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雑誌目次

雑誌文献

病院52巻12号

1993年12月発行

雑誌目次

特集 第3次医療法改正はどうなるか

[てい談]次期医療法改正への課題—医療人としての対応を考える

著者: 坪井栄孝 ,   河北博文 ,   紀伊國献三

ページ範囲:P.1052 - P.1060

第2次医療法の改正は時代の趨勢
 紀伊國 1992年,大規模な医療法改正がありました.特定機能病院,療養型病床群が新設され,医療提供の理念が前文としてつけ加えられました.この改正につづいて第3次以降の改正が考えられますが,この座談会では,今後の改正に向けて,我が国の医療提供体制はこういう点が必要ではないかといったお話を中心に進めていきたいと思います.まず最初に,坪井先生から,第2次医療法改正をどう評価されるのかというあたりからお話しいただけますか.
 坪井 今回の改正は21世紀に向けてなされたということがよく言われます.21世紀に何が変わるかというと,やはり人口構造なんでしょうね.高齢化の進展に対して今までの医療法では,提供する側,医療を受ける側双方にとってあまりにも選択肢が少な過ぎた.いわゆる単純な施設法ということだけでは賄い切れなくなってきていたので,今回の改正は必然的に出るべきものが出てきたという感じですね.

病院像の変化—求められる新たな病院の姿

著者: 大道久

ページ範囲:P.1061 - P.1064

自由開業による病院の今後の姿
 特定機能病院の承認を申請する大学病院が出始め,療養型病床群の認可も数十施設になるというものの,病院を取り巻く閉塞状況の打開の兆しは認められない.看護要員の確保問題がやや好転し,看護の配置基準の見直しも確実視されていることは悪くない材料であるが,肝心の医療費改定は,その財源難から大きな期待はできないという悲観的な見通しも強い.病院は,まずこの困難な経営問題に直面して,今後どのように「変化」すべきかの検討を迫られていると言ってよいだろう.
 改めて述べるまでもなく,わが国の病院のかなりの部分が自由開業医制の下で成り立った経緯がある.医師たる身分を得た者が,診療科を問わずいずれの場所でも開業が可能であるとしたこの制度は,医師に医業を行うことについて極めて強力な動機付けを与えてきた.そして,皆保険が達成された後の医療の普及・拡大の時期に,診療所から病床を整備して病院へと発展する事例は少なくなかったことは,わが国の1万の病院のうち,概ね半数が100床未満であり,その多くが私的医療機関であることに端的に示されている.

医療法人制度のゆくえ

著者: 宮坂昌利

ページ範囲:P.1065 - P.1068

はじめに
 医療法人制度が発足してから43年が経過し,民間医療機関の担い手としてはもちろん,医療全体の中における役割として見ても,極めて大きな存在となっている.
 現在,医療法人数は18,414であり,医療法人立病院は全病院数の43.5%,病床数ベースでも全病院病床数の40.0%を占め,診療所分野ではいまだ個人経営が優位にあるものの,医療法人は,わが国の医療の最も重要な担い手となっているといって過言ではない.

臨床研修指定病院のゆくえ

著者: 今中孝信 ,   八田和大 ,   小泉俊三 ,   楠川禮造

ページ範囲:P.1069 - P.1071

はじめに
 本特集のねらいは,厚生省「国民医療総合対策本部」中間報告(1987年)の基調を受けた第2次医療法改正およびそれにつづく第3次,第4次改正がどうなっていくかを予想すると同時に,このような医療変革の波に現場サイドではどのように対応していくべきか明らかにし,来るべき医療法改正に備えることにある.
 そこで「臨床研修指定病院のゆくえ」を考える視点から「中間報告」および第2次医療法改正を“病院の教育機能”について改めて読んでみると,改正点は診療面が前面に出て教育機能面について明確な方向が示されていない.特に医療改革と教育改革の関連が不明確である.

中小一般病院と第3次医療法改正—「地域医療」からの発想

著者: 今井重信

ページ範囲:P.1092 - P.1096

 近い将来に予定されている「第3次医療法改正」は,明確に中小一般病院がそのターゲットである.我々にとって今必要なことは,あれこれを予想し一喜一憂することではなく,我々自身がよって立つ基盤から主体的に医療法改正を考えることではなかろうか.そこで,中小民間病院に身を置く一医療人として,私なりに「第3次医療法改正」へのアプローチをしてみたい.

[提言]地域中小病院に求められる“前線を支える”病診連携

著者: 小野重五郎

ページ範囲:P.1097 - P.1100

はじめに
 住民が体の異常を訴えて一番先に受診する地域の一般診療所や中小病院の外来を〈前線〉としよう.慢性疾患の患者が,生活圏で日常的な診療を持続して受けるのもこの〈前線〉である.近代的な診断・治療機器をもった入院施設や,それに直接支えられている外来を〈後方〉としよう.
 そうすると,前線をいかに後方が支えるか,病診連携とはこの内実をつくることである.

民間中小病院のゆくえ

地域密着型内科系小病院として—札幌・西岡病院

著者: 西澤寛俊

ページ範囲:P.1072 - P.1073

医療法人恵和会と西岡病院
 昭和54年,内科・呼吸器科・循環器科・消化器科を標榜する80床の地域密着型内科系一般病院としてスタート.昭和60年,医療法人恵和会に改組すると共に104床に増床する.
 平成2年,100床の都市型老人保健施設「アメニティー西岡」を開設し,老人医療にも取り組む.また同敷地内にメディカルビルを誘致し,従来院内にあった小児科,皮膚科がそれぞれ独立すると共に眼科,調剤薬局が開院し地域のニーズに幅広く対応し得る医療ゾーンを構築した.平成4年,診療報酬改定に対応するため病床を98床に減床する一方,在宅医療に対応すべく老人訪問看護ステーション「すずらん」を開設し,法人全体で医療・福祉・介護に関するトータル的なケアを提供している.

基本的に変えるものは何もないし、変えようもない—枚方・佐藤病院

著者: 佐藤真杉

ページ範囲:P.1074 - P.1076

 医療の進歩と普及に伴い,医療機関に対して機能分化と質ならびに効率の向上が求められるのは当然の成り行きである.
 さりながら,私どものように医療費抑制時代の幕開けに開業し,年々厳しくなる一方の医療情勢の中を,地域の医療需要に精一杯応えながらやっとの思いで駆け抜けてきたつもりの小病院にすれば,「逆さにして振っても,もうこれ以上は鼻血も出ない!」と叫びたいのが本音である.

救急医療を主とする脳外科専門病院として—熊谷・関東脳神経外科病院

著者: 清水庸夫

ページ範囲:P.1077 - P.1080

はじめに
 病院は医療法改正や診療報酬改定などによって変化していくが,中小病院の場合は,それらだけでなく,その時々の社会の変化に応じて変化していかなければならない.
 バブル時には若者たちの仕事に対する意欲や姿勢が大きく変ったし,人びとの人生観や社会構造も大きく変化した.さらに21世紀には未曽有の高齢化社会が到来する.このような変化に伴って老人医療施設が増加した.この結果,患者の世話などについて本来ならば家族がおこなった方がいいと思えることまで病院にまかせ勝ちとなり,こうした面に対する家族の能力が落ちてきている.このようなことも中小病院の医療や経営に大きな影響を及ぼしていると言えよう.

医療環境の変化をどうとらえ専門病院としてどう対応していくか—別府・野口病院

著者: 野口志郎

ページ範囲:P.1081 - P.1084

はじめに
 私共の病院は主に甲状腺と頸部の疾患を取扱う,154床の外科を中心とした医療法人病院です.1年間の手術例数は1,400例を超え,手術例の約80%は甲状腺の疾患です.その他に内分泌代謝病の内科的治療,耳鼻咽喉科疾患も取扱っています。しかし,消化器,循環器など頻度の高い疾患は私共の専門の病気と合併している場合以外には取扱いません.したがって非常に広い地域からの患者を集めて診療しています.
 私は甲状腺と副甲状腺を主に取扱う外科医でありまた甲状腺の中でもまた狭い専門分野の研究者でもあります.医学そのものの問題についてはある程度専門的な見識を持っているつもりですが,医療政策とか医療経済とかの問題については1人の医師としての意見以上のものはありません.しかし,物事を実証的に考える習慣がありますので,私の立場からみて,疑問を持ったり,いま世間で言われていることとは別の解釈を持っていることもあります.このような認識の違いを先ず明らかにし,次に専門病院の特徴に少しふれてみたいと思います.

小児専門病院に未来はあるか—大阪・中野こども病院

著者: 中野博光

ページ範囲:P.1085 - P.1088

はじめに
 中野こども病院の開設は昭和41年10月である.やがて30周年を迎えようとしている.団塊の世代の子ども達を迎え出発した病院も,やがて合計特殊出生率1.50(昭和初期4.71)という我が国が未だかつて経験したことのない少産少子の時代に突入した.
 一方厚生省は昭和62年国民医療総合対策本部中間報告を発表し,その大きな柱の1つとして,患者サービスの向上を指摘した.この精神は平成2年1月厚生省健康政策局の「21世紀をめざした今後の医療供給体制の在り方」として,より具体的に示された.この方向付けは脈々として今日に至るまで流れ続けている.その内容は平成2年第118国会に提出された第2次医療法改正案に盛り込まれた.そして平成4年第123国会でやっと日の目を見た.私どもの病院も,昭和62年の中間報告発表と同時にその内容を検討し具体的な行動をはじめた.

大腸肛門疾患の診療に専門特化—福岡・福岡高野病院

著者: 高野正博

ページ範囲:P.1089 - P.1091

医療にも浸透している平等と平均化の文化
 これまでのところ,我が国の医療制度では,国民は日本中の如何なる病院に受診しても一向に差し支えないことになっている.その中には片や大学附属病院や大総合病院から,中小病院,有床・無床診療所までが含まれている.どの病院を受診するかは,各人の都合や好みによって選択されてきたし,また医療施設側もそれに対応してきた.
 規模の小さい方から言うと,例えば診療所には大抵レントゲン透視装置や内視鏡があるし,簡単なリハビリ設備や手術室を備えているところもある.有床診療所においては,当然のことながら入院設備もある.また大学附属病院などの大病院でも,臓器移植など高度の医療を目指す一方で腹痛・感冒などの患者さんも診察する.これらは我が国における平等さ,平均化が医療の世界にも及んでいることを示している.

グラフ

アメニティを重視し「医やす院」の伝統を21世紀へ継承—順天堂大学附属順天堂医院本館

ページ範囲:P.1043 - P.1048

 順天堂大学医学部附属医院の新本館が竣工,10月12日から診療を開始した.今回の改築は学校法人順天堂大学が昭和63年に創立150周年を迎えた記念事業の一環として進められたもので,改築事業が平成2年2月から進められてきた.
 新本館は旧本館病棟跡地に建てられ,鉄筋コンクリート造り,地下4階,地上14階.病床数は全病棟を合わせ1,020床と従来と同じだが,新本館病棟は病床数594床となっている.全体的に暖色を基調とし,随所に円弧を用い,柔らかさや和やかさを表現している.

農村医学・地域医療一筋に情熱を燃やす—総合病院旭川厚生病院 杉村巖院長

著者: 松尾弘文 ,   八木保

ページ範囲:P.1050 - P.1050

 彼とは昭和35年に北海道大学医学部を卒業し,旭川厚生病院のインターンとして配属されて以来の付き合いです.当時の藤井敬三院長が日本農村医学会の農夫症に関する調査をされていた時代でした.そこで,われわれインターンは各臨床科での実習の傍ら,その調査にも加わり,藤井院長および病院スタッフとともに,汽車や馬車で北海道中央部の上川管内の農村を実際に回り,約1万人の農業従事者と旭川市民との自覚症の差を調査して歩きました.その結果はインターン仲間が中心となって手回しの計算機で統計学的処理を行い,農夫症10大症状としてまとめました.
 彼が農村の地域医療に関心を持たれたのも,恐らくこのインターン時代の経験が契機ではないかと推測します.

主張

在院日数から病院機能をみる

著者:

ページ範囲:P.1051 - P.1051

 今日,病院を終の住処などと考えている人はいないと思うが,現在でも病院で死を迎える人が統計上からも多くを占め,いわゆる在宅死は非常に少ない.
 『病院で死ぬということ』(山崎章郎著,主婦の友)という類の本がよく読まれていることからすれば,本当に病院で死ぬことがよいかどうかが問われているのであろう.

特別寄稿

MRI(磁気共鳴装置)導入・利用の日米比較―日本でのハイテク医療技術と医療費抑制との「共存」の秘密を探る(2)

著者: 二木立

ページ範囲:P.1101 - P.1105

結果(つづき)
MRI 1台当たり検査件数とスタッフ数等の日米比較
 MRIの利用,スタッフに関しても日米格差は大きい.表7に示したように,MRI 1台1週当たり平均検査数は日本の35.7件に対して,アメリカは68件と倍近い.この理由は,主としてMRI 1台当たりの稼働時間の違いである.日本では一部の施設を除いて,MRIは職員の通常勤務時間のみ稼働しているのに対して,アメリカでは大半のMRIが職員の2交代制で稼働している.3交代制で24時間稼働している施設すら存在する.
 MRI 1台当たり平均専任スタッフ数の日米格差も大きい.日本の1.8人に対して,アメリカは6.0人,日本の3.3倍である.上述したアメリカのMRIの稼働時間の長さを考慮しても,差は大きい.これは量的格差だが,質的格差も大きい.アメリカでは,各MRIに専属の放射線科医が配置されているのが常識だが,日本でそのような体制をとっている施設はごく一部の大学病院・大病院に限られる.また,アメリカでは大学以外の大・中規模病院の放射線科・MRI部門にも,理学博士資格を持つ画像技術専門家が配置されているのが普通であるが,わが国では大学病院ですら,そのような専門家は配置されていない.

医療パラダイムの形成と脳死社会[その2]—脳死社会アメリカの実像

著者: 秋葉聰

ページ範囲:P.1106 - P.1110

移植のための臓器・組織摘出
 臓器移植の実態をさぐるために,まず,どのような臓器と組織が移植の対象とみなされているのか素描しよう.人間の体は,現在の時点では技術的と言うよりも倫理的な理由で,生殖器官の移植はなされていない.表1の数字は利用可能な臓器・組織の数を示す.
 こうした臓器・組織はスペア・パーツ22)と一般的によばれているが,角膜,骨,髪の毛,精子,血液はバンクに貯蔵されている.角膜に関していうと,20州では本人による生前の拒否意思表示がない限り,死後,自動的に摘出される.

インタビュー

21世紀に存立し得る病院をつくる—石井 昌三 順天堂大学学長に聞く

著者: 石井昌三

ページ範囲:P.1111 - P.1114

 ●順天堂大学では150周年記念事業として,順天堂医院の本館を新築されましたが,この本館改築の基本的コンセプトはどのようなことでしようか.
 石井 まず,順天堂医院の開設以来のモットーが患者サービスを中心にするということですので,これを堅持することが第1です.それから医療環境が激変しており,21世紀は予測しがたい変化の時代になるだろうと思われるわけです.したがって,時代の変化に対応し得る病院づくりをするということ.もう一つは土地が狭隘でしたので,これまで学生教育という視点が後方に押しやられてきた一面がありましたが,われわれの後に続く21世紀の医療を担う医師の育成にもいっそう力を入れなければならないということから学生教育に相応した施設をつくること.これらが新本館建築の具体的な理念です.

退院計画 病院に求められる新しい機能・5

退院援助からケースマネージメントへの展開

著者: 中村雪江

ページ範囲:P.1115 - P.1119

はじめに
 地域病院では,退院後も継続して受診するケースが多く,入退院をくり返すケースも少なくない.近年は,高齢化が進むにつれ,退院後も濃厚な医療や介護を必要とする患者が自宅に退院する例が増加している.こうしたケースに対しては,退院時に援助を行うだけでは十分でなく,その後も継続的に症状や家族の生活状態の変化をアセスメントし,適切な医療や福祉のサービスに早期につなげていくケースマネージメントの機能が求められる.
 こうしたケースマネージメントは,近年,地域ケアに必須の機能としてその重要性が強調されるようになり,厚生省が1990年に発表した「高齢者保健福祉推進10か年計画(ゴールドプラン)」でも,ケースマネージメントを中心的に担当する機能としては,「存宅介護支援センター」を2000年までに全国に1万か所整備する計画をうち出している.

厚生行政展望

コーヒーブレーク拡大座談会'93—今年を振り返って

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.1120 - P.1124

給食費の自己負担が論議の的に
 菊地 また今年も例年のごとく,年末の座談会を迎える季節になりまた.今年で9回目になりますが,それなりの反響もあり,私たちもこの座談会を楽しみしています.今回もみなさんの忌憚のない意見をお聞かせください.
 さて,病院界で今年一番の話題はというと,医療保険審議会が打ち上げた給食の自己負担の話ではなかったかと思います.審議会が9月にまとめた中間報告に,給食の問題も含めて,これからの保険医療のあり方がいろいろと論じられているわけですが,その辺からまず皆さんの意見をうかがわせてください.

病院経営Q&A・23

予算編成

著者: 川渕孝一

ページ範囲:P.1125 - P.1127

 Q 病院予算を立てる上で考慮すべき点はどんなものでしょうか.病院予算は管理者レベルで作り,管理者レベルのみで一応の目標として見ておくものでしょうか.病院の管理・運営あるいは将来へのある方向をめざすために役に立つ病院予算の立て方はどうなるべきでしょうか.

副院長考・9(最終回)

看護部長兼務副院長のパイオニアとして

著者: 石垣靖子

ページ範囲:P.1128 - P.1129

ラインとスタッフの両方の機能をもつ当院の副院長職
 1983年,ホスピスケアの実践を標榜して開院した東札幌病院は,その基礎づくりの時期を過ぎた1987年,組織の改革を行なった.それまで診療部,看護部,事務部だけだった部門に,将来構想を立案したり,病院全体の教育・研究を強化する部門として,医療企画部を新設した.同時に病院の要になる診療部,看護部,医療企画部の長を副院長にし,副院長3人制がスタートしたわけである.
 組織図の上では各部門の長はラインとして位置付けられているが,3人の副院長は同時に病院長のスタッフの役割も兼ねている.その副院長の1人がナースであることは,病院そのものの機能を考えると自然なことだと思えるが,しかし客観的にみてみると,このことは大変意味のあることではあった.アメリカではともかく,当時ナースが副院長になるなどとは,日本の医療界ではまだまだ馴染まないことだった.むしろ最近になって,ナースの副院長がほかにもみられるようになり,そのことがクローズアップされた感がある.

老健Now・6

老健施設の複合施設化

著者: 小山秀夫

ページ範囲:P.1130 - P.1131

 病院併設が主流となってきた老健施設に対して,ケアハウスを併設する老健施設が各地に誕生している.このタイプは北欧型のモデルで,西欧やオーストラリアでも数多い.住宅サービスを基本とするケアハウス,ケアを中心とする老健施設に,在宅サービスを加えた3本柱が相互に協力して,地域のサービスセンターとして機能することにより,効率的なサービス提供体制が確立する.将来的には,ケアハウスを併設する老健施設が増加することが予想されている.今回は,ケアハウスとの合築第1号である鳥取県境港市にある社会福祉法人養寿会「幸朋苑」のケースをみることにする.

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「病院」 第52巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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