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雑誌目次

雑誌文献

病院5巻4号

1951年10月発行

雑誌目次

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「病院」を見るEverett W. Jones.

ページ範囲:P.2 - P.2

 "The Modern Horpital"は今では丸善でも南江堂でも樂に取れる樣になつたので,多くの熱心な病院長の机に黄色の表紙を見せている事と思いますが,創刊以來今年で38年と云う米國最古の病院管理雑誌であります。
 A.H.Aの"Hospitals"は,協會の機關紙なのでかた苦しく,赤表紙の"Hospital Manage-ment"は,題の如くmanagementを中心に書いています。

社會保障制度審議會の勸告と醫療機關の整備(その3)

著者: 河野鎭雄

ページ範囲:P.3 - P.7

四 醫療機關整備の構想
(ロ)一般病院
 前稿においては診療所に關する勸告の構想について概述したので次に病院の問題に移ろう。
 病院について勸告は,一般病院並びに特殊病院としての結核療養所,精神病院,癩療養所,傳染病院に分けて述べているが,そのうち一般病院については,第一にその偏在を是正すべきこと,第二に病床の分布を人口一萬當り大都市においては40床,その他の都市においては30床,郡部においては15床を目標とすべきこと,第三に中央病院,地方病院及び地區病院の體系を整備すべをことを述べている。以下これらの點について逐次考察を加えて見よう。

アメリカでの見聞(2)

著者: 尾村偉久

ページ範囲:P.8 - P.14

 次に向うの結核の一般的な情勢をお話いたしますが,結核死亡は,1948年は人口10萬に對して30。日本はたしか10萬對160でしたかですが去年は26と減つております。日本は去年は140ですが,ですから大體5分の1以下というわけであります。1年間約3萬5千人くらいの死亡率であります。日本は12萬2千。人口が5割方多いですから,比率は下るというわけです。但し日本と違うのは,日本で一番死亡率の高いのは北海道の260それに對して低いのは山梨の90で,大體3倍程度の差でありますが,ところがアメリカは非常に大きな差を持つておりまして,一番多いのは南部であります。日本と正反對で,日本は東北北海道,大都市に多く,向うは南部の熱帶方面に多く北に行くほど少い。大都會の多いのは同じであります。一番多いのはアリゾナで12,一番少いのはアイオワの9.5州によつて非常に違う。全體としてアメリカは少いが,部分的に見ますと,遲れた所と進んだところの差がある。これは日本と非常に違う點で,全般としてはアメリカは下位に落ちておりますが,しかしある特定の南部の州については,結核死亡が第1等を占めるという州がある。これが從つてアメリカの結核對策は日本よりより重點的にやらざるを得ない,またやつた方がよいというわけであります。

病院關係人事消息

ページ範囲:P.14 - P.14

◇古關 義之氏 東京慈惠醫大附屬青砥病院長の氏は先般同病院長を辭し,慈大内科專任教授となる。氏は昭和3年慈大卒,久しく慈大東京病院内科に勤務した人である。
◇山田 欽氏 東京慈大内科助教授の氏は慈大青砥病院長に就任。氏は昭利11年慈大卒。母校の内科教室に勤務して現在に至つた人で昭和20年に學位を授與された人である。

臨床檢査中央化についての諸問題

著者: 小酒井望

ページ範囲:P.15 - P.23

 臨床検査室の在り方としては臨床検査の中央化の方向をとるべきこと,並に國立東京第一病院では此の中央化が行われ始めた事については,昨年の本誌10月號に書いたが,その後10ヵ月間の經驗を次の9項目に分けて述べ,讀者諸氏の御批判を仰ぎたいと思う。
 從來の臨床家は,殊に内科系統では,熱心な「學者」であればある程,自分の患者の検査は自分で」をモツトーとして自らも實踐し,又後進を指導して來た。その樣な慣習になれた臨床家から臨床検査を取り上げる—と云うと語弊があるかも知れないが—ことは物議をかもすのも當然である。當院では成る理由から此の中央化が強行された。その後10ヵ月經つたが,その間定員法に縛られて人員の増加が思う樣に出來ず,又限られた豫算内で機械,器具等の整備も意の如くならず,中央化によつて得らるべき利點がわかつていながら,その長所が充分現れず,徒らに臨床各科からの不平と非難を甘受しなければならなかつた。そして来だに解決しない問題が残されている。そのため中央化の長所を充分知つていながら,やゝもすると舊態に戻したいと云う氣を起すむきもないわけではない。この樣な状態に於て,臨床検査の中央化,即ち病院經營の合理化の當然の歸結としての中央化を完成するために直面している諸問題について私共の經驗と私見を述べたい。

新しい病棟を作つて見て

著者: 神崎三益

ページ範囲:P.24 - P.30

 總室,個室の優劣に就ては既に「病院」誌上でも度々論ぜられ,私の經驗からも許されれば個室を主體としたものを取り度いと思つているが,我が國目下の經濟状態と災害救護の使命を帶びる赤十字病院の性質上非常收容に備えた病室を持たねばならぬ事とを考えて,今度の樣な病棟を設計した譯である。
 尚看護,給食の面で看護婦の働きよい樣に,清潔保持のよく出來る樣にと心を配つた心算である。

某病院の手術室

著者: 荒瀨進

ページ範囲:P.31 - P.32

 國立善通寺病院伏見分室は本院から2キロの距離にある。明治30年11月30日,乃木中將(初代,善通寺師團長日露戰の旅順出征中大將となり,その戰功で伯爵となり遂に明治大帝の御跡を慕い,大帝の崩御と共に赤阪の自宅で夫人と共に割腹自刄した。善通寺國立病院の開祖)時代の建設にかゝはる實に歴史的の建築物で今も尚,嚴然として濟世救民の温育場である。
 即ち,この伏見分室(國立善通寺分院)は54才である。一度も火災も風害もなくそのまゝの築造物であり,この寫眞はそのまゝの手術場である。

單位病棟の話(2)

著者: 島內武文

ページ範囲:P.33 - P.39

D.特殊病室
 看護單位といはれる樣に病棟は看護の上から似よりのものを集める樣にして,患者相互の不自由を減ずると共に,看護力の合理的配分利用をはかつている。
 この分類の第一は一般に對して,急性傳染病棟と精神科病棟を區別する。

アメリカ便り

著者: 山下久雄

ページ範囲:P.40 - P.43

 ロスアンゼルスには二つの醫科大學があります1つは南加大學で,それは或種の宗教團體と關係したWhite memorian Hospitalを持つていますが,更に新しい病院を建設中です。
 加洲大學の方は學校丈で,未だ病院をもつていませんが,Veterans Hospitalと關係し,同處を利用しています。阪大の木下教授が同所に居られますので,先ず同博士をお訪ねし,同教授自ら案内して頂いて,見學致しました。同市で一番大きな病院はCounty General Hospitalで病床數3600あり,その外に精神病院,隔離病棟を持つています。比較的新しい病院で兩大學と密接な關係を持つています。サンフエルインドにある昨年出來た新しいサナトリウムも見ました。グリーソン山麓の非常に景色のよい所にあり,建物も立派ですが,内容も素晴しいものです。バスの便はありますが非常に不便な所です。ハイヤーで歩く國民にとつては何ともないのでしよう。病床數は550です。その近くにありオリヴューサナトリウムは主として木造の古いもので晴嵐莊や,天龍莊を思わすものですが,研究施設は素晴しいのです。サンフランシスコには日本人醫師が20人程おり,そういう醫師が主として關係し,在住邦人を相手に日本人が建てた日本人病院も見ました。病床數53の小さい病院ですが,コンクリート建で,内容は中々よく模範となるものです。

看護勤務體制の一方式

著者: 小西宏

ページ範囲:P.44 - P.45

 病院に於ける看護職員,給食關係職員の如き,一般とは異つた勤務形態を本質的,必然的に必要とする職種の勤務體制を,業務上最も能率的に,而も個人の便宜をも考慮して定めることは,病院管理者の常に頭を惱ます問題の一つである。

日本病院協會だより

ページ範囲:P.46 - P.47

A.醫療機關融資期成連盟結成及び運動經過 日時8月8日
 1.參加團體は財團法人濟生會,社團法人日本齒科醫師會,社團法人日本病院協會,全國厚生農業協同組合連合會,日本醫師會,日本赤十字社の六團體であつて,下記規約を決定し取敢えず六團體の陳情書を各120部宛作成一括して國會及び關係官庁方面に提出した。
 續いて8月13日6團體會長會を開催して谷口日醫會長を連盟の會長に推薦し種々具體的運動方策を協議した。翌8月14日6團體代表が總理庁に集合して橋本厚生大臣に面會し,醫療機關の現在の窮状を訴え融資について極力援助方を懇請した。

編集後記

著者: 編者

ページ範囲:P.48 - P.48

 ○今日は,はしなくも世界史に新たな一頁を加えた講和會議調印の日,我が國が新生日本としてやつと獨り立ちを國際間に認められた日である。終戰直後の,あの混亂の坩堝にあつた當時を顧みると,今日あるのがまるで夢の樣な氣がする。併し,これからが又なかなか大變で日本國民は新たな義務と期待の重荷を負わされた訳である。終戰後の日本は,政治上,社會上餘りに多くのものを與えられて而も充分消化し切れず,未だに消化不良の状態にあるものも尠しとしない。これらのものが講和を契機として目下再檢討を加えられつゝある現況である。病院管理の問題も曾ては與えられたテーマであつだが,病院人の覺醒によつて僅か23年のうちにめざましい進展を示して來た。これにはいろいろ理由もあるであろうが,我が國の病院界に於て既に機が熟していたとも云えるのではあるまいか。魚が水を得たように活溌な活動が始まつたと見てよいのではなかろうか。今や吾々は,病院協會をもち,病院管理の研修所をもち,更に順調な歩みを續ける專門誌をもつている。とすれば,既に必要な素地はでき上り,今後はこれを如何に育てゝ行くか,という問題丈である。國際への復歸が通つた今日,前途に尚幾多の艱難が横わるとは云え,吾々は折角のこの芽を大切に守り育てゝ行き度いものである。
 ○前號に續く尾村委員のアメリカ見聞記は愈々佳境に入り,修飾せられざる米國の實態就中病院療養所の生の姿を知ることができた。これにより読者各位は,自ら顧みて或いは安心をし,或いは反省の資として役立つことと思います。

管理者メモ

厚生省の基幹病院整備要綱/基幹病院整備計畫要綱

ページ範囲:P.39 - P.39

昭和27年度より5ヵ年計畫
 厚生省では社會保障制度確立の前提要件として基幹病院整備計畫要綱をかねてから檢討中であつたが,最近成案を得たので8月10日同省において醫療審議會醫寮機關整備部會を開催し,種々審議の結果之れを決定した。
 なお本計畫は,昭和27年より5ヵ年計畫で實施することになつており,同省では27年度豫算として國及び地方公共團體に對して7億圓(2000床)及びその他の公的,私的病院に對しては醫療金融特別描置として48億圓を計上することになつている。

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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