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雑誌目次

雑誌文献

病院47巻6号

1988年06月発行

雑誌目次

特集 「病院機能評価」—現場からの検討

病床規模別に見た「病院機能評価」

著者: 斎藤和雄 ,   馬場健児 ,   飯塚幹夫 ,   服部光男 ,   長沢亨 ,   菊池良郎 ,   福田圀如 ,   大山朝賢 ,   松田正尚

ページ範囲:P.489 - P.495

 本欄は次の設問によるアンケートにお答えいただく形で御執筆いただいております.
①診療科目数と病床数,②医療機能上の位置づけ,③「病院機能評価表」の中のI.基本的事項,II.地域ニーズの反映,III.患者の満足と安心,IV.診療の学術性,V.病院運営管理の合理性,それぞれにおける機能上の評価度,④100のチェック項目の適合性の有無と加えたい項目,⑤「病院機能評価」に対する意見

専門病院別に見た「病院機能評価」

著者: 倉持弘 ,   佐野晋 ,   竹崎治彦 ,   五木田和次郎 ,   中村孝 ,   中村順一 ,   佐藤秀次 ,   平塚秀雄 ,   湯川永洋 ,   谷口尭 ,   野口志郎

ページ範囲:P.496 - P.502

 本欄は次の設問によるアンケートにお答えいただく形でご執筆いただいております.
①メインの診療内容と併設診療科および総病床数,②診療上の特徴,③診療上の特徴から見た場合,「病院機能評価表」のI.基本的事項,II.地域ニーズの反映,III.患者の満足と安心,IV.診療の学術性,V.病院運営管理の合理性の中で,評価が高くなる項目と低くなる項目,④100項目の設問の中で,適合性のない設問と付加したいと思われる項目,⑤「病院機能評価」に対する意見

「病院機能評価」をどう活用するか

著者: 寺田一郎 ,   小林長 ,   角田孝穂 ,   高山瑩

ページ範囲:P.503 - P.507

 本欄では下記のポイントに従って御執筆いただいております.
①「病院機能評価表」のI.基本的事項,II.地域ニーズの反映,III.患者の満足と安心,IV.診療の学術性,V.病院運営管理の合理性という大枠の中で,評価点数の高い項目と低い項目は?②評価点数の低い項目に関する内容もしくは部門の改善策は?③全体的に見た場合,「病院機能評価」の有意性は?④「病院機能評価表」100項目の設問の中で,再検討を要する項目および新たに加えるべき項目は?⑤病院の医療内容および機能向上に向けて,「病院機能評価」の活用方法は?

新たなる「評価」の試み

著者: 東英彦 ,   岩﨑榮

ページ範囲:P.508 - P.516

都立病院における「病院機能評価」の試み
◆はじめに
 昭和62年4月,厚生省・日本医師会合同の「病院機能評価に関する研究会」により,「病院機能評価マニュアル」が発表された.東京都衛生局病院管理部では,所管する17病産院を対象に,日本医師会の試行(10月)に先立つ6月,逸早く「病院機能評価」を試みた.
 都立病院では,東京都公営企業等財政再建委員会(病院部会)答申(昭和55年秋)を受けて以降,計画的に経営改善対策をすすめてきたが,その一環として「目標管理・業績評価制度」を導入し,各病院の医業努力を開設者(本庁)サイドから評価してきているところである.また,研究研修費や医療器械購入費の予算配付に業績評価結果を反映させるなど,経営の効率化に努めている.

座談会

「病院機能評価」をめぐる問題点と今後の展望

著者: 岩渕勉 ,   天本宏 ,   伊藤克明 ,   岩﨑榮

ページ範囲:P.481 - P.488

 岩﨑 昨年4月,日本医師会と厚生省との共同作業で「病院機能評価マニュアル」が作成されましたが,それに基づいて昨年10月,我が国の全病院に対して,アンケート調査という形で病院機能評価が実施されました.現在の我が国の病院数は,昭和61年度の医療施設調査によりますと9,699病院で,一般病院はその中の8,613を占めていますが,今回の調査では初めての試みにもかかわらず,すでに今年1月5日に日本医師会,厚生省双方から発表されていますように,有効回答6,305,うち一般病院は5,413で,約67%の回答率となっています.
 ただ,我々がこのマニュアルを作成した時点では,一応300床程度の病院を標準として設定したため,いわゆる中小病院,特に150床以下の病院ではこのマニュアルを用いても評価されない結果が出るのではないかと危惧していたのですが,中小病院からも多くの回答が寄せられたことは,今回の高い回答率を考え合わせ,各病院が「病院機能評価」,ひいては医療の質の評価に並々ならぬ関心を示していることの証左と言えると思います.

グラフ

住民本位の医療と医育機関の一翼を担って—大垣市民病院の新しい出発

ページ範囲:P.465 - P.470

 岐阜県大垣市は,県西南部(西南濃)に位置する,人口約15万,繊維産業,石灰・大理石などの鉱工業,化学産業を中心とする複合的工業都市.古くは,戦国時代に築城された大垣城の城下町であり,美濃路の宿場町,豊かな水運を利用した物資の集散地として栄えたところである.
 その大垣市民と近隣地区住民35万人の健康をあずかる保健医療センターの役割を担ってきたのが大垣市民病院だ.本年1月,6年間にわたった現地増改築工事が完了,西南濃地区の中核病院としての機能を質・量ともに更に充実させ,文字通り,住民本位の地域包括医療をめざした診療活動を続けている.

第18回IAMLT学会総会組織委員長 金山 昭平氏

著者: 赤木博實

ページ範囲:P.472 - P.472

 第18回IAMLT (国際医学検査)学会総会が今夏7月,「バイオサイエンスの発展と人間愛」をメインテーマに,神戸国際会議場を中心に開催される.極東で初めて開催されるこの学会総会の日本誘致は,8年前の第14回IAMLT学会総会(南アフリカ)で承認されたものである.
 金山昭平氏はこのとき団長として大役を務め,帰国後直ちに準備委員会を発足させ,8年の歳月を費やして組織委員会・実行委員会に進展させるとともに,日本開催に向けて積極的に取り組んでこられた.企画はすべて順調に進んでおり,過去最高のマンモス国際医学検査学会になるものと国内外から大さな期待が寄せられている.

今日の視点 座談会

民間病院におけるMSWの将来像

著者: 鳥羽信行 ,   横山康一 ,   池田純子 ,   増山明美 ,   池上直己

ページ範囲:P.473 - P.480

 昨年5月,「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定され,福祉の分野に資格制度が確立された.そして今,医療と福祉の両分野に関与するMSWも新たに資格制度確立へ向けて歩み出した.
 そこで,今回は新たなる役割期待とともに,業務規定等が再び問い直されるであろうMSW,特に近年その採用が増加しているとは言え,まだ比率的には採用が遅れている民間病院のMSWに焦点を当て,その将来像についてお話しいただく.

医療従事者のための患者学

「患者の理解」への心理学的アプローチ(その1)

著者: 木村登紀子

ページ範囲:P.517 - P.520

 前号までに,"患者学"の課題や目標,あるいはその基礎となる人間理解のための東西の医学や哲学について検討を試み,"患者"という存在それ自体の特質に焦点を当てて考察してきた.
 これからのシリーズにおいては,患者の"こころ"が基本的にどのような動き方をし,特に医療場面や医療従事者とのかかわりにおいて,どんな特徴を示すのか,患者を真に理解するとは何なのか,そして「患者のこころ」を大切にし,かけがえのない存在として接するにはどのようにすれば良いのか,などについて主として心理学の側面から考えていくことにする.

建築と設備 第26回

結核療養施設の転換3題

著者: 伊藤誠 ,   浅野忠信 ,   西野範夫 ,   石井寛美

ページ範囲:P.521 - P.527

結核療養所から一般病院へ
 一時期,"亡国の病"といわれた結核は今や我々の周辺から忘れ去られようとしている.そして,1950年代の中ごろ一般病床を上回っていた結核病床も,1957年を頂点に,以後は廃止もしくは用途変更を迫られ急速にその数を減じてきた.それにもかかわらず病床利用率は低下する一方で,例えば1960年の78.1%が1970年には66.2%,1980年になるとついに55.4%といった状況である.多くの結核療養所は方向転換を余儀なくされ,今や字義通りの療養所は全国でも30施設ほどを数えるに過ぎない.病床の主流は,一般病院にわずかに残されている結核病棟に移った.その大半(約70%)は国立および公的医療機関である.
 精神病床や重症心身障害児の病床に振り替えられたものなど,それぞれ新しい分野で相応の役割を担ってはいるものの,施設的に見ると多くは一時しのぎの域を出ないものであった.需要の低下に伴う方向転換にあっては受け身もしくは守りの態勢にならざるを得ず,変身のための豊かな建設費など期待できなかったのも当然であろう.

特別企画

非常時の対応と問題点—千葉県東方沖地震の体験から

著者: 高梨賢 ,   大久保恵司 ,   小俣真太郎

ページ範囲:P.529 - P.535

 昨年12月17日,千葉県東方沖を震源とする震度5の強い地震が関東地方東部を襲った.病院の防災訓練は年々充実してさていると言われるが,実際の地震に直面して,訓練の成果はどのように発揮され,今後にどんな教訓を残したのだろうか.千葉県下3病院からレポートを寄せていただいた.

厚生行政Q&A

病院電算処理システムと保険請求

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.536 - P.538

 〔問〕診療報酬点数の改正により,レセプトの電算処理を行っている病院はコンピュータシステムの変更を行わなければなりませんが,改正の告示から実施までが12日間しかなく現場では大変混乱しています.情報化社会に適した医療情報システムはできないものでしょうか.

日本の病院建築の七不思議・1

狭すぎる1床当り床面積

著者: 柳澤忠

ページ範囲:P.540 - P.541

 戦後,日本の病院建築は目覚しく進歩した.医学が発展し,医療保険制度も普及し,生まれてから死ぬまで日本人の生活は病院に深く依存するようになったことが背景にある.
 しかし,日本の経済力の急上昇から考え,立派なオフィスやホテルと見比べ,海外の病院と比較すると,まだまだ日本の病院建築は不充分である.どこに問題があるのか,今後どうすればよいのか,21世紀へ向けての努力目標をさぐってみたい.問題点を7つにしぼって日本の病院建築の7不思議とした.

医療・病院管理用語ミニ辞典

—病院管理—ABC管理/—治療手技—食道静脈瘤硬化療法

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.542 - P.542

 生産企業では数百の資材や部品を扱う.その買い方や時期,在庫量の調整,使用過程における無駄の防止などは,大きな意味をもっている.
 1951年,アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社は,取扱部品について調整を行った結果,ABCの3段階に分けて管理することが有効であることを発見した.つまり,種類は多いが,入手が簡単で,単価が安いものをC,数は少ないが価格が高く,不足すると生産作業に齟齬をきたすような部品をA,AとCの中間をBとして分類する.また,数量と金額との関係をみると,A品目は全体の10%以下の数量であるにもかかわらず,金額では75%を占め,B品目は数量は10〜20%で,金額では15〜20%,C品目は数量こそ90%以上にもなるが,金額ではわずかに5〜10%にすぎないことが分かった.

病院管運トピックス 検査

検査情報の流れと信頼性の維持,他

著者: 中甫

ページ範囲:P.543 - P.546

◆臨床検査の流れ
 病院(医療)における臨床検査の役割は,狭義の意味では「信頼性の高い患者の生体情報を迅速に臨床医に提供することにより患者の疾病の診断と治療に寄与することである」と言える.患者の生体から採取された検体を試料として検査をする検体検査,生体から直接情報を取り出す生体検査のいずれも生体情報を取り扱っている点では同じである.臨床検査は基本的には何時でも,何処でも,すぐに情報提供ができなければならないが,その情報に特に要求される二つの大きな条件は,情報の信頼性の高いことと情報伝達の迅速性であろう.臨床検査の依頼から報告までの主なプロセスを表すと次のようになる.
①検査依頼⇒②検体採取(検体検査)⇒③検体搬送(検体検査)⇒④受付・照合⇒⑤検査実施⇒⑥結果整理・精度管理⇒⑦結果報告

時評

婿とり・姉さん女房のすすめ

著者: 斎藤芳雄

ページ範囲:P.547 - P.547

 最近,筆者らの病院に異色のカップルが誕生した.女性は当院勤務の看護婦で32歳,男性は調理員で27歳である.女性のほうの姓を名のるというから,いわゆる婿とりであり,かつ姉さん女房ということになる.
 筆者は,この「婿とり・姉さん女房」こそが,本格的な高齢化社会を見据えた理想的な夫婦の在り方だと常々考えていたので,このカップル誕生をやんやとはやしたてているのである.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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