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特集 病院機能と臨床検査部門の見直し
病院医療と臨床検査
著者: 中甫1
所属機関: 1三井記念病院中央検査部臨床化学科部
ページ範囲:P.835 - P.838
文献購入ページに移動近代医療に臨床検査が果たしてきた役割の大きいことは,論をまたないであろう.1951〜1960年のほぼ10年間にわたって,国立病院,大学病院をはじめとする病院において臨床検査の中央化(中央検査部,中央検査室の設置)が進められ,従来,医局単位または臨床医のレベルで行われていた臨床検査が,中央集約的に実施されるようになった.その結果,多項目の検査の迅速・大量処理が可能となり,検査データの信頼性の向上,データの互換性の確保など多くの利点を生みだした.一方,中央化により臨床検査の画一化と細分化が起こり,その弊害として柔軟性のある検査サービスができなくなったことも否めない.
また,近年の医療の近代化および高度化に伴い,国内外ともに国民医療費が年々増大し,各国で医療費の抑制策がとられている.わが国においても同様であるが,特に昨年4月に実施された保険診療報酬の改定は,臨床検査にとって非常に厳しいものとなっている.アメリカにおいても,かつて収入を支える部門,すなわちプロフィット・センターであった病院検査室は,限られた病院の資源を消費する部門,すなわちコスト・センターに変わったといわれている1).
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