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特集 社会からみた医療の質の評価
医療のテクノロジー・アセスメント—医療の質を保証する社会的な枠組み
著者: 久繁哲徳1
所属機関: 1鈴鹿医療科学技術大学医用工学部医用情報工学科テクノロジー・アセスメント部門
ページ範囲:P.394 - P.401
文献購入ページに移動われわれが直面している最大の課題は,高齢化社会における保健医療の問題である.例えば,慢性・老人性疾患の治療,機能障害に対する長期ケアー,健康増進と疾病の予防,在宅医療・社会的ネットワークなど,緊急に対応しなければならない課題は山積みされている1).
しかしながらこうした課題に対して,現在,開発・利用されている高度医療技術の多くは,その有効性が明らかにされていない.というのも,これらの技術は不完全技術(halfway technology)だからである.最先端の科学技術が使用されているものの,対象となる疾患の基本的な機序が解明されていないため,最終的な健康改善の達成は明確でない.その意味では,真の医療技術(genuine tech—nology)に到達するまでの中途段階に過ぎない.しかも,こうした医療技術には多額の費用が必要とされる.
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