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文献概要
現代病院長論
新任病院長1年間のチャレンジから—3危機管理5か条
著者: 古川俊之1
所属機関: 1国立大阪病院
ページ範囲:P.726 - P.730
文献購入ページに移動最後に危機管理能力ですが,私の体験談をお話ししましょう.これは次の事件を機に,スタッフの意識統一をはかったものです.病院の正面の駐車禁止表示のあるところに,ダックスフントのような外車を停めて,その筋のうるさい人が入ってそれはもう好き勝手をしておりました.勤務時間中に看護婦に個人的な用事を言いつけたり,夜勤で人手のないのにお構いなく背中が痛むから揉めのさすれのと勝手放題をいう.女性の入浴日にオレだけは風呂に入るとか,とにかく無茶苦茶なことをしていたのです.
ことの起こりはひとりのふしだらな医員が宿酔で診察して,威嚇されて弱みを握られてしまったのですが,こともあろうに当のダメ医師はうまく立ち回って追求を逃れ,かわりに糖尿病と腎不全の管理に当たったまじめな医師が言いたい放題を辛抱していたようです.アメリカの視察旅行では,病棟管理を見る目をまだ持たなかった看護部長も,こんな不条理がまかり通るのに遭遇したのは初めてですと言ったほどのひどさでした.ところが私には何の報告も入っていなかったのです.
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