文献詳細
文献概要
特集 揺れる基準看護
緩和ケア病棟の看護—患者1.5人に一人の看護婦は何をしているのか
著者: 金井昱子1 中山好枝2 丸口ミサヱ3
所属機関: 1救世軍清瀬病院 2救世軍清瀬病院ホスピス病棟 3国立がんセンター東病院緩和ケア病棟
ページ範囲:P.343 - P.349
文献購入ページに移動はじめに
近年,医療法の改正をはじめ,医療の変革を促す諸施策が次々と施行される中,所属病院の存亡をかけた模索が始められている.緩和ケア病棟の承認を受けると1人1日当たり,3万円の入院料(定額支給)が入るため,その魅力に食指が動くのか,問い合せが結構あると聞く.「積極的延命治療はないが,病状緩和にかける注射・処置の費用が馬鹿にならない」「看護婦の質が問われ人件費が大変」「チーム医療の中で霊的ケア(精神的ケア)が必要」などと現状を話すと,必ずしも美味しい話ではないとわかり,うちでは出来ないとあっさり結論を出すところもあるらしい.
日本にホスピスが紹介されたのが1978年.そのプログラムがスタートしたのが淀川キリスト教病院であり,施設第1号は聖隷三方原病院であった.先駆者として不採算と無理解な多難な時期を経て10年,地道な活動が認められ,1990年4月,厚生省は緩和ケア病棟のガイドラインに基づき,3つの施設を認可した(但し,そのうち国立療養所松戸病院は92年に国立がんセンター東病院に改組).1994年2月までに12施設が認められ(表1),ホスピスプログラムを展開している病院は30施設余となっている.
掲載誌情報