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雑誌目次

雑誌文献

病院51巻8号

1992年08月発行

雑誌目次

特集 新診療報酬と今後の対応

[覆面座談会]新診療報酬体系を斬る—病院経営者、研究者による率直批評

ページ範囲:P.680 - P.687

200床,100床を少し超えている病院は減床で防衛
 月(司会) 今年4月の診療報酬改定の影響はどうだったのでしょうか.現場からの実感をまずお聞きしましょう.
 火星 昨年の4月分と本年4月分の総点数を比較すると,入院部門では約7%程度増加しました.外来部門は,当初かなり落ち込むのではないかと危惧しておりましたが,幸いなことに現状維持となりました.

改定によって何が生じたか、病院経営はどうなるか

大規模病院の立場から—財団法人竹田綜合病院

著者: 竹田秀

ページ範囲:P.688 - P.692

はじめに
 今回の診療報酬改定の特徴は,現在の病院が,今後病院として存続していくために満たすべき基準を,明確に打ち出したことであろう.特に医療法改正案においては,触れていなかった一般病院を3区分したことは,病院機能類型化を先取りしたものとして注目に値する.
 新設,改定された項目から,これからの地域基幹病院像を描くと,100床当たり医師12名以上で外来患者比率は1.5倍以下,基準看護はすべて特3類(療養型病床群を除く),2・8体制厳守で週40時間労働,病棟は1床当たり8m2以上となる.更に適時適温給食,薬剤師による400点業務を行うことが期待される.

中規模病院の立場から—財団法人慈山会医学研究所附属坪井病院

著者: 野村昭人

ページ範囲:P.693 - P.696

当院の概要
 今回の診療報酬改定の影響を述べる前に,病院の概要に触れておく.この規模と機能での病院における影響と考えていただきたい.
 当病院は開院15年,許可病床数312床,基準看護特2類,内科,外科,消化器科,呼吸器科,婦人科,放射線科,麻酔科の7科目を標榜し,常勤医師数23人,年間手術全麻件数550件,入院患者の約70%強が癌患者である.

小規模専門病院の立場から—東京・伊藤病院

著者: 伊藤國彦 ,   萩田強

ページ範囲:P.698 - P.699

画期的な改定ではあるが……
 平成4年4月1日に施行された診療報酬の改定は,従来の点数改定と異なり,今後の日本の医療体系の方向性を示す画期的なものである.その中でも重要なことは病院は入院医療を診療所は外来診療を担当するという構図である.そしてこのことは点数の配分上にも反映されている.
 この病院と診療所の役割分担は医学医療の進歩の結果として当然考えられる新しい形態であろう.しかしこの区分になじまない病院が存在することは事実である.当院のような特殊な小専門病院はその最たるものであるが,他にも各種小専門病院や単科病院あるいは地域に密着した私立中小病院についても同じようなことが言い得るのではないかと思う.

総合病院と眼科病院を比較して—医療法人きっこう会

著者: 海北幸男

ページ範囲:P.700 - P.701

はじめに
 今回の医療費改定は大病院,特に基準看護を取得している病院が有利で,中小の基準看護を取得していない病院が不利だとの一般的な評価がある.実際の影響をみるには大きく分けると,①カルテからの新旧の置き替え,②日当点(1日1人当たりの点数)の比較,の2つの方法がある.
 しかしそれぞれには以下の難点がある.

入院医療管理病院の立場から—医療法人社団充会上川病院

著者: 吉岡充

ページ範囲:P.702 - P.705

老人病院の変遷
 はじめに,わが国の「老人病院」がどのようにして生まれ,現在の入院医療管理病院(病棟)制度へと変遷してきたのか,その過程を振り返り,システムの内容と意義について考えてみたいと思います.

老健施設をもつ病院の立場から—医療法人社団延山会苫小牧澄川病院

著者: 岩本光存欣

ページ範囲:P.706 - P.708

老健施設療養費2ケタ台のアップは率直に評価
 老人保健施設をもつ病院の立場から,今回の診療報酬改定の影響について述べよ,とのことであるが,結論から先に言うならば,1か月や2か月の収益面の動きだけからは,とても今回の改定の“影響”について云々することは出来ない,というのが私の現在の判断である.
 私共の老健施設「苫小牧健樹園」は58床(うち8床はショートステイ)であるから,単なる数字の上から言えば,施設療養費,短期入所ケア加算,デイケア施設療養費等を値上げしていただいたので,その分だけ確実に収入が増加するはずである.実際に4月,5月の収入を前年同月と比較すると,いずれも130万円強の増加になっている.

精神病院と併設老健施設では—医療法人静和会浅井病院

著者: 浅井邦彦

ページ範囲:P.709 - P.712

はじめに
 '92年診療報酬改定は,医療法改正を先取りしたものとも言われ,厚生省の21世紀へ向けての医療システム改革の方向を散見させている.
 今回の診療報酬改定内容は,病院と診療所の機能別評価をはっきりと打ち出し,地域医療を二次医療圏毎にすすめて行くにあたり,プライマリケアを診療所が担い,病院は入院部門に重点を置く方向にインセンティブが示されている.病院は入院サービスの向上に力を注ぎ,アメニティとクオリティの改善に取り組まなければ,地域の病院としては機能して行けないことになる.

新診療報酬で良質な看護の提供は望めるのか

今回の改定のねらい—厚生省保険局

著者: 森山弘子

ページ範囲:P.713 - P.717

改定幅の半分が看護関連に
 医療において適切な看護サービスの供給を確保していくためには,看護職員の勤務条件の改善が図られることが重要である.また,現在,基準看護をとっていない6割の医療機関のうち少しでも多くの医療機関が基準看護の承認がとれるようにし,付添い看護のための患者の保険外負担をできるだけ減らす必要がある.
 このような認識のもとに今回の改定においては,看護関連に特段の配慮を行った.改定幅5%のうち看護関連に2.6%があてられた.改定の主な内容は次のとおりである.

職能団体の立場から—社団法人日本看護協会

著者: 杉谷藤子

ページ範囲:P.718 - P.721

改定の総体的評価
 今年の社会保険ならびに老人保健の診療報酬改定では,1に人件費(給与費)対応,2にサービスの質への対応,3にアメニティへの対応の基本的な考え方がとられたと思う.そして特に,異例のことながら,中央社会保険医療協議会により「良質な看護サービスの安定的・効率的な供給の確保」への対応として,看護婦の労働条件の改善などが示唆された.
 このことにより既報の通り,改定率5%(実質2.5%)中,2.6%が看護関連で引き上げられる事態を生んだ.この背景には,看護婦不足があったこと,職能団体として「良質なサービス提供のため,増員などの条件づくりと看護職の主体的活動の評価を求め」資料を添え,要望を重ねてきたこと,また,関係団体の支持を得られたことがあったと思う.

基準看護未取得病院の立場から—医療法人社団三奉会井上病院

著者: 井上信彌

ページ範囲:P.722 - P.725

はじめに
 昭和56年6月の▲18.6%の薬価改定に際し,奇しくも,この『病院』誌上において,スペースを与えられた当院事務長は,「病院は震えた」と表現し,加重平均値にもとづく薬価算定方式採用の必要性を改めて訴えたが,今回の改定診療報酬について意見を求められることになった私は,果たして何と表現すれば良いのであろうか.今,言うべき言葉を知らない.衝撃の度合いの大きさからである.
 誤解をされないように明らかにしておくと,今回の診療報酬改定ほど,明確な意志,明白な方向性,大胆な点数配分等で厚生省の意図するところを具体化した改定は,かつてなかったのではあるまいか.しかし,大胆な改定ほどその一方で,弾力的な適用を心がける細かい配慮が必要なはずである.その意味で大いに不満がある.

グラフ

地域リハビリの中核施設として飛躍的に充実—兵庫県立リハビリテーション中央病院

ページ範囲:P.671 - P.676

兵庫県は県政百年記念事業の一環として玉津福祉センターリハビリテーションセンターを1969年10月に開設,その医学的リハビリテーションを担う施設として附属中央病院(病床数190床)を設置した.その後,逐次施設の整備を図ってきたが,増大するリハビリテーションのニーズに対応するために,より高度で専門的かつ総合的なリハビリテーションを行える県全体の中核施設として再編成,整備する計画を策定した.この計画に基づいて,まず本年2月に新病院が竣工,4月1日より診療を開始した.この新病院のオープンを機に玉津福祉センターも名称を「兵庫県立総合リハビリテーションセンター」と改め,引き続き重度身体障害者更生援護施設,能力開発施設,屋外リハビリテーション訓練施設などの整備を進め,来年度末には新たな出発を図る予定である.(以下,澤村院長に新病院の現況などをお聞きした)

第18回日本診療録管理学会会長 済生会神奈川県病院 山本修三院長

著者: 相川直樹

ページ範囲:P.678 - P.678

 「万能」という言葉が最もふさわしい慶應ボーイである.昭和10年東京銀座に生まれてから,恩賜財団済生会の最古の病院である神奈川県病院の院長に就任した55歳まで,多くの記録を作った.学生時代は医学部のバスケットボール部と競争部のほか,慶應義塾体育会スキー部で活躍した.「本チャン」と言われる体育会の猛練習と学業を両立した医学生はほかにはいない.大学院,さらに米国で研究を続け,外科医としては消化器外科手術にその天才的能力を発揮した.なにしろ手術が整然として早い.済生会神奈川県病院は慶應の外科で最も人気のある教育出張病院となった.小生も含め,弟子たちは「山本学校卒業生」を自負している.山本先生の手術を見たことのない人でも,達筆な手紙やトランプ手品を見ればその器用さがわかる.年賀状は毎年心のこもった自作の版画と毛筆という努力家でもある.もちろんゴルフはシングル級.
 昭和61年まで病院の外科部長,救急医療担当部長,総合情報システム部長を兼任し救急患者の手術からコンピュータソフトの企画まで陣頭に立ち,今日の近代的総合病院の基盤を確立した.現在,慶應義塾大学医学部客員教授,横浜市病院協会理事など多くの要職を兼任,理事を務める日本救急医学会の初代編集委員長として学術への貢献も大さい.

主張

病院経営と事務職員

著者:

ページ範囲:P.679 - P.679

 若年労働人口の減少が国民生活に与える影響は,いわゆる3Kと呼ばれるキャッチフレーズによって,一時は大きくクローズアップされたものの,バブルの崩壊,景気の減速とともに社会的な危機感は急速に薄れつつあるようにみえる.しかし典型的な労働集約的産業である医療の分野で,病院経営者は,慢性的な看護婦不足に加えて,全職種に及ぶ人手不足の影に怯えながら,この問題の深刻さを,ある意味では時代を先取りする形で感じ始めている.
 特に病院という職場は職員の大半が有資格者によって占められている特殊な職場であり,その中で病院経営者は,無資格者である事務職員の採用には以前から頭を悩ましてきた.まして人手不足の時代となれば,あの手この手の他産業のリクルート攻勢に,どう抗していけばよいのか無力感は深まるばかりである.給与や待遇の問題はさておき,より根本的に見直す必要があるのは,病院事務の業務内容そのものが,若い人たちに魅力のある仕事として映っていないという点ではないかと思える.

現代病院長論

新任病院長1年間のチャレンジから—3危機管理5か条

著者: 古川俊之

ページ範囲:P.726 - P.730

ヤーさんが入院して勝手放題あなただったらどうする?
 最後に危機管理能力ですが,私の体験談をお話ししましょう.これは次の事件を機に,スタッフの意識統一をはかったものです.病院の正面の駐車禁止表示のあるところに,ダックスフントのような外車を停めて,その筋のうるさい人が入ってそれはもう好き勝手をしておりました.勤務時間中に看護婦に個人的な用事を言いつけたり,夜勤で人手のないのにお構いなく背中が痛むから揉めのさすれのと勝手放題をいう.女性の入浴日にオレだけは風呂に入るとか,とにかく無茶苦茶なことをしていたのです.
 ことの起こりはひとりのふしだらな医員が宿酔で診察して,威嚇されて弱みを握られてしまったのですが,こともあろうに当のダメ医師はうまく立ち回って追求を逃れ,かわりに糖尿病と腎不全の管理に当たったまじめな医師が言いたい放題を辛抱していたようです.アメリカの視察旅行では,病棟管理を見る目をまだ持たなかった看護部長も,こんな不条理がまかり通るのに遭遇したのは初めてですと言ったほどのひどさでした.ところが私には何の報告も入っていなかったのです.

建築と設備・76

病院の建築面積とその部門別配分—1980年代

著者: 伊藤誠 ,   中山茂樹 ,   劉雨揚 ,   河口豊

ページ範囲:P.731 - P.738

面積分析の意義
 本誌に初めて日本の病院の建築面積に関する分析結果を発表してから早30年近くになる.内容は,その当時の病院がどの程度の面積で建てられているか,そして,その面積を病院内各部門にどのように割ふっているかを見たものであった.
 結果は,言うまでもなく時代と共に変わる.特に目ざましい経済成長を遂げた我が国のことである.たとえば,1床当りで見た延べ面積をとっても,当時はせいぜいが30m2前後だった.それが今日では優に倍増している.

連載 今,なぜ戦後医療技術史か・6

蘇生技術の進歩とその今日的課題

著者: 上林茂暢

ページ範囲:P.739 - P.744

救命・救急医療の明暗
 頭部,四肢,胸部,腹部に及ぶ交通事故外傷,広範な熱傷,重症の心筋梗塞や脳卒中発作,未熟児出産,中毒…,蘇生技術の進歩が救命・救急医療にめざましい成果を上げているのは周知の事実であろう.これらの高度医療に限らず,種々の成人病のアクシデントや術中術後の急変に直面する地域病院においても日常,蘇生技術を欠くことができず,卒後初期研修の重要な柱の一つに挙げられている.その結果,かつてはあきらめられたような高齢者や重症者の手術・治療に挑戦,救命・社会復帰を可能にしている例が少なくない.
 にもかかわらず他方,その最前線ともいうべき救命救急センター1)で憂慮すべき事態が報じられている2).名古屋大学付属病院救急部は,1983年愛知県の三次救命救急医療機関の一つとして発足,91年4月から24時間体制に入った.ところが5名の医師が辞め,4月から救急医療を停止せざるをえなくなった.深刻な看護婦不足のためベッド制限・閉鎖に追いこまれる例は一般にもようやく知られるようになってきたが,今回は医師問題も表面化してきたことになろう.

事例 医療施設間連携

開業医から病院へ望む—東京・三鷹市の経験から

著者: 中村努

ページ範囲:P.745 - P.747

はじめに
 三鷹市では,10数年前より神経難病の在宅ケアを行っている.これは多摩地区に都立神経病院があり,多数の神経難病患者が入院加療を受けていることと無関係ではない.神経難病は経過が長くなり,病院側も患者も自宅にて療養を希望する者が多い.そこで地域としてなんとか神経病院と協力してこれらの患者の面倒をみることが出来ないかと,医師会と行政,保健所が手を携えて始めた在宅ケアが発展し,システムとして日本国内でも誇れるものと自負できるまでに定着してきたのである.しかし,システムを実際に動かしていくと種々な問題が発生し,特に人間関係的な要素が案外多いことがわかった.システムは1人で動くのではない.システムを動かす人たちの協力があって初めて十全にその機能を発揮できるのである.特にこの点について,診療所側より病院への提言をという企画なので,実例を踏まえて提言したいと考えた.

厚生行政展望

先端厚生科学技術の動向(上)—遺伝子治療

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.748 - P.749

 保健・医療・福祉など,厚生省関係の科学技術の推進方策について,総合的に審議するための組織として,「厚生科学会議」というものがある.これは,厚生大臣も交えた学識者の懇談会として,昭和61年に発足したものであるが,従来から厚生科学の重要課題について基本的な方針を示しており,現在,杉村隆国立がんセンター名誉総長が座長を務めている.
 この厚生科学会議が,このほど,今後社会的にも大きな影響のある報告を,立て続けに2本公表した.6月22日の「遺伝子治療に関する中間意見」と,7月3日の「介護機器等研究開発推進会議報告書—障害者や高齢者の自立のためのテクノロジー」がそれである.以下,2回にわたって簡単に紹介していきたい.

統計のページ

「1991年病院における訪問看護実態調査」より最終回—[3]在宅ケアのネットワーク作りが課題

著者: 岩下清子

ページ範囲:P.750 - P.751

家族介護力の低下
 訪問対象者の年齢は,65歳以上が75%,うち80歳以上が35.1%を占めている.1985年調査と比べ,後期高齢者の比率が高くなっている(表1).
 家族介護の状況についてみると,対象者全体の8.8%が独居,29.5%が65歳以上の老人に介護されている.1985年調査と比べ,終末期に入院せず,訪問看護を受けながら在宅のまま死を迎えたケースの比率が低下しているが,その主なる原因は家族介護力の低下にあると思われる(表2).

看護管理の目・7

看護学生実習に見直しの機運が

著者: 川嶋みどり

ページ範囲:P.752 - P.753

 埼玉県では看護学生の病院実習の充実をはかる施策として,今年から「実習指導調整者」をおく病院に対して,設置補助金の交付(国・公立を除く)が決まった.すなわち,県の定める講習会を修了した実習指導調整者を設置する病院には,毎月支給される基本給及び諸手当(超過勤務手当を除く)と,知事が定める算定基準額の,何れか少ない額に2分の1を乗じた額を補助するという.平成4年度の算定基準額は,242万1,000円ということであるから,約120万円の補助となる.今年は32病院がその補助を受けたと聞いている.
 自治体がこうした補助をする背景には,昨今の切実な看護婦不足問題があるに違いない.「臨床実習指導に一貫性をもたせて充実をはかる」という趣旨は,臨床実習を通じて1人でも多くの学生が,職業としての看護の魅力を肌で感じてもらいたいという思いに通じる.病院サイドから見ても,そうしたポストを作り講習を受講させることで,補助を受けられるのだから歓迎しない理由は何もないはずである.

病院経営Q&A・8

病室基準

著者: 筧淳夫

ページ範囲:P.754 - P.755

Q 「理想的な病院の基準はあるのか」「病院を建てるにはどの位の面積が必要なのか」

病院アメニティの改善・7

医療法人白水会白川病院—いやされる環境こそが病院のアメニティ

著者: 野尻眞

ページ範囲:P.756 - P.757

病院概要
 白川病院は岐阜県の中央部,人口約13,000人弱の白川町にある.昭和21年5月5日,初代院長野尻元廣が開業して以来,昭和55年4月,医療法人白水会白川病院となり,現在,一般病床124床,透析10床,総職員数115名で運営している.敷地面積6,611m2,建築面積1,814m2,延床面積4,069m2,地上3階鉄筋コンクリート造りである.
 白川病院は,山間部の中核病院として,医療,保健,福祉,健康増進へと幅広い活動を展開している.特に医療においては,正確な診断,適切な治療,親切な看護をめざして,飛騨路一号機のMRIやCT,超音波,電子内視鏡を中心にした各種画像診断機器の整備,救急医療への取り組み,また透析センターの運営に努力を傾けている.「地域患者の健康と生命を守る」を標語に,家庭的な雰囲気の中での高度な医療の展開に心がけている.

病院管理フォーラム

[臨床検査]検査過誤と法的責任(その1)/[環境整備]インテイアの管理/[薬剤]医薬品情報の効率的利用/[栄養]医療法改正と栄養業務

著者: 高橋正雄

ページ範囲:P.758 - P.761

信頼の原則
 臨床医が治療を行うにあたって,臨床検査のデータを抜きにしては患者の的確な症状把握は不可能になりつつある.ときには「検査漬け」と中傷されたり「伝票医療」とまで喧伝されているのもこのためである.
 いずれにしろ,自ら依頼して得られた臨床検査データが,精確なものであるという「信頼の原則」にたって,学問知識や経験を駆使しながら医学的評価としての診断,治療行為の選択,具体的な治療に移行するという過程をとる.

MSWの相談窓口から

患者と障害者のあいだ

著者: 沼尻香代子

ページ範囲:P.762 - P.762

 病院は,患者が障害者として退院するか,病人として退院するかの岐路である.患者は病院に入院したのだから治るものと思っている.しかし,症状固定という診断のもと,退院を余儀なくされる場合がある.つまり治療効果が上がらず,ある状態のまま変化の望めない時に用いられる語が,症状固定である.その状態は各科で見られるが,とりわけ深刻なのが,歩行障害や住宅問題を伴ってくる片麻痺や対麻痺,四肢麻痺を生じる疾患にある患者たちである.
 医師から“症状固定”だから治療は終了,退院または転院等と言われ説明がなされたとしても,患者や家族は困惑し,悲嘆し,衝撃に戦く.そうした状況でソーシャルワーカーは,患者と障害者のあいだにある病人に出会うことになる.

看護管理用語解説

看護管理過程

著者: 草刈淳子

ページ範囲:P.763 - P.763

 看護が一連の看護過程(情報収集・査定—計画立案—実施—評価)を通してなされることは,今日では,臨床看護婦の常識となっている.
 ジリス(Dee Ann Gillies)は,複雑な看護管理の流れを,この看護過程と対照させ図1のように「看護管理過程」として示している.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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