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特集 公立病院はこれでいいのか
公立病院評価の視点
著者: 池上直己1 針谷達志2
所属機関: 1慶應義塾大学総合政策学部 2朝日大学経営学部
ページ範囲:P.596 - P.603
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これまで病院に対する評価といえば,日本では主に財務諸表による評価を意味し,それに従うと公立病院は概して悪い評価を得ることになる1).ところが,一方では社会からは公立病院は一般に高く評価されており,その理由は公立であるがゆえに医療としての公共性と高い質が保たれているという信頼感が置かれていることにある.これら2つの評価は矛盾せず,むしろ財務面以外で医療を評価することが困難なために行われていないことが,住民の公立病院に対する評価を高めているといえよう.
本稿ではこのような財務による評価と,住民が公立というブランド・イメージに基づいて行っている評価に代わる方法を提示することが目的であり,そのためにまず財源の問題と運営の問題を分けて考える必要性を説明する.その上で,公私の病院が互いに自由に競争することを前提とするモデルと,両者がそれぞれ機能分化してゆくことを前提とするモデルを提示し,日本における公立病院のあり方として後者のほうが適切である論拠を示す.
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