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特集 インフォームド・コンセント
医の倫理とインフォームド・コンセント
著者: 加藤尚武1
所属機関: 1千葉大学文学部
ページ範囲:P.583 - P.586
文献購入ページに移動「インフォームド・コンセント」という概念を医療関係の「近代化」をあらわす概念とみなして良いのか.医師と患者の関係が,呪術師と信者をモデルとする上下関係から,民事契約をモデルとする水平の関係に移って行くことの現れだと見ることは,正しいのだろうか.先生と呼ばれて上に立ち,命令もするが同時に患者を父のような力で保護する,どちらかと言うと封建的な医師像から,患者と人間としては対等の関係にたつ,近代的な医師像に変わっていく,そのような「医師像の近代化」のあり方として「インフォームド・コンセント」があると理解したら,大きな誤りになるのではないだろうか.すなわち「呪術師モデル」と「民事契約モデル」のほかに,第三のモデルが存在しなければならないのではないだろうか.
まず「ポスト・モダニズム」の発想法で,疑問を提起してみる.
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