研究会代表加藤雄二氏),「医事課員の知識—保険請求等のレベルアップの仕方」(聖路加国際病院医事課湯浅誠氏),「同II」(社会保険蒲田総合病院事務長安藤秀雄氏)が行われた.

病院紹介

大口東総合病院

ページ範囲:P.584 - P.584

 横浜市の特定医療法人財団慈啓会(小野肇理事長)は昨年12月に大口東総合病院をオープンした.慈啓会は創立以来30年の大口病院で診療活動を行ってきたが,老朽化・狭隘化したため近代医療に対応しうる新病院を開設したもの.
新病院は病床数182床.診療科は内科,循環器科,小児科,外科,胃腸科,整形外科,皮膚科,泌尿器科,産婦人科,耳鼻咽喉科,眼科の11科.高水準の医療を地域に提供すべく,全身用CTスキャン,超音波診断装買,オートアナライザー,自動血球計数装置,血液ガス分析装置その他最新の医療機器を導入,医事業務ではコンピュータを導入して効率化を図っている.また,ICU・CCU室を整備し救急医療にも積極的に取り組む予定.(大口東総合病院 横浜市神奈川区入江2-19-1)

ホスピタル・フォーラム

私的病院の「発展対策」—全国公私病院連盟,他

ページ範囲:P.594 - P.594

 全国公私病院連盟では公的病院関係者も参画した私的病院対策委員会(田中徹委員長)を設置し,経営危機下での私的病院の発展策を協議してきたが,その結果を「私的病院発展対策に関する報告書」としてまとめた,同連盟では,6月26日の定期総会で,報告書の主旨を盛り込んだ特別決議を提案し,関係方面に陳情することにしている.
 報告書は,改善すべき対策を診療報酬と税制の2点にしぼっている.①診療報酬については,拡大再生産に必要な適正資本報酬を加えた「実際価格を基礎に,部門別適正標準原価補償方式によるべきである」と提言.②税制については,前記①が実現するまでは法人事業税の算定に拡大再生産に要する経費を必要経費として認めること,医師に対する事業税非課税措置を存続すること,などを要望,提言している.

新病院建築・91

知多市民病院の設計

著者: 柳澤忠 ,   谷口元

ページ範囲:P.595 - P.600

病院の設立
 知多半島の根元にある知多市は名古屋近郊の臨海工業都市で,広大な埋立地に大規模な企業誘致を果たした自治体である.7万人弱の人口を擁しながら医療施設は不足気味であり,長年の懸案であった市民病院が1984年に新設されるに至った.
 新設であるため医療需要の予測を計画段階に行い,300床規模で建設されたが,開院1か年を経過した現在,176床で稼働している.

定点観測 山形県・金山町から

魔性としての理想ある至誠の外科医を悼む

著者: 飯島克巳

ページ範囲:P.601 - P.601

 名声,地位,金銭などの個人的な野心よりも,世界の中に普遍的な愛や平安を実現することを第一義として生きている人が地球上のどこにでもいる.私は,このような人々の抱く目的すべてを,その大小優劣を問わずに理想と呼びたい.そして,この理想が人間と人間の歴史を偉大にしてきたと信じている.
 昭和60年2月13日の朝,理想に生きた41歳の外科医師が,自らの手で人生に終止符を打った.彼は,人口10万人を擁する当地域における唯一の総合病院の外科部長であった.外科医にとっては難しいとされている食道癌や膵臓癌などの手術も行い,優れた成績を残している.私も年間に約10人ほどの患者さんを紹介し,手術をお願いしていた.もちろん,彼は,私と患者さんの信頼に十分応えてくれた.

講座 ニューメディアと病院・10

ニューメディアと社会・産業活動

著者: 岡田行雄

ページ範囲:P.602 - P.603

ニューメディアの普及
 ニューメディアが普及していく形態には,①社会・産業活動上の必要性から,家庭や企業に個々に自然に浸透し利用される場合,②INSのように実験地域を設定し,関係者によるアセスメントを経て計画的に全国普及を図っていく場合,③国の政策として,モデル地域を設定し普及の促進を図っていく場合,などがある.
 またニューメディアの必要性についてみると,①情報を直接利用する立場,②情報を提供する立場,③情報の処理・伝達を業とする立場,④関連の機器・設備を生産・建設する立場,⑥これらのマスコミを業とする立場などがあり,それぞれの立場の多くの人,企業が相入り乱れて,いわゆるニューメディア・ウォーズといわれる状態を現出しているわけである.

解説 米国JCAHの病院認定マニュアルについて・13

特殊ケア・ユニット

著者: 大道久 ,   三宅史郎

ページ範囲:P.604 - P.605

特殊ケア・ユニット
 特殊ケア・ユニットは固定的な概念ではなく,病院の選択の結果設置された各種のケア・ユニットに共通した事項についての標準を示すこととする.
 〔基本原則〕特殊ケア・ユニットは,通常のケアでは対応できない患者に対して,集中的かつ継続的な形で設置・運用されなければならない.

新しい医療と厚生行政

社会経済と病院の将来

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.606 - P.607

 医療費抑制の必要性が叫ばれて久しいが,国民医療費は今や15兆円に達し,医療産業は一つの巨大産業となったといっても過言ではない.昨年の健康保険法改正をはじめとして,今後も国の政策として医療費抑制策がとられていくだろう.しかし国民経済の中で制約を受けながらも医療費が今後も増加し,医療産業がますます成長していくことは間違いないと思われる.また同時に,日本の社会経済の変遷につれ,国民の医療に対する考え方や欲求も変化していく.医療の供給が質量両面にわたってかなりの水準に達している現状を考えると,今後は医療の中にも経済の原則が妥当する範囲が拡大していくのではなかろうか.このような社会経済情勢の中で,21世紀に至るまでに病院がどう変身していくか,そしてそれに対してどのような心構えや準備が必要かについて考えてみたい.

ケーススタディ 共に考える病院運営の盲点

収入の全くない状態の患者さんの援助

ページ範囲:P.608 - P.609

〔事例〕
 Aさん(50歳)は自動車整備士としてタクシー会社で働いていたが,昭和58年12月自宅で脳出血を起こし救急車である病院に入院,家族の希望で1週間後,当院に転医してきた.転医時は,右上下肢の重度のマヒ,意識障害と失語症もあり,言葉を発することができず,寝たきり状態で全介助を要する状態であった.積極的なリハビリテーションにより,現在では短下肢装具とT字杖を使い,自力歩行ができるまでに改善してきている.しかし失語症は残り,理解力・判断力も低下している.
 12月に倒れた日以降の会社からの給料は支給されず,健康保険組合に傷病手当金の請求をしたところ,不支給の決定通知が来た.その理由を調査してみると,昭和52年6月から高血圧症で,B診療所で治療を受けており,今回の脳出血の原因はその高血圧症と考えられ,それは発病から6年以上たっている.そのために「傷病手当の支給は発病から3年以内の範囲」に該当せず,とのことで,傷病手当は一日分ももらうことができなかった.

請求もれ防止対策

ある側面からの請求もれ防止対策

著者: 岩瀬英二

ページ範囲:P.610 - P.611

 当院は東京郊外の西武線沿線に位置し,人口約6万人の清瀬市内にある.昭和40年より市内で唯一の救急病院となっている.病床数209,職員数180,内科,外科を主とする中型の一般病院である.特徴としては,脳神経外科および腎不全患者150人の透析センターを持っている.医事課は9名で,レセプトは手書きを続けており,コンピュータは次の理由によって導入していない.

統計のページ

人口・経済と医療の長期展望(2)—「人口・経済・医療モデルに基づく長期展望—フェイスII」中間報告書(日本大学人口研究所,昭和59年度日本医師会委託調査研究)より

著者: 小川直宏 ,   佐藤貴一郎

ページ範囲:P.612 - P.614

4.医療費の構造分析
1)年齢構造の変化と医療費構造
 図4は本モデルにおいて対象としている政管,組合,国保の3制度を合わせた0〜14歳の受診件数と65歳以上の受診件数のそれぞれ総受診件数に対する比率の変化を比較したものである.前号(510頁)の図2では,人口における0〜14歳と65歳以上の割合が2004年で逆転することが示されたが,受診ベースで年齢構成比の影響をみると,1985年では年少人口が20.43%,高齢人口が20.04%であり,1986年にはそれぞれ19.77%,20.45%と逆転が起こる.2000年では,これらの割合が15.86%,28.76%となり,2025年では12.26%,39.53%と両者のギャップは拡大する.すなわち,前号の図2と図4を比較すると,人口そのものの高齢化の過程より,医療における受診を尺度とした高齢化は一層早く到来することがわかる.ただし,国民医療費は受診件数やその年齢構成だけでなく,年齢別1件当たりの医療費が異なることによっても影響を受けることは論をまたない.
 次に国民医療費の対GNP比を年齢別に観察したものが図5で,国民医療費の中で65歳以上の医療費(ただし,ここでは政管,組合,国保の3大保険制度における医療費の合計値として使用している)の対GNP比と0〜64歳の医療費の対GNP比とを比較している.

病院職員の基礎知識 病院合理化の基本的考え方と技法

合理化とは

著者: 村山三郎

ページ範囲:P.615 - P.615

 辞書(三省堂・新明解国語辞典)には合理という言葉を「論理的には正しいこと」「理屈には合っていること」と書いてありますが,「合理化する」という場合にはその他にいろいろなニュアンスが含まれてくるようです.「合理化する」を,辞書でさがすと,①自分の行動をもっともらしく理由づけをすること,②人員整理・労働力強化や技術導入により生産性を向上させようとすること,というように書いてあります.どうも人員整理や労働力強化がそのまま合理化に短絡してしまうのは,名にし負う赤字国鉄の合理化運動と,これに対する組合の反対闘争以来,我が国に定着した認識になっているのかもしれません.
 また,最近はQC手法が流行して,合理化イコールQCというようにとらえられている向きもあるように思われます.確かにQCも合理化のための一つの手法ではありますが,合理化そのものではありません.

時評

看護問題はマジメに考えたい

著者: 塙正男

ページ範囲:P.616 - P.616

 5月21日の新聞を見ると,看護婦さんは全国的に厳しい勤務状況を強いられているようだ.毎日新聞は「夜勤9回以上57%」というのが見出しだ.朝日新聞は,大きく「看護婦は疲れている」とし,「夜勤57%が9回以上」,「異常出産が60%超す常夜勤」と,サブタイトルはかなりセンセーショナルである.医労協調査の発表で統計的扱い方の問題はあろうが,とにかく大変な勤務であることは確かである.何とかしなければならない問題だ.
 毎日,朝日両紙とも同日の社説で期せずして看護婦の問題を取り上げている.毎日は「患者の心をみとる看護を」というタイトルであるが,ちょうど本年の5月15日日本看護協会が100周年記念式典をやったそうである.免許取得者—正看30万8千人,准看29万2千人で,昭和60年末には66万人を確保するという国の看護婦需要計画も本年度末にはほぼ達成できる見通しとなった,とある.医療と対等な看護の力を強調し,患者の心を察するカンゴの必要を強調している.マア,これに反対するわけではないが,何か変だ.需給計画が達成されて喜ばしいとあるのに,同じ日の紙面に報告されている苛酷な勤務.

病院運営の変化 ここ10年余病院はどう変わったか

保険請求内容及び審査の動向(2)—各専門科別審査及び高額請求例

著者: 名尾良憲

ページ範囲:P.617 - P.620

 東京都社会保険診療報酬請求書審査委員会における診療報酬請求書審査結果の統計的資料を基礎として,前回(第44巻第5号)一般診療科における請求内容と審査の動向について述べたが,今回は,各専門科別審査及び高額請求例を中心に解説する.

シリーズ病院経営

私の病院管理運営法—結局は人の問題である

著者: 登内真

ページ範囲:P.622 - P.626

 「病院の管理運営」と一口に言ってみても,公的病院と私的病院では経営母体も設立主旨も異なり,また個個の病院の置かれている地域によって条件も環境も違うので,病院の運営の仕方も当然各々に相違がみられると思う.ここでは,それゆえ私自身の病院を例にとり,私の病院管理運営法を述べてみたい.

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機器短報

ページ範囲:P.627 - P.627

雨傘脱水器
 熊平製作所(電話082-251-2111)は雨傘の水滴をとる雨傘脱水器「ジュビア」2機種を発売した.
本製品は真空ポンプによる吸引方式で,ぬれた雨傘を本器にさし込むだけで約4秒でしずくが取れる.デザインはシンプルで,小型(高さ78cm),軽量(20kg,27kg),キャスター付きで簡単に移動できる.<価格は168,000円,298,000円の2種>

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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