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特集 インフォームド・コンセント
インフォームド・コンセントの心と形
著者: 唄孝一1
所属機関: 1北里大学医学部
ページ範囲:P.576 - P.578
文献購入ページに移動"インフォームド・コンセント"という言葉を私が知ったのは昭和37年ごろで,アメリカの本からである.何のことか訳が分からなくて,非常にびっくりした記憶がある.これは何かの間違いではないかと思っていたら,さらに,"アンオーソライズド・トリートメント"(unauthorized treatment)"という言葉に出会って二度びっくり,オーソライズされない治療ということで,もぐりの医療の話かと思っていたところが,それがそうでなくて,「患者が承諾していない医療」のことだという.それが分かるまでは,私はかなりその本を読み違いしていたと思う.
その頃,私は,手探りで医事法学の勉強を始めていて,「1つ1つの治療行為に患者の承諾がいる」という思想が,少なくともドイツとアメリカにはありそうだということを知った訳である.さらに当時のテレビの人気番組に医療をテーマとした"ベンケーシー"などがあり,そこでも「承諾のない手術」ということが一再ならずテーマになっていた.それらは私にとって正しくカルチュア・ショックともいうべきものであった.
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