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雑誌目次

雑誌文献

病院49巻1号

1990年01月発行

雑誌目次

特集 明るい病院づくり—快適サービスの神髄を求めて

〔てい談〕サービスとは—企業と病院

著者: 飯田亮 ,   岩﨑榮 ,   坂上正道

ページ範囲:P.18 - P.23

 岩﨑 今日は,「病院のサービス」に焦点を当てて,3人で話し合いをしたいと思います.
 坂上先生は,厚生省が昨年5月に報告書を発表した「患者サービスの在り方に関する懇談会」の座長をなさっておりまして,この時期に,なぜ,厚生省がそういう懇談会をおこして報告書を作ったのか,その経過やそこでの議論などを含めて,さらに大学病院の院長というお立場でのいろいろなご経験を踏まえて,大きな観点からお話をいただきたいと思います.

わが病院の患者サービス/付国立病院の患者サービスの実態調査について

著者: 丹野清喜 ,   畑尾正彦 ,   花村哥吉 ,   田島誠一

ページ範囲:P.24 - P.35

水戸済生会総合病院
ガイドライン作成のための試行経験から
 日本病院会が昭和60年5月に発表した「病院憲章」第3条では,「病院は,利用しやすく,且つ,便益を人びとに公正に分ち合うサービスを志向するものとする」と謳われている.医療における最高のサービスは病気を治すことである,とは元来,当然の議論ではあるが,ともすればこの観念に基づく診療最優先の傾向が徹底し過ぎたことで,医療側の都合が先行し患者側の立場への配慮が不十分であったのが,わが国病院医療の実態であったとの反省がある.
 近年,国民の生活水準の刮目すべき向上に伴って,病院での患者サービスについても,安全性,快適性,便益性,効率性,さらには情報提供の必要性などが問われるようになってきている.

病院サービスの代価をめぐって

著者: 高原亮治 ,   黒田幸男

ページ範囲:P.36 - P.40

競争時代の病院サービス
——点数化されないサービスをどう考えるか
はじめに
 本論文の表題は,いささか奇妙な感じを読者に与えるかもしれない.しかし,ここで議論しようとしていることは,例えば病室のカーテンを新しいものに取り替えるとか,病院給食の食器を改善したり,そこそこのレベルの食堂なら当然のこととしてやっているように,予め温めておくとかいった,それそのものとしては点数として評価されていない“サービス”を病院経営上どのように位置づけるのかという比較的単純な——そして一般の経営学上の問題としては問題たり得ない——話にすぎない.こういった主題で編集子が筆者に執筆を要請された背景には,次のような本誌読者の問題意識があるものと思われる.
 ・近年,特に87年の「中間報告」以来,病院サービスの向上がうるさく語られるようになった.

病院の患者サービスに望むこと

著者: 堀勝洋

ページ範囲:P.41 - P.43

個人的体験から(1)待ち時間
 その日,私は9時40分の再診の予約をとった.その日は11時から会議の予定があったが,充分間に合うと計算した.当日,9時30分に病院に行き,他の人が次々と呼ばれるので,スムーズにいっていると内心思った.しかし,予約時間を5分,10分と過ぎても他人の名が呼ばれるだけで,なかなか私の番が回ってこない.10時30分,会議に間に合うぎりぎりの時間になったので,しびれを切らして看護婦さんに私の順番を聞いた.あと3番めだという.これでは間に合わないので,その日はとうとう診察をあきらめた.
 予約というからには,少なくともその時間の10分前後には診察してもらえると私は思っていた.また,そう思うのが一般的であると信ずるのであるが,医療の世界では通じないのであろうか.

サービスマインドの教育—「伊勢丹」百貨店の場合

著者: 安斉久美子

ページ範囲:P.44 - P.45

百貨店のサービスへの姿勢
 東京・新宿地区の各百貨店は,昨年秋以降,競い合うように店内のリモデルを行って全面的に装いを新たにしました.いずれの百貨店の場合も,リモデルの背景に,“高級化,多様化,個性化”志向が強まっているお客様のニーズに的確に応えようとする狙いがあったことは,間違いないものと思われます.昨今は,商品自体の善し悪しにとどまらず,「快適な気分でお買物がしたい」「幅広い情報を得た上でお買物がしたい」といった欲求,いわば,「付加価値」を期待して百貨店を訪れるお客様が圧倒的に多く,それに十分に対応できる内部体制を整備する必要に迫られていたからです.それほどにサービスは奥の深いものであり,百貨店業界は常にそのあり方を模索してきたといっても良いでしょう.
 お客様が期待する付加価値とは,ハード,ソフトの両面にわたる“サービス”に他なりません.各百貨店とも,リモデルを機に社員教育をさらに徹底させ,お客様のライフスタイルの変化に対応したサービスを提供しようと,気持ちを新たにしているのが現状です.ここでは,サービスマインドをもった社員を育成するために「伊勢丹新宿店」が行っている社員教育の概要について新人教育に焦点を当てながら紹介して,病院職員の教育を考える際の参考に供したいと思います.

〔資料〕患者サービスガイドライン(抄)

著者: 患者サービスの在り方に関する懇談会

ページ範囲:P.46 - P.49

1.ガイドライン作成に当たって
 患者サービスの在り方に関する懇談会では,医療機関の提供する患者サービスの一層の向上に資するため,各医療機関が自ら患者サービスを提供するに当たって参考となるガイドラインを作成した.
医療機関で提供されるサービスには,検査,診断,治療,看護,調剤等の医療の本質とも言える専門技術的なサービスから,病室,待合室等の構造・設備,広告といった院内環境や情報についてのサービスまで幅広く,このうち本ガイドラインでは,特に,①患者・家族への情報提供,②患者が医療機関を選択し,受診し,入院するといった過程で受けるサービスのうち,患者の快適性や利便性に配慮したサービスについて,その在り方を中心に取り上げた.(以下,これらを「患者サービス」という.)

グラフ

患者に応える医療サービス—総合病院聖隷浜松病院

ページ範囲:P.9 - P.14

 1990年代に入り,世の中で考えさせられる問題は多いが,とりわけ医療は,諸々のしわよせの行きつく所という感が深い.
 今日求められている医療は?と問うとき,広く医療,福祉,教育の3分野にわたり活動を続けてきた聖隷福祉事業団の躍進は注目されよう.

医療の中で社会福祉の専門性の確立に尽力 社団法人日本医療社会事業協会会長 田戸静氏

著者: 後藤佳子

ページ範囲:P.16 - P.16

 田戸静さんにお会いしたのは,昭和43年.病院は異なっても同じ東京・下町の医療ソーシャルワーカーとして,患者の問題についての相談をもちかけたり,研究会で御一緒したりのおつきあいで,かれこれ20年になった.
 田戸さんは,早稲田大学文学部御卒業後,既に日赤で医療ソーシャルワーカーをつとめられていた御母様の影響もあって,日本社会事業学校研究科で社会福祉を学ばれ,昭和34年に葛飾赤十字産院に就職された.

主張

病院管理者の資質

著者:

ページ範囲:P.17 - P.17

 わが国では病院の管理者は医師でなければならない(医療法第10条)とし,管理者の監督義務(同法第15条)を規定し,医療法施行規則で,「管理者の遵守すべき事項」や「管理者の注意義務」「管理者の改善要求義務」を定めている.これらは医療法全般がそうであるように,病院の構造設備や病室への患者収容,医薬品及び用具に関することなど,主にハード面での管理を要求していて,そこには管理者としての持つべき能力(知識・技術・態度)や資質については何も述べていない.
 要は医師であれば誰もが管理者になれるというのである.だとすれば,医師たるものなべて管理能力が付与されているというのであろうか.病院管理者の資質とは果たしてどういうものだろうか.資質というからには天性のものか.いやそうではない.資質は作られるもの,教育されて備わるもの.では医学教育で管理者の能力が授けられているか.はたまた医師としての経験の中で自然に資質が身につくのだろうか.これらは否定的である.

辛口リレーエッセー 私の医療論・病院論

「円い病院」

著者: 岡本健

ページ範囲:P.50 - P.50

 病院における外来患者の待ち時間について云々されて久しい.厚生省は待ち時間を減らすために国立病院に予約制をとることをすすめ,そのために本格的にコンピュータの導入をはかると或新聞の一面に掲載された.
 病院で待たされる患者の身になってみれば,それが何のために待たされるのか解っていてもつらいことには間違いはない.これに対して何らかの対策を考えなければならないが,全く逆に医師の方が閑で患者の来るのを待っているという病院,3分しか待たされないで3時間の診療などということが将来起こるかもしれない.

病院管理の現場から 医事課窓口から見えるもの

仕事と人を育てる

著者: 佐藤俊一

ページ範囲:P.51 - P.51

開かれたカウンクー
 病院に入って一番最初に誰もが目にするのが医事課の窓口である.今日では,以前のように小さな窓口から声だけがしたり,手だけが差し出されたりするスタイルはずっと減り,オープンのカウンター形式のところが増えてきている.これもお見えになる方に対する病院の姿勢の変化なのだろう.病む人をお迎えし,「どうぞ当院をご利用してください」との開かれたイメージを与えるには良い工夫といえよう.問題なのは,そこに働く職員が,病む人を暖かく迎えいれ,個々の必要に応じた対応ができるかである.たくさんの事務処理をこなしながら,他者への適切な関わりができるようにしていくことは,簡単なことではないが,やっていかなければならないことである.今回は,そうした実践の悲喜こもごもを垣間見てみよう.

味わいエッセー 出会い

放庵

著者: 一柳邦男

ページ範囲:P.52 - P.52

 35年前アメリカへ渡った.インターンをするためである.24歳であった.アメリカ人の先生によれば,私の英語は立派に通じるはずであったが,事実はもどかしくも通じなかった.独りになってくやし涙をこぶしで拭った夜も幾晩かはあった.忽忙の一年が過ぎて少しは余裕ができたころ,私は故国に残してきたものの香りが懐かしくなった.母に手紙を書くと,早速レコードを一枚と,父の蔵書から抜いたらしい本を数冊送ってきてくれた.レコードは四代吉住小三郎の長唄の勧進帳である.このレコードは擦れて擦れて雨が降るまで聴いた.今でも持っている.勧進帳はその後舞台やテレビでどれほど観たことか.弁慶が富樫に向かって遙かに頭を下げるフィナーレにくると毎度こらえられずに流れる涙は,若いころアメリカで流した涙とどうやら同じ組成であるらしい.これも私にとって一つの出会いではある.
 本の中に,角川文庫の小杉放庵『唐詩選私註』があったのが,私にとってもっと大きい出会いであった.この小冊は,旧制の中学高校生程度の初学者を対象に書かれたもののようであったが,私にとってはとにかく面白かった.

医療を囲む声 病院の視力・聴力・感性

こんな病院がほしい

著者: 奈須輝美

ページ範囲:P.53 - P.53

 本欄に2回,私のボランティア(以下V)活動の様子や私の病気などを中心に書かせてもらったが,最後に私の望む病院の姿を中心に述べたい.

特別論考

精神科急性期治療の臨床経済学試論(1)—精神病院が病院であるために

著者: 平田豊明

ページ範囲:P.54 - P.60

今,何故このような試論が必要か?
 先般,「医療機関の効率的運用指針の策定に関する研究」(昭和63年度厚生科学研究)において,医療施設の類型化に関する試案が提示された(表1).この試案は,入院医療費のランク付け強化をテコにして在院期間の短縮と医療水準の向上を図ろうとしてきた従来の診療報酬改定作業の理念を一歩推し進めたものといえるが,ここでは,精神病院群が,その群内変動を無視して現状の算術平均を反映する形で,低スタッフ密度,低医療費の一群に一括して類別されている.確かに,精神科の入院医療は,スタッフ密度,在院期間,医療費単価のいずれをとっても,他科の平均に比べて大いに遜色がある(表2,56ページ).
 筆者は,この試案に盛られた精神病院に対する評価を,精神科医療の内部事情に疎い一部の非専門家による極論とは受けとめず,むしろ,世論一般による精神病院群に対する率直な評価を代表するものと捉えている.そして,この認識に立ったうえで,精神科の臨床に携わる者の立場から,実証的なデータに基づいた反論と代案を用意する必要があると考えている.算術平均では表現されない精神病院群の群内変動,さらには1病院内でも病棟ごとの機能分化があり,これらのばらつきの分析なしには,今後の精神科医療のリアルな方向性は語れないと思うからである.

医療従事者のための患者学

喪失—超えて生きる

著者: 木村登紀子

ページ範囲:P.61 - P.66

「喪失」を援助する
 健康や健全さの喪失,あるいは家族や大切な人の死という喪失に遭遇するとき,われわれはさまざまな形で危機を経験する.危機においては,発達途上でやり残してきた課題に直面させられたり,普段はどうにか維持してきた家族関係の問題,あるいは経済的・社会的な種々の不備が,一気に顕在化することが多い.また,喪失を契機として,それまで見過ごされ,あるいは隠ぺいされていた,自分や家族の対人的な関係の歪みが顕著となり解決を迫られることも多い.したがって,患者や家族にとって「喪失」と取り組む過程そのものが,自他の歪みを修正する好機ともなり得るし,また,歪みや亀裂を大きくする危険性の高いときでもある.それゆえ,喪失をより良く乗り越えられるように援助することは,人間がより人間性豊かに健やかに生きることに対して,極めて重要な鍵となる.
 本号では死の問題を含めて「喪失」への援助のあり方について,心理学的視点から考察する.なお,前2回に引き続き,「人間の存在としての根本問題」への問いに焦点をあてながら,筆者の体験を交えて検討を試みよう.

建築と設備・45

松下記念病院・松下健康管理センター

著者: 奥長隆敏

ページ範囲:P.67 - P.72

予防と治療の総合医療センター
 この建物は,松下記念病院・松下健康管理センター・松下電器健康保険組合本部の3つからなり,松下グループ社員(健保組合の被保険者・家族)の健康管理のための,海外を含む情報・健診・管理・治療のセンターである.また総合健診・事業所健診等の一般的な検査によるスクリーニングにより,必要に応じて精密検診部門で詳細な検査・診断を行い,さらに病院で治療を行うことができる,予防と治療が一貫してなされる総合医療センターでもある.
 病院は昭和15年に開院し,その後5期にわたる増築・改築工事を行って,病床数319床・外来患者950人/日で運営されてきたが,施設の老朽・狭隘化は解消できず,全面移転計画となった.高度医療・新しいシステムの展開と,予防・治療の一体的運営,患者サービスの向上ならびに防災面の充実を目指し,昭和59年1月に工事に着手し,昭和61年3月,359床の新病院・新健康管理センターとして生まれ変わった.

検証・日本医療の論点

1980年代の国民医療費増加要因の再検討—見落とされている医療機関の費用増加と患者の受療行動変化

著者: 二木立

ページ範囲:P.73 - P.79

●はじめに—要約を兼ねて
 近年,国民医療費の増加要因が改めて注目されている.1980年代前半の老人保健法・健康保険抜本改革等の「第一次保険医療改革」と診療報酬の事実上の凍結によって,国民医療費の増加率は急減し,1983・84年度にはそれぞれ4.9%,3.8%と,2年続けて国民所得の増加率を下回った.しかし,その後,国民医療費は,再び国民所得の増加率を上回って,毎年1兆円ずつ増加し続けており,1989年度には20兆円の大台にのると予測されている.そのため,最近の国民医療費の増加要因分析では,医療費改定・人口増・人口高齢化では説明されない医療費の「自然増」の大きさが特に注目を集めている.しかし筆者は,このような議論は医療機関の費用増加という要因を見落としていると考えている.小論では,この視点から国民医療費の増加要因を再計算し,1980年代の医療費増加の約5割は医療機関の費用増加によるいわば名目的なものであり,真の「自然増」は約2割にすぎないことを明らかにする.
 次に,老人医療費は,1970年代に引き続いて1980年代にも,国民医療費の増加率をはるかに上回って増加し続けているため,人口高齢化が国民医療費増加の主因であるとの理解はなかば常識化している.更に,1987年の厚生省国民医療総合対策本部中間報告以降,老人の「長期入院」が医療費増加の重要因子として注目されている.

厚生行政を読む

医療廃棄物

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.80 - P.81

はじめに
 ラーメンかフランス料理のフルコースかいずれかを毎日ご馳走してあげるといわれた時には,ためらわず後者を選ぶであろう者も,その後片付けを毎日やることが条件だといわれたら,ちょっと躊躇ってしまうであろう.経済活動には陽の部分と陰の部分とがあり,地球の温暖化や酸性雨,オゾン層の穴問題などは陰の部分が顕在化したものである.近年は高度経済成長の反省期に入っており,あらゆる経済活動について陰の部分へ視線が向けられているようである.後片付けのことを考えながら食事をしなければならない時代なのである.
 昨年11月,厚生省医療廃棄物処理対策検討会報告として,「医療廃棄物処理ガイドライン」が発表された.医療においても,患者の治療という陽の部分ばかりが注目される時代から,廃棄物処理という治療に直接関係のない陰の部分も注目される時代に突入しているのである.

統計のページ

西ドイツの医療費の統計分析②

著者: 田中耕太郎

ページ範囲:P.82 - P.84

〈前号よりつづく〉
4.医療費全体の構造
 既述のように医療費としては公的医療保険以外にも民間医療保険が一部にあるが,1割以下のウエイトであり,また,全体の医療費についての詳細な統計もないため,以下では,専ら公的医療保険の医療費について分析を行う.

わが病院の患者サービス

総合大雄会病院

著者: 伊藤研

ページ範囲:P.86 - P.87

 国民医療総合対策本部の中間報告が昭和62年6月26日に発表され,その中の「患者サービス等の向上」について医療関係誌は多くを記載している.
 いま何故「サービス」が殊更に注目されるのか.医療は分類上「サービス業」とされるが,過去30年を反省して,「医療の本質サービス」としての診察・検査・治療・看護・調剤など専門技術の向上努力は行われたものの,「表層サービス,快適性の提供」については,残念ながら努力は足りなかった.

病院運営の合理化を求めて

“低層”病院

著者: 安田尚之

ページ範囲:P.88 - P.88

 病院経営は,人,金,物の3つの要素で行われると一般にいわれているが,近年ではこれに「情報」という言葉が加えられている.病院の管理運営面に関していえば,これらの要素(人員配置と動き,金の動き,物の供給または流れ,情報の収集と伝達等のソフト面)は,病院のハード面すなわち器(建物)が決まったときには,すでに大部分は決まってしまっているのである.
既存の病院を改築あるいは新たに病院を新築するとき,ソフト面の細部にわたって方向が決まらないまま建築が進んでしまうことが,案外多いのではないかと思われる.そこで,昭和59年に開院した400床規模の病院づくりに従事した筆者の経験のいくつかを,「病院運営の合理化を求めて」と題して紹介することにしたい.(なお,あらかじめお断りしておくが,病院建築,病院管理については専門の知識をもっていないので,学問的・系統的なことは二の次に,いわゆる実務屋として理論と実際のうちの実際面についてのみ述べるが,病院運営に参考になるものを1つでも見つけていただければ幸いである.)

医療・病院管理用語ミニ辞典

〔病院管理〕賃金と給与/〔救命医療〕救命のための気管内挿管

著者: 一条勝夫 ,   中江純夫

ページ範囲:P.89 - P.89

 労働基準法の第11条は,「この法律で賃金とは,賃金,給料,手当,賞与その他名称の如何を問わず,労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と規定している.
 「賃金」の計算や支給方法を示す体系を「賃金体系」という.しかし,国家公務員法では,「給与」という言葉を使っており,病院会計準則でも同様である.

病院管理トピックス

〔用度〕コンピュータと用度業務/〔医療社会事業〕銀杏のプレゼント

著者: 梅津勝男 ,   今井典子

ページ範囲:P.90 - P.91

 病院にコンピュータが採用されたのは,医療事務のレセプト作成が中心であった.しかし,それも一般企業から見たら随分遅れた導入であったと思う.当院が昭和52年に導入した当時は,今を轟く天下の富士通が,全国の病・医院に導入した大小のコンピュータは,わずかに70台であったことを思い出す.一般企業が,昭和48年のオイルショックから必死に這い上がろうとして,経営努力をしていた頃である.あれから既に16年が経過した現在でも,未だコンピュータを導入していない大学病院があるというが,病院へのコンピュータ導入率は,平成元年5月現在,支払基金のまとめによる診療報酬請求のデータでは表の通りで,病院では73.5%の病院が利用している.厚生省の病院概況調査によると,昭和62年10月1日現在,各種管理業務を含めて71%となっている.医薬品の在庫管理関係では,わずか24%の利用率である.医事業務以外については,ようやくこれからといったところで,やっと取り組み始めたばかりと言っても過言ではない.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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