病院49巻11号

1990年11月発行

特集 医薬分業と病院

医薬分業のタテマエとホンネ

著者： 齋藤侑也¹ 片山孝一² 丸山豊和³ 医業分業問題研究会

所属機関： ¹日本大学医学部附属板橋病院薬剤部 ²聖路加国際病院薬局 ³舞鶴市民病院薬剤科

ページ範囲：P.932 - P.939

院外処方せん発行に関連して考える
　医薬品には，基礎的な医学・薬学教育から開発研究を通して臨床使用に至るまで広い分野が密接に関わっている．医薬品の使用はそれらの思想・知識・技術・経済の集積であり，それらの使用上への影響は極めて大きい．院外処方せんの発行と応需に伴って生じる多くの問題^1〜4）にも，前記のことが大きな影響を及ぼしている．ところが製薬・医薬品卸・関連企業は，院外処方せん発行の成行きを見て対応^5）を考えているようであり，それらが医薬分業に影響を及ぼしている認識がそれほど強くないように見える．医薬分業の本質である正しい薬の使い方を確立するためには，医療機関の姿勢を改めると同時に，医薬教育，製薬・医薬品卸・医療関連企業の姿勢を改める必要がある．本稿には，それらの必要性を示す事柄の一部の例を記す．