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文献詳細

雑誌文献

病院48巻6号

1989年06月発行

文献概要

味わいエッセー 出会い

死との出会い

著者: 池田貞雄1

所属機関: 1南大和病院

ページ範囲:P.516 - P.516

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 自分の死との出会いはたった一度しかない.しかし他人の死との出会いは私共医療人にとって何度でもある.大学の医局時代からその後の数年間は,癌などの不治の病に倒れた人が多かった.開心術の初期にはいわゆる手術に成功しても患者さんが助からなかったということが多かった.消化管の縫合不全も助からなかった.この時期では救命し得ないという状態での死であり,主治医にとっても比較的に平静でいられたし,また家族の人たちも納得される場合が多かった.救命を試みたあげくの結果であり,ある程度必然でもあった.
 それから20年を経た現在,私の出会う死は,いかに自分の患者に死を迎えさせるか,どのような形が適切であるのか,病院でか,在宅のままでか,と形を変えてきてしまった.圧倒的に多くは脳血管障害の末期であり,老衰でもある.心臓,脳の急性死でもなければ,癌の慢性死でもない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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