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雑誌目次

雑誌文献

病院53巻12号

1994年12月発行

雑誌目次

特集 「病院死」を考える

閉じ込められた死—文化人類学から見た病院での死

著者: 内堀基光

ページ範囲:P.1078 - P.1081

人類と死
 ヒトとヒト以外の動物の境界に死という現象がある.というと,やや謎めいて聞こえるかもしれません.ですが,ここで言いたいことはきわめて明瞭なことです.すなわち,人間の死という現象はまさしく特権的な意味での社会的・文化的現象であって,この特殊性こそが人間の存在をその他の動物から質的に分かつごく少ない特性の1っだということであります.これについてまず考えてみましょう.
 ここ二三十年間になされた霊長類学のめざましい進歩によって,ヒトと高等類人猿のあいだの越えがたいとされてきた垣根は,その多くが取り払われてしまいました.チンパンジーがごく簡単なものながら道具を制作し使用することはすでによく知られているところですし,また彼らが,実際に人間的な音声を発するわけではないにしても,用意された記号や象徴を利用して言語的コミュニケーションをおこなう能力を獲得できることも明らかになってきました.また霊長類の社会について言えば,われわれがそれを語るとき,もっぱら擬人的な表現を用いて語っても何らおかしくはないほどに人間的なものです.

できる限りの医療と無駄な医療

著者: 森岡恭彦 ,   酒井敬介 ,   豊島宏

ページ範囲:P.1082 - P.1086

はじめに
 近年,近代国家では社会保障制度とそれに伴う医療保険制度が整備されるにつれて,国民は誰もが医療の恩恵を享受しうるようになってきた.しかし,一方において医学の進歩とともに高額な医療機器や医薬品が利用されるようになり,さらに医療従事者の増加,人件費の高騰などによって医療費は上昇する傾向にあり,またわが国の如く急速に人口の高齢化のみられる社会では国民の総医療費の増加は著しく,国民がどこまでその負担に耐えられるのか懸念されるようになってきた.そして医療施設には経済上の制約が課せられ,患者に対して何をどの程度提供しうるのかが問題になってきている.
 また平和で豊かな社会が続くにつれて,人々はただ寿命が伸びることだけでなく,生きている間の生活あるいは生命の質(quality of life)を問題とし,さらには如何に死すべきかといったこと(quality of death)に対しても希求を募らせてきて,助かる見込みのない患者の命をただ漫然と維持することへの疑問が提起されるようになってきた.

高齢者の終末期医療の問題点

著者: 横内正利

ページ範囲:P.1087 - P.1091

はじめに
 老人医療のなかで,終末期(以下,末期)医療は大きな位置を占めているが,一方で数多くの難問を抱えている.また,高齢者の末期とは何かという根本的な問題についての認識にもかなりの混乱がみられる.
 たとえば,非高齢者の場合癌の末期を想定して議論されることが多いが,癌の末期についての議論が高齢者にも適用されようとしている.確かに,癌は高齢者にも多いが,その議論をそのまま高齢者にも適用することには問題がある.高齢者の末期には,疾患の末期という側面の他に,老化の末期(老衰)という側面が大きい.とくに,老化の進んだ高齢者では,後者の要素が強くなり,そのため,非高齢者の末期とはかなり異なった病像を呈することが多い.そのため,高齢者の末期は,非高齢者以上に複雑な問題をはらんでいる.

患者は本当に自宅で死にたいのか、死ねるのか—病院MSWからみた在宅死の可能性と課題

著者: 柴田睦

ページ範囲:P.1103 - P.1106

ソーシャルワーカーが「死」と出会うとき
 当院は西三河地方では数少ない公立の総合病院であり,救命救急センターを併設している544床の病院です.院内では毎日何人かの患者さんの死をみとっている一方では,現代医学を駆使した機械の中で患者さんは生かされています.医療相談室では2人のスタッフで1か月250〜300人の相談を承っています.
 私がソーシャルワーカーとして院内で患者さんの死と直接向かい合うことは,ほとんどありません.急性期を越えた患者を抱える家族の問題として,また,親族を失って残された家族の問題として,癌の告知を受けた直後の患者本人の問題として「死」を,残された「生」を共に考えて行く機会は随分あります.しかし援助内容を細分化した統計は取っておりませんのでデータはありません.ソーシャルワーカーの役割の1つは患者さんの意見の代弁だと言われておりますが,死に関する問題だけは,その患者さんの生きてきた歴史の中で作られた人的環境によって決まると思っています.

「かかりつけ医」と死の看取り

著者: 加藤恒夫

ページ範囲:P.1107 - P.1110

はじめに
 近年,医療・福祉界は在宅ケアブームであり,末期がんケアもその例外ではない.平成6年4月からの診療報酬改定には,末期がん在宅ケア料や訪問看護のターミナルケア加算が盛り込まれ,それに向けた厚生省の意欲をうかがわせる.
 しかし,平成3年の人口動態調査では,自宅で亡くなっている末期がんの患者は6%と,欧米諸国に比して著しく少ない(英国ではがん死の30%が自宅)(図1).しかも,それらのほとんどが病院から提供された在宅ケアであり,開業医が関与している例はほとんど無い.

[インタビュー]緩和ケア病棟での死—国立がんセンター東病院・志真泰夫病棟医長が語る

著者: 志真泰夫

ページ範囲:P.1111 - P.1116

緩和ケア病棟は看取りだけの場所!?
 国立がんセンターの新しい病院として東病院がオープンしたのは1992年7月でした.2年あまりが経過したことになりますが,この間,緩和ケア病棟に入院された方は2年間で392人にのぼります.そのうち約8割が死亡退院,残りの2割の方がある程度症状が改善し,一旦退院して自宅に戻っています.
 一般に多くの方は,緩和ケア病棟イコール看取りの場所,死を迎える場所と理解しておられます.大体亡くなる1か月くらい前に入院するケースが多く,緩和ケア病棟で死亡した方の在院日数は,1年目が33日,2年目が36日となっています.

がん死患者の家族は病院での死をどうとらえているか—『働き盛りのがん死』から

著者: 松榮達朗

ページ範囲:P.1117 - P.1121

はじめに
 我が国の人口動態統計は,出生・死亡・死産・婚姻および離婚の5事象を対象としており,国民の人口動向,健康状態などを写し出す鏡としての使命を持っている.この人口動態統計について,社会経済面からより詳細に分析することを目的に,「人口動態社会経済面調査」がその時々の行政ニーズに合せて毎年テーマを変えて実施されている.平成4年度は「悪性新生物(がん)」をテーマとして,40歳から64歳までで「がん」で亡くなった方々の家族を対象に調査を行った.
 「がん」は,昭和56年以来今日まで我が国の死亡原因の第1位を占め,平成4年の死亡者は23万2千人で,全死亡者の27.1%に達している.つまり,4人に1人は「がん」で亡くなっていることになる.

人工呼吸器を止めるとき

医師としてどのように対処すべきか

著者: 古賀保範

ページ範囲:P.1092 - P.1094

はじめに
 医師の立場から「人工呼吸器を止めるとき」というテーマについて述べるに当たり,先ず人工呼吸器について簡単に解説し,次いで医師はどのような場合に患者に人工呼吸器を装着するかについて述べ,その上で「人工呼吸器を止めるとき」について医師の立場から私見を述べることにしたい.

高度医療の場で看護婦が果たすべき役割

著者: 山本南生美

ページ範囲:P.1095 - P.1098

はじめに
 当院は,高度先進医療の認可をうけたベッド数1,000床の総合病院である.集中治療部(以下ICU)は最先端の医療機器と高度医療技術をもって,重症の患者を診断・治療することを目的として機能している.ここでは生命尊重を第一とし救命することが最優先される.また科学技術と医療の進歩はめざましく,従来不可能であった治療が可能となり,末期状態にある患者の延命をも可能にした.
 その反面終末期医療の多くの部分が「過剰医療」「延命至上主義」「意味のない医療」との批判を受け,市民社会は自衛手段として尊厳死という考えを提起しているのが現代社会である.

救命救急センターでの最後の10日間—脳動脈瘤破裂で脳死を来した夫に付き添って

著者: 大島久美子

ページ範囲:P.1099 - P.1102

 この原稿の依頼の電話を受けたのは,94年8月27日,この日は夫・雅稔の誕生日でした.生きていれば36歳です.雅稔と一緒に病院から家に帰るときT医師とT婦長さんの深々と頭を下げた姿が忘れられません.

グラフ

高次機能・高収益を誇り躍進しつづける小牧市民病院

ページ範囲:P.1069 - P.1074

 この10年余り,小牧市民病院の敷地内で槌音が途切れた日はどれくらいあったのだろうか.1981年,名古屋大学から余語弘院長が着任して以降の当院の変身ぶりは,まさに躍進という名に相応しい活気に溢れたものである.1983年(昭和58年),第1期工事に着工してから,現在基礎工事に取りかかっている特定がん病棟(写真)の第5期工事まで,2〜3年毎に増築を繰り返してきた計算になるが,この間の医療機能の充実と,それによってもたらされた医業収益の著しい伸びは,多くの病院関係者の注目するところとなっている.その躍進の“秘密”については不十分ながら,編集室の見聞をグラフ関連記事として本文1139〜1141頁にまとめたので,そちらをご参照いただきたい.当グラフ欄では写真と併せて,当院の特徴を説明していくことにする.

日本病院薬剤師会会長 日本大学医学部附属板橋病院薬剤部長 齋藤侑也氏

著者: 大国真彦 ,   八木保

ページ範囲:P.1076 - P.1076

 齋藤侑也先生を日本大学附属板橋病院薬剤部長としてお迎えしたのは1988年9月のことであった.ちょうど私が板橋病院の副院長をしていた時で,薬剤部長選考委員会委員長を務めたり,臨時に薬剤部長を務めたりしていたので,ある程度この方面の事も判っており,大変優秀な方をお迎えできたと喜んだものである.
 1989年から私が板橋病院院長に就任し,板橋病院が外来患者全員に院外処方せんを発行することになったが,あいたスペースの活用,外来調剤のための薬剤師を病棟業務につける病院の方針に対して実に手際よく統制のとれた処理をしていたださ,大した混乱もなくスムーズに移行できたのは齋藤先生のおかげである.

主張

病院での満足死は望めないのか

ページ範囲:P.1077 - P.1077

 『病院で死ぬということ』(山崎章郎著,主婦の友社),『姥捨の国—病院がなくなる日』(斉藤盤根著,弘文堂),『病院でつくられる死—死と死につつあることの社会学』(デヴィッド・サドウナ著,せりか書房)等々,病院での死を取り扱った著書や評論は最近の2,3年のものをひろってみた限りにおいても百点は優に越えている.
 「お世話になった病院からせがむ患者(老父)の『家に帰って死にたい!』の切なる願いに堪らずに逃げるようにして連れ帰った息子.歩ける状態で入院し,点滴漬けのわずか2週間で立つことはおろか日常動作が出来なくなった状態で退院する.それでも帰宅できた喜びで笑顔が戻った.それからの毎日,老母と息子は,家での介護にはげむ.動かせなかった足が動き這いずりまわる.家での自由さの中で面倒みる家人の負担が重くなる.悪戦苦闘の老母と息子はかかりつけ医とヘルパーへの援助を乞う.しかし慣れぬヘルパーの親切さに拒否反応を示し,用意されたギャッヂ・ベッドにも自由さを奪われるのか,病院を思い出したのか拒否する.ぶらさがった螢光灯のスウィッチの紐を生きている証として消したりつけたりが続く.この動作が止む.鼾をかく.それもやがて静かになり,呼吸がとまり,何事もなかったように静かなおだやかな死を迎える.家人の温かい手のぬくもりの中で」

特別寄稿 北米臨床内科との接点を求めて

〈西洋近代医学〉の影をめぐって(その2)—〈私たち流の西洋近代医学〉の「影」の由来と刷新の可能性

著者: 松村理司

ページ範囲:P.1122 - P.1127

「影」の由来
①貧困な医学教育
 第1にわが国の医学教育が貧困なままだ.卒前臨床教育における大講堂での講義の偏重は,わが国では今だに広くみられるが,西洋では廃れてずいぶん久しくなる.教育上の効率がはなはだ悪いからだ.1870年代のドイツの影響らしい8)から文字どおり前世紀の遺物といえる.卒後教育や生涯教育の必要性も長らく指摘されてはいるが,掛け声とは裏腹に中身はみすぼらしい限りだ.研修医と指導医の双方を本気で評価しようとしない姿勢は,医師全体としての職業倫理を築かなくてもすんでいる甘えと通じている.大学医学部の臨床系教室すらが基礎研究に重点を置き,臨床や教育に真剣に取り組んでこなかった付けが回っている.明治初年の〈西洋近代医学〉導入以来の一貫した伝統といえる.救急医療がおそまつなのも全く同根である.
 ごく最近社会問題にさえなったMRSA感染症などは,本来なら単なる臨床論理の課題にしかすぎない.ごく初歩の臨床薬理学すらが現場に浸透していない9)からこそ,薬価差益という経営のからくりにも容易に付け入れられる.高度医療の場である大学病院すらが,その例外でないどころか,かえって元凶に近い有り様なのは誠に嘆かわしい.そのあげく,医師全体に対して社会から倫理的非難が集中的に浴びせられる.

現代病院長論

国立病院改革の軌跡(2)—国立津病院での経験から(後篇)

著者: 岡崎通

ページ範囲:P.1129 - P.1135

医薬分業
医薬分業のメリット
 私は4〜5年前に100%の医薬分業をやりたいと上局に当たってみましたが,当時は反応はなく,まだ機は熟していませんでした.平成4年3月に直接,本省に当たりましたところ,「1つ考えてみましょう.国立病院の分業モデル病院37の院外処方箋の発行率は平成3年度は平均12.6%に過ぎず,困っていた.院長からの申し出は大変貴重です」ということで,許可が得られたのは10月でした.
 すでに昭和54年秋から一部の分業は始めていました.外来の待合室の混雑がはげしい,患者の待ち時間が長い,調剤数に比して薬剤師の定員が少なく,医療監視で指摘を受ける,薬剤購入予算が十分でない,等を少しでも緩和できればという理由で,予算に応じて25〜30%の院外処方箋を発行してきました.調剤は病院のすぐ傍に設立された三重県薬剤師会の経営する薬局で,点分業の形で行われてきました.

インタビュー

高知市・二火会モーニングカンファレンス—細木秀美氏・岡林弘毅氏・高橋重臣氏に聞く

著者: 細木秀美 ,   岡林弘毅 ,   高橋重臣

ページ範囲:P.1136 - P.1138

 本誌では「Grouping & Network—ing」シリーズで全国各地の勉強会や研究会を紹介してきた(49〜50巻,1990〜91年).これらの会は現在でも各地でそれぞれ継続されているが,今回はこのシリーズで紹介しなかった高知市の若手病院長および診療所長の勉強会「二火会」を,当初からのメンバーである細木院長および岡林院長,高橋院長におうかがいした.

グラフ関連記事

超優良自治体病院,小牧市民病院の経営を支えているもの

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.1139 - P.1141

愛知県下最低の公立病院が今では超優良病院に
 病院経営の危機が叫ばれて久しい.平成4年度の調査では,自治体病院の6割強が赤字を計上,累積赤字は6,900億円にのぼるといった惨憺たる有り様.これまで健全経営のお手本のように言われてきた優良自治体病院の中からも,歯がこぼれていくように赤字に転落する病院が増えてきた.そんな中にあってひときわ目をひくのが小牧市民病院の健闘ぶりである.
 愛知県小牧市にある小牧市民病院が発足したのは1963年(昭和38年).愛知県厚生連の病院を買収し,一般101床,結核74床,伝染23床でスタートしている.その後1981年(昭和56年)に名古屋大学から,当時第2外科の助教授だった余語弘氏が院長として着任してくるまでは,一般病床をほぼ倍に増床したほか,結核病床を廃止,数科の増設はあったもののこれといった特色のない病院だった.むしろ悪名のほうは轟いていたようで,80年まで過去10年間連続赤字,人件費比率67%,病院あげてのサボタージュが横行し市がお荷物扱いする極めつきの不採算病院で,余語院長の言葉を借りると「医療面,経営面では愛知県下最低の公立病院と言われていた」そうである.

ケース・レポート

水不足—岡山県・重井病院での経験

著者: 重井博

ページ範囲:P.1142 - P.1144

 [編集室から]今夏の水不足は深刻でした.特に瀬戸内海地区・九州地区では病院の業務に様々な影響があったと伝えられています.入院患者の命を預かっている病院では1年365日1日24時間,一時たりとも活動を中断することは許されません.水不足に病院はどう対処したのか,その貴重な体験を,当編集室の質問に答えていただくという形で重井病院(岡山県倉敷市)に報告してもらいました.他院の危機管理という点で,他院の参考になる点が多々あるように思います.

連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第2回

大阪市立総合医療センター

著者: 坂部建司

ページ範囲:P.1145 - P.1151

はじめに
 大阪市制100周年記念事業の一環として建設された本医療センターは,大阪市の医療体制を再整備し高度医療に対応し得る市の基幹病院を目的とした総合病院である.大阪市には5つの市民病院と4つの専門病院の合わせて9つの医療施設があった.この内5つの医療施設を統廃合し,高度な総合医療機能を備え,さらに建築デザインやコンペティションによるアート,中庭や屋上の植栽などの導入による人間的空間を配慮した「インテリジェントホスピタル」である.
 敷地はJR大阪環状線「桜の宮」駅と地下鉄谷町線「都島」駅の中間の位置にあり,都島本通りに面した都心のほぼ平らな所にある。当センターは,病床数1,063床.標榜診療科目40科.年中24時間体制で市北部地域の救命救急の拠点の役割を担っている.急性期の患者を主体に癌・心疾患・脳血管疾患の3大疾患をはじめ,成人病医療を中心とした医療体制の充実を図ると共に小児医療やハイリスク周産期,及び感染症など様々な医療分野を本施設に集約している.

厚生行政展望

コーヒーブレーク拡大座談会'94—医療の質と保険制度—その行方は……

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.1152 - P.1157

十年ひと昔病院をめぐる状況は激変
 松田 厚生行政研究会の『病院』の連載は1985年の1月から始まりましたので,この12月で丸10年になります.それにしても10年前と今では病院をめぐる医療状況は随分変わりました.
 小泉 思えば,われわれが扱ってきたテーマというのはたくさんあったわけですが,そのなかには実際の行政の施策として実を結んできたのもあり,今後の課題として残されたものもありました.

病院管理相談コーナー・3

患者が満足する病院

著者: 星野桂子

ページ範囲:P.1158 - P.1160

 Q 「患者が満足する病院」は昨今の病院経営のキーワードになりつつある.しかし,どのようにして患者の満足を計測し評価すればよいのですか.

国際化と病院 私たちの病院での取り組み(最終回)

国際協力は病院の活力源の1つ—第46回保健文化賞を受賞した聖マリア病院の活動

著者: 井手義雄

ページ範囲:P.1162 - P.1164

はじめに
 高齢化社会の到来に伴う近年の厚生行政の急激なる変革の嵐は,病院経営の根幹を揺るがす大きな問題となっている.また病院を取り巻く地域の人口構造の変化,価値観の多様化,情報化,国際化等,個々の病院での急速なる対応が求められている.
 聖マリア病院では,国際医療協力を病院運営の1つの柱として1981年以来活動を展開してきた.その取り組みについて報告する.

MSWの相談窓口から

安らぎの住みか探し

著者: 片岡千都子

ページ範囲:P.1165 - P.1165

 医療相談室は,病院と地域との接点にある.そして,医療ソーシャルワーカーは,「病気や障害を持ちながらいかに生活するか」の部分で,患者・家族と関わりを持つ.
 いろんな人生と出会い,共に一喜一憂の日々である.

老健Now・12(最終回)

老健施設は,これからも進化する

著者: 小山秀夫

ページ範囲:P.1166 - P.1167

 この連載が掲載されてからの約1年半は,老健施設にとっても,老健施設制度にとっても重要な時期であった.制度が本格実施されてから丸5年は老健施設の普及啓蒙の時代であり,平成5年度からは,サービスの質の時代を迎えた.なぜならば,5年度から「特別養護老人ホーム・老人保健施設のサービス評価事業」が開始され,6年4月と10月に施設療養費の改定があったからである.サービス評価とケアプランの策定は,質の向上のためのひとつの道具であり,これらを普及させることが求められた.さらに,老健施設を在宅シフト化し,病院や診療所,老人ホームや介護支援センター,訪問看護ステーションや市町村と連携し,望ましい在宅ケア体制を確立する必要もあった.そのためには,老健施設が日々進化し,地域における老人ケアの有効で効率的な社会資源にならなければならない.

事務長の業務を考える・12

「バランス」をとること

著者: 大江唯之

ページ範囲:P.1168 - P.1168

 古い言葉で申し訳ないのですが「院長と事務長とは車の両輪である」とか「院長は船長で事務長は機関長だ」と言われてきましたが,要は診療面は院長で,経営管理面は事務長が担当するということです.私はこの世の中に存在するものすべては,数値(数字と表現する方が良いのか?)とプラス・マイナス(陰陽,増減)よりなっていると考えております.これはあながち企業経営の世界だけの問題ではありません.それなのに医療の世界では,何か数字の追求でもすると汚いとか,はしたないとかを通り越して,一種のアレルギーがあるようです.しかし現在はこの風潮は医療職の「エゴ」として片付けられ通用しなくなったようです.「財務を制する者は企業を制す」という格言がありますが,医療機関といえどもそれに近づいて来たようです.
 私は数字程有益で大切で正直なものはないと思っています.何故ならば我々が住む世界の森羅万象すべての状態が一口で言い表せるからです.そこで事務長と数字の関係ですがとにかく「常識的な数字」を記憶することです.数字には「理論を積み上げた根拠」や「プロセス」があります.数字は「生き物」です.「リズム」もあります.「季節変動」もあります.こういうことを理解して病院の内外を問わず仕事をしておりますと「何故?」という疑問に必ずぶち当たる筈です.「常識的」でない,「バランス」が取れていないと直感的に読みとるのです.

病院管理フォーラム

[病院関連サービス]聖路加サービスセンターの事業(4)—売店運営・[その4]

著者: 石山稔 ,   春木浩子

ページ範囲:P.1169 - P.1169

 入院・外来患者さんに,より快適な生活を送って頂けるよう,介護用品に関する業務も行っております.患者さんのニーズが多様化しているため商品を常時陳列しておくことは不可能なため,多少のサンプル商品とパンフレット,カタログを展示しております.パンフレット商品はサービスセンターにてご購入いただきますが,カタログ商品については,直接ご連絡いただいてお買い求めいただけます(サービスセンターには紹介手数料がはいります).もちろんサービスセンターにてのご購入も可能です.カタログだけでは決めかねるという方,商品を直接ご覧になりたい方には,ショールームをご紹介します.介護用品全般,ベッド中心の2社ですが,聖路加サービスセンターより徒歩(ベッド中心業者),あるいは車でわずか5分(介護用品全般業者)の立地条件にあるので,患者さんも一緒に実際に見て,試して選択していただけます.

医学ごよみ

12月—December 師走

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.1171 - P.1171

□12月10日ダイナマイトの発明者
 ノーベル(Alfred B.Nobel,1833〜1896)の命日で,スウェーデンのストックホルムで毎年ノーベル賞の各賞が授与されている.
 ノーベルは1833年10月21日にストックホルムに生まれた.父親イマニュエル(Immanuel)は有名な発明家で,息子のアルフレッドに多大な影響を与えている.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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