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特集 「高機能病院」の目指す道
「高機能病院」の条件
著者: 古川俊之1
所属機関: 1国立大阪病院
ページ範囲:P.744 - P.749
文献購入ページに移動高機能病院を作る環境をどう醸成するかは大問題であるが,高機能病院の条件を定義するのは却って容易である.いわんや高機能病院の備えるべき機器・設備などを列挙せよといわれれば,これほど簡単なことはない.しかし今日の時点で最高の高機能と考えた機器・設備は,この小文が読者の記憶に残っているうちに陳腐化している可能性すらある.したがって,たとえ困難でも,高機能病院をどう実現するかを論じるのが正論であろう.
その前に壁えとして,都市のランク付けの条件といわれる尺度を紹介しておこう.世界都市ともいうべき国際都市の備える条件は6つある.①有名な建築物がある(聖ペテロ孝院,エッフェル塔,エンパイアビルディングなど),②芸術・音楽の発信地である(ウィンナワルツ,ジャズ,ビートルズなど),③映画・小説などの舞台となって知られている(凱旋門,戦争と平和,など),④世界史的な事件の舞台である(バスチーユ牢獄,ベルリンの壁など),⑤ビジネス・経済の中心地である(ウオール街,ボンド街など),⑥自然景観と人工環境が特異な調和を形成している(セーヌ川,テームズ川,レマン湖など)である.なぜこんな馬鹿馬鹿しい譬えを挙げたかというと,高度先進病院と他の病院とどこが違うかと問われると,同じような答えになることに気付いたからである.
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