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文献概要
辛口リレーエッセー 私の医療論・病院論
ホスピタリティ
著者: 山口巌1
所属機関: 1福島労災病院
ページ範囲:P.620 - P.620
文献購入ページに移動ひるがえって公的病院なるわれらが職場を眺めてみる.ここは疾病を治す場にあらず病める人を支援する所である,という号令がかかって久しいが,援助の第1号であるべき案内すらなかなか思うにまかせない.そこには婦長かベテラン看護婦を配置することが多いが,これは誘導業務よりもトリアージ作業の比重が高いためだ.売り場はどこか尋ねられるのではなく,何を買うべきか聞かれるのだから,にこやかなお嬢さんではもたない.しかし,そうはいっても,さすがにクレゾール臭こそなくなったものの,玄関を入ると医事課受付と薬局窓口,そして白衣に身を固めた婦長様という構図はいつも気がかりなことではある.悪い病気ではないか,手術といわれたらどうしよう,何日も悩んだ末やっと思い切って出かけてきて,そして玄関を入って最初の視界としてはいただけない.
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