icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院47巻3号

1988年03月発行

文献概要

医療従事者のための患者学

"患者"とは何か—その哲学的基礎の探索

著者: 木村登紀子1

所属機関: 1聖路加看護大学・心理学

ページ範囲:P.262 - P.266

文献購入ページに移動
—なぜ哲学的基礎を求めるのか
 前稿において成立の必要性を述べた"患者学"を展開させるに当たり,まず哲学的背景を検討するのは,本来的には論ずる視点を定めるためである.しかし,まだ「学とは呼べない"学"」の課題と方法を根拠づける既成の哲学論などはあろうはずもない.また「"患者"とは何か」という問に対して,すぐに答えてくれる哲学も現存しない.
 ここでは,「患者という存在」の特徴を明確にすることを目的として,古今のいくつかの哲学的知見を尋ねてみる.そして,この探索の具体的な手続きとしては,まず「人間の存在としての特質」を模索し,それと対照させる形で「患者のこころの特徴」を導き出そうと思う.なぜなら,前回,よりよく患者を理解するために試みるアプローチとして,"個別的あるいは諸々の患者の体験の奥にある「人間のこころ」の動きと,その「こころの動き」を引き起こす源としての「人間存在の特質」を探り,それによって,種々の事例や筆者の遭遇した体験や既知の測定結果をもう一度見直し解読し直したい"と述べたからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら