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特集 病院のダウンサイジング
最近の施設計画にみるダウンサイジングの方向
著者: 河口豊1
所属機関: 1国立医療・病院管理研究所施設計画研究部
ページ範囲:P.592 - P.597
文献購入ページに移動我が国の医療施設が量的には欧米先進諸国に比肩するようになり,これからは量から質へ転換して行かなければならないといわれてから久しい.病院ベッド数を誇り,医療機器の高度化を競う傾向にあったことは否めない.受け手である患者に必要十分な医療サービスが提供されているか,の厳しい評価がなされずに走り続けた結果ともいえよう.医学関係学会でも話題は技術開発が中心のようであり,患者にどのような医療が必要十分で適切か,どのような医療は不必要で行うべきではないのかなどのチェック姿勢は馴染まないようである.現在あるとすれば診療報酬査定であろうか,それとても医療施設側と十分了解が成立しているわけではない.
そのため,在宅医療サービスなどの機能が欠落していたこともあり,規模の大きいことが,また機能の高いことが目標となり,診療所から小病院,大病院と拡大してきた病院を賞賛しがちであったといえよう.医療に少しでも関係のある住民の多くを医療の枠の中に取り込み膨れ上がってしまった.その結果,実態は医療法に定めた最低限の職員数にも満たない病院を生み出し,ベッド間隔のほとんどない病室を持つ病院が未だに存在することとなったのである.これは第一次(1985年),第二次(1992年)医療法改正と進んだ要因の一側面であったろう.
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