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雑誌目次

雑誌文献

病院47巻3号

1988年03月発行

雑誌目次

特集 病院事務長の人材養成

今,求められる事務長像

著者: 小野肇

ページ範囲:P.207 - P.210

 本来の医療は,患者と医師との個と個の相互信頼を基本形態としていますが,現代の病院は,患者を中心に各医療専門職が総合的・包括的な組織的医療を提供する場となっています.一方,社会の医療ニーズは多様化するとともに,高度の,充実した医療サービスを期待しています.
 しかし,民間病院は人的・物的・経済的面から,すべてのニーズに応えることは至難で,それぞれの病院の特徴を生かして,医療サービスの提供のために努力しているのが実情です.民間病院で医療サービスの質的向上を図り,経営を近代化するには,病院長の意識改革や従来の経営組織からの脱皮が先決です.

事務長の資質と養成

著者: 堀内光 ,   水落理 ,   大塚暢 ,   岩手鉄矢 ,   渡辺晃 ,   柴崎清治

ページ範囲:P.211 - P.223

病院全体の動きをつかむ
 病院の事務長のあり方はその病院の経営主体や,病院の大きさなどで異なるものであり,一概にはいい難い.また病院長と連携して経営管理を行うことを考えれば,院長の経営感覚,その能力などによって事務長に要求される仕事の内容も変わってくる.しかし,病院の経営管理は誰かが一人でやればよいというものではないし,むしろ従業員の多くの人々が,それぞれの立場から経営に参画してもらいたいと考えられている.

事務長の生涯教育

著者: 益田啓作

ページ範囲:P.224 - P.226

「事務長の生涯教育など夢である」
医師・看護婦の生涯教育
 日本医師会は昭和61年,医師の生涯教育制度を発足させた.各医師会は生涯教育制度委員会を設けること,そして毎年の学習時間等をこの委員会に各自が自己申告することを骨子として出発し,当面の学習時間は年間50時間以上を目標とした.昭和61年6月から11月に至る6か月の試行結果は,全国の診療所医師の申告率70.3%,平均学習時間102.2時間であったという.昭和63年度には病院勤務医のための生涯教育のガイドラインが作成されることになっている.学習すべき課題を医学的課題と医療的課題とに分け,医療的課題のひとつとして,病人および家族の人間理解と支援を強化するための課題,例えばカウンセリング,心理学,宗教,哲学,死生観,その他人類文化のすべてを挙げている.プライドの高い自由人の医師には抵抗があるに違いない.それにしても,日本の医師の歴史の中では画期的なことであろう.
 看護制度検討会は昭和60年3月から2年1か月かけて報告書をまとめたが,生涯教育の体系化として,「各都道府県に看護職者の卒業後の継続した教育を行うための施設(専門団体を含む)等を設け,看護職者の継続した教育を行うための体系化を確立するとともに,各医療施設等においても,就業看護職者が働きながら継続的に学習していくことのできる体制を確立し,看護職者の生涯教育のより一層の充実強化を図る必要がある」とある.

病院管理事務研修の目的と実際

著者: 針谷達志

ページ範囲:P.227 - P.230

 本稿には,病院管理研究所におけるこれまでの事務研修の目的と実際に関する報告が求められている.当研究所の研修は,昭和24年に始まり,院長,事務長,総婦長など病院のトップ・マネジメントに対する研修を主眼としてきた.
 石油ショック以後の長期的な経済不況,情報化,高齢化という大きな波の中で,現在,わが国は社会全体としてあらゆる面での効率化が求められている.

病院管理研究所の研修を受けて

著者: 木下敬 ,   都直人 ,   佐藤貞雄 ,   米岡信一 ,   山﨑巖 ,   匿名

ページ範囲:P.232 - P.235

事務長職の拠りどころに自信
自信と意欲を与えられたこと
 私立病院の事務長の立場というものは,微妙なものであり,地位,職務権限,その範囲など,病院ごとに異なる.そのような事務長にとって,「その職務の一番大切なものは,経営責任分担者としてのそれである」ということが,『病院組織論』で,はっきりと指摘されたことは,当然のことであるが,今までそうしてきた私にとっても,大きな自信と意欲を与えられるものであった.
 病院における医師の権限は絶大である.そして,知識や経験の全くない経営や経理にまでそれが及んでいるところに現在の病院の大きな問題点がある,という説を聞く.本院ではそんな問題は全くない.

グラフ

生まれ変わった東京都立大塚病院—母子を中心に4重点医療を実施

ページ範囲:P.193 - P.198

 昨年10月,50年余の診療実績を誇りながらも,建物の老朽化が限界に達したとされて診療を休止していた東京都立大塚病院が母子医療,膠原病系難病医療,リハビリテーション医療,障害者医療を重点医療として,高度専門医療を行う総合病院に生まれ変わった.
 なお,病院2階の一画には母子保健・医療の有機的連携を目的とした我が国初の東京都母子保健サービスセンターも併設され,活動を開始している.

日中看護協力の懸橋となって国立身体障害者リハビリテーションセンター病院看護部長 落合 芙美子氏

著者: 二瓶隆一

ページ範囲:P.200 - P.200

 現在,中国では日本政府の援助により,北京に大さなリハビリテーションセンターを建設中である.しかし,中国ではまだこの方面の関連職種が確立されていないため,日本政府は人材養成面の援助をも行うことになり,医師,看護婦,理学療法士,作業療法士等の養成を目的として,日本から多数の関係者が中国にわたり,教育・指導に当たっている.一方,中国からは多くの研修生が来日中である.この中で看護部門の総元締めの任を果たしているのがこの人である.
 援助の交渉のため代表団員として訪中した折,リハビリテーション看護の重要性を中国側に力説し,中国側の看護部長をはじめ婦長クラスの人を早々と来日させ,現在7名がこの人の下で研修中である.御自身も中国語を習い,いまや相当の中国通で,研修中の中国の看護婦さんからは"お母さん"と呼ばれて親しまれ,尊敬されている.

今日の視点

基準看護の現状と問題点—特二類基準看護病院におけるケアのバラツキ

著者: 川島みどり

ページ範囲:P.201 - P.206

基準看護をめぐる問題についての認識
 基準看護の功罪についてはこれまでもしばしば論じられて来た.しかし,社会保険診療報酬制度の一環としてのこの制度は,必要な看護要員数を満たしさえすれば,入院費の加算を認めようとするものであり,医療施設側にしてみれば,多少の矛盾があっても,その承認を得ることによる経営上の魅力もあるに違いない.だからこそ,法の目をくぐってでも不正な請求をして,摘発されるというケースが後を断たないのであろう.
 また,基準看護病院数は約30パーセントというが,病床数で60パーセントを越えている.このことは,ベッド数が多くどちらかといえば,「大きな病院」が基準看護をとっている場合が多いことを示している.大きいことが「いい病院」に通じないにしても,結果的には設備・人員ともに基準に叶う必要があるのだから,医療や看護の質も,一定の水準にあると評価される.つまり,基準看護を標榜することにより,病院の格づけを高めることにも一役買っているということになろう.しかし,その評価も,利用者側からの評価ではなく,医療や看護のスタッフ間での評価にほかならない.

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1988年・医学書院発行雑誌一覧

ページ範囲:P.206 - P.206

           1部定価 配送料 年ぎめ予約購読料
生体の科学…(隔月刊)…1,900…240…12,570
公衆衛生…(月刊)…1,800…55…20,160

資料

研修のいろいろ

ページ範囲:P.223 - P.223

(財)全国農村保健研修センター〈事務局中堅職員のための病院経営コース〉
●対象/募集人員/研修期間/費用
医療機関の事務局中堅職員/30名/3日間/受講料30,000円

厚生行政Q&A

聴覚障害者の医療

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.238 - P.239

 〔問〕聴覚障害者が病気になって病院へ行くことになりました.しかし,自分の状態をうまく医師や看護婦に伝えることができず,本人としては満足に治療をしてもらえませんでした.病院の側も聴覚障害者の受診はめったにないことなので,対応に困ったようです.こうした問題について行政はどう考えていますか.
 こうしたことは聴覚障害者に限らずいろいろな障害者についても言えることだと思われますが,今回は,数が少ないためその対応が遅れている聴覚障害者の医療問題について,医師・看護婦のボランティア・グループがまとめたレポートを参考に検討してみたいと思います.

中国医療の窓

中国の医学教育の現状

著者: 小林太助

ページ範囲:P.240 - P.241

◆医学教育の流れ
 中国の医学教育は長い歴史がありますが,1840年,西洋医学が中国に入って来て以来,西洋医学から中国の医学や教育形態は一定の影響を受けました.そして西洋医学を教育する教会立,私立,政府立など各種の医学校が出現しました.
 しかし,中医の教育形態は依然として個人伝授形式であり,高等中医学校は一つもありませんでした.しかし,中華人民共和国成立後中国の医学教育は急速な発展をとげ,現行の医学教育制度は初等医学教育,中等医学教育,高等医学教育からなっています.

統計のページ

自治体病院における給食管理の実態(1)—昭和62年4月・自治体病院における給食管理の実態調査報告(全国自治体病院協議会)から

著者: 福島絢

ページ範囲:P.242 - P.243

はじめに
 病院給食は入院患者の治療の一環として,患者の性・年齢・症状などによって栄養所要量を考慮し,専門家によって作られている.近頃この病院給食に対して「まずい,冷たい,夕食時間が早い」などの批判が高まり,新聞,雑誌等に再々取り上げられ,病院でも「適温,適時,選択メニュー」などによって患者の食べ残しの量を減らすための努力が重ねられている.
 社団法人全国自治体病院協議会(以下「協議会」という)では,病院管理上重要な一部門である給食業務の実態を把握し,その改善を目的として,昭和47年以降5年ごとに給食管理の実態調査を行っている.

病院管理トピックス 栄養

どこの病院でもすぐできるメニュー選択と個人対応,他

著者: 最勝寺重芳

ページ範囲:P.244 - P.246

 病院給食のサービスの悪さが指摘され,適時適温に関する努力が少しずつ理解され始めています.しかしながら現実は,かなりの抵抗があり,未だ実施のメドすらついていない施設も一方には存在します.これからの病院給食は,サービスそのものとして端的に表現でき,すぐ理解され評価しやすいものとして注目の対象になることは間違いありません.夕食6時問題は現代人のライフスタイルの変化,意識の変革,価値の多様化,サービスニーズの高まりといった社会的変化の一部として取り上げられたにすぎません.食事時刻の問題は人それぞれが生活習慣としてもっており,食事時刻を一定にしてもよいという病院の時代感覚の欠落と非常識に対しての批判であると受け止めるべきです.病院給食が食事療法として存在するなら,夕食が5時以前に配膳される意味を万人に理解させる必要があるでしょう.いずれにせよこれからは,「食事内容=料理の質」よりも,適温や食器の良さや配膳にかかわる人間的サービスの面に力を入れることがポイントと言えます.そこで最近もう一つクローズアップされつつある個人対応とメニュー選択について私の提案をしましょう.
 病院の食事は患者個々に違っているべきであるという意見があります.その理由は,①たとえ病名が同じでも臨床症状には個人差がある,②エネルギー代謝や消化吸収機能に個人差がある,③食習慣や嗜好・生活スタイルに個人差がある,などです.

定点観測 富山県・井波町から

包括医療体系と自治体の責任—保健・医療・福祉の体系確立を

著者: 能海勲

ページ範囲:P.247 - P.247

 地域医療担当医の老齢化が進行してきている.すなわち,開業医の老齢化と新規開業医の減少で,地域医療の崩壊が進行しつっある.当地では筆者が赴任した昭和41年頃には人口22,000人の診療圏に10余の医院があった.その後新規開業医は3病・医院であったが,医師の老齢,あるいは死亡等により現在8病・医院が存在するのみである.しかし,4医院の医師が高齢となり,当地の医療機関は実質的には4病・医院のため,地域医療の業務が当院にのしかかってきて,従来の学校医,産業医,一般検診業務を当院が担当しなければならない状態となってきている.個人医院の子弟にも医師はいるが,地元開業がなく,病院での業務量の増大が起こり,町議会でも今後の地域医療の確保に大きな関心が寄せられている.
 医師の開業志向により国保病院の医師確保が困難となり,病院経営が悪化して廃止の方向で議会で論議を呼んだ昔時に比べて時代の流れを感じる.昭和41年当時赴任した筆者は病院再建のため,医療の近代化,医療機器,検査技術の導入,健康管理事業の必要性を説いて町長と折衝した思い出がある.開業医との競合を避け,病院医療の向上と保健事業とのタイアップを病院再建の柱として強く主張し実践してきた.医療機器の導入,スタッフの充実と平行して地域の医療レベルの向上を提唱し,今日いう病診間の相互理解のため,地元医師会と共同で地区研修会を開催してきた.

医療・病院管理用語ミニ辞典

—病院管理—医療評価/—検査—ヒス束心電図

著者: 小野丞二

ページ範囲:P.248 - P.248

 医療評価(medical audit)とは,病院医療を総合的に評価する方法であり,病院自体あるいは外部の評価者が,病院で行われた医療行為を所定の様式に従ってチェックして反省検討し,欠点を改善して明日の病院医療の質の向上をはかることである.この病院医療という言葉には,診療はもちろんのこと,看護,薬剤,検査,給食,建物設備,病院管理,医療社会事業,診療録管理,医師幹部組織(会議や委員会)などの病院全機能が含まれている.
 世界で医療評価に最も努力してきたのはアメリカであり,1913年,MacEachernの提唱から現在まで,いろいろな活動がなされている.わが国では1963年,橋本寛敏先生が,①平均病床利用率,②平均在院日数,③剖検率,④死亡率等の評価を提唱したが,十分な取組みが遅れていた.しかし,1986年,厚生省と日本医師会が共同で「病院機能評価マニュアル」を作成し,この100項目で病院診断を行い,ようやくこれを公表する段階までになってきた.この評価の基本的視点として,①地域のニーズに応えているか,②患者を尊重しているか,③学術面の向上に努めているか,④合理的,効率的に運営しているか——の4点をあげている.このように,わが国も本格的な医療評価がなされる時代となり,医療評価方法も更に改善されていくものと期待されている.

建築と設備 第23回

兵庫県立尼崎病院

著者: 牧野尚彦 ,   梶原昭二

ページ範囲:P.249 - P.254

■基本構想
 新しく病院を建て替えるに当たり,後藤保郎院長はじめ病院関係者の一貫した希望は,次の4点であった.
 1)患者サービスを中心に運営する病院であること. 2)病院内外を通じ,協力したチーム医療ができる病院であること. 3)高度医療を地域に提供する病院であること. 4)強力な教育・研修病院であること.

地域医療を考える 対談

国保直診施設と地域医療

著者: 黒岩卓夫 ,   山口昇

ページ範囲:P.255 - P.261

国保医学会に力づけられる
 山口 この間,先生が書かれた『地域医療の冒険』を大変興味深く読みまして,文字どおりいろいろなアタックをしていらっしゃると思いました.あの本の中で多少触れられていますが,大和町の病院へ最初赴任された当時の本音を聞かせていただけませんか.
 黒岩 国民健康保険直営診療施設(以下国保直診)とのかかわりについては,結果としては非常に満足しています.ただこれは全くの偶然で,東京からたまたま田舎に行って何かやろうと考えて大和町の診療所へ行ったら,そこが国保直診だったというのが実情です.

医療従事者のための患者学

"患者"とは何か—その哲学的基礎の探索

著者: 木村登紀子

ページ範囲:P.262 - P.266

—なぜ哲学的基礎を求めるのか
 前稿において成立の必要性を述べた"患者学"を展開させるに当たり,まず哲学的背景を検討するのは,本来的には論ずる視点を定めるためである.しかし,まだ「学とは呼べない"学"」の課題と方法を根拠づける既成の哲学論などはあろうはずもない.また「"患者"とは何か」という問に対して,すぐに答えてくれる哲学も現存しない.
 ここでは,「患者という存在」の特徴を明確にすることを目的として,古今のいくつかの哲学的知見を尋ねてみる.そして,この探索の具体的な手続きとしては,まず「人間の存在としての特質」を模索し,それと対照させる形で「患者のこころの特徴」を導き出そうと思う.なぜなら,前回,よりよく患者を理解するために試みるアプローチとして,"個別的あるいは諸々の患者の体験の奥にある「人間のこころ」の動きと,その「こころの動き」を引き起こす源としての「人間存在の特質」を探り,それによって,種々の事例や筆者の遭遇した体験や既知の測定結果をもう一度見直し解読し直したい"と述べたからである.

レポート【投稿】

都立松沢病院合併症病棟10年の歩み

著者: 金子嗣郎

ページ範囲:P.267 - P.270

 1987年4月28日(火)午後,松沢病院合併症診療棟開設記念式が沼田明東京都衛生局長,加藤伸勝松沢病院院長らの下に関係者・来賓らが参集して行われた.松沢病院の歴史の一区切りのはじめとなったことは,関係者の一人として嬉しさに耐えないとともに,今後の松沢病院の方向をどのように取って行くかについての責任の重さに身の引き締まる想いがする.
 この20年来の精神科医療界を吹き荒れてきた嵐の中で,松沢病院は都立病院としての公的役割,また我が国の精神医学,精神科医療の指導的立場を果たしてきた流れの上で,精神科医療をどのように整備し,方向づけるかという苦難の歩みをたどってきたと言える.内外の批判・非難も的外れのセクト的な動きに基づいたものも多く,それらに耳を傾けながらも,正しい道筋を歩んできたものと信じている.

パソコンによる薬品管理業務の合理化とその応用

著者: 菅紀子 ,   秦野東紀子 ,   近藤由利子 ,   高山吉隆

ページ範囲:P.271 - P.274

 医薬品管理業務とは,購入管理・供給管理・在庫管理及びこれらを包括した品質管理を行うことであり,近年の取り扱い薬品数の増加,それに付随する情報量及び購入金額の増加に伴い,その業務量は増加の一途をたどっている.従来の手作業による医薬品管理業務は,員数管理を含め,作業時間と経験を要するものであった.また近年,病院薬剤師の薬物治療に果たす役割は非常に重要となっており,特に,従来の調剤・製剤・試験・情報・薬品管理以外の業務,すなわちTDM,急性薬物中毒検索,病棟活動(クリニカルファーマシー),服薬指導などの高度に専門化された業務が拡大しつつある.これらを質的に高度に維持するためにも,薬品管理業務へのコンピュータ導入は必須であった.
 そこで筆者らは,昭和60年から病院ME部の協力によりパソコンによる薬品管理プログラムを作成し,薬品管理業務に利用している.これによって薬品管理業務の向上と合理化を達成したのみならず,病院経営に積極的に参画するためのタイムリーな各種統計資料の作成などにも役立てているので,その概要を報告する.

時評

在宅ケア政策の必要条件

著者: 宮森正

ページ範囲:P.275 - P.275

 老人医療における在宅ケアは,初めは患者の人権擁護の視点から主としてボランタリーな訪問看護から始まって,ついには厚生省が老人医療費対策の主要な政策として取り上げるに至った.
 現在の保険給付で認められる退院後6か月間,月2回に限り算定可能な訪問看護は,継続的な在宅ケアを目指したものではなく,あくまで退院時の一時的な変動に対処するもので,入院ケアから退院後への橋渡し程度である.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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