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雑誌目次

雑誌文献

病院53巻5号

1994年05月発行

雑誌目次

特集 キャピタル・コストの確保をめぐって

〔座談会〕キャピタル・コストをめぐる政策と民間病院

著者: 宮坂雄平 ,   古畑正 ,   小島比登志 ,   河北博文

ページ範囲:P.418 - P.424

 河北 本年は4月に診療報酬の改定が行われました.一部は10月1日に実施される改定の部分もございますけれども,この診療報酬の改定の主な部分は,医師の技術料を中心に,その費用弁済ということです.それに対して病院の施設設備関係,たとえば減価償却費あるいは金利負担がキャピタル・コストの一部と言われているわけですけれども,そういった費用が診療報酬改定でどう取り扱われているのか.さらには,キャピタル・コストは単年度で動くお金ではなくて,設備に関しては6年とか,施設ですと,法定耐用年数は47年ということで,非常に長い期間経費として存在するものです.そういったものを今後どう位置づけていくか,ということを中心にお話しいただきたいと思います.

求められる社会資本整備

著者: 本間正明 ,   跡田直澄

ページ範囲:P.425 - P.427

社会資本整備の遅れ
 80年代の前半から中期にかけて,政府の財政再建がそれなりの成果をあげたことは確かである.しかし,このような財政再建路線のあおりをうけて,社会資本整備という資源配分上の機能を80年代の財政は十分に果たすことが出来なかった.公共投資の対GNP比率はピーク時には10%近くにも達していたのに,80年代後半には6%台にまで低下した.この公共投資の相対的低落は,80年代後半の旺盛な民間投資比率を大幅に下落させた.
 この下落は,高齢化社会の本格的な到来が予想されるわが国にとって,きわめて重要な意味を持っている.現在では依然として高い貯蓄率を誇るわが国であるが,高齢化社会への移行に伴い急速に貯蓄率が低下するという指摘が多くの識者からなされている.この点を考慮すれば,高貯蓄を誇っている今こそ,豊かな高齢化社会を実現する準備として,国民の生活環境を向上させる下水道や鉄道網の整備などの従来型社会資本だけでなく,高齢者に質の高い医療・福祉サービスを提供できる病院,老人保健施設,特別養護老人ホームなどの新社会資本にも,その高貯蓄を代えておく必要がある.高い貯蓄率をこのような社会的インフラの整備に有効に生かす資源配分上の役割が,90年代中期の財政運営に求められていることになる.

資本コストをめぐる診療報酬体系

著者: 濃沼信夫

ページ範囲:P.428 - P.432

はじめに
 わが国の医療は,その財源の約9割が税金と保険料で賄われ,無限の持続的な経済成長を前提に,国民の健康と安心を保障してきた.昭和30年代半ばに,現在の診療報酬体系の原型である「新医療費体系」が確立され,国民皆保険が実現して以降,30年以上の長きにわたり,診療報酬の屋台骨は順風満帆の経済成長によって支えられてきたといえる.人口の高齢化,医療技術の進歩,国民の医療のニーズの増大などは,国家や国民の医療支出を大幅に増やすことなく,主に経済成長による国民所得の増加分,すなわち税金と保険料の増収分によって吸収されてきたのである.このため,これまでは経済成長に依存するという構造的な課題が顕在化しにくかったともいえる.
 しかし,わが国の経済成長はここにきて急激に失速し,将来はマイナス成長にもなりかねない厳しい時代を迎えている.このため,国民所得の伸びの範囲でしか増加の望めない医療財源の課題が一気に深刻化している.しかし,財源の積み増しや新たな財源をにわかに求めることはできず,経済の浮き沈みによらず加速度をもって進行する医療ニーズの増大と,財源の凅渇とのミスマッチによって,医療機関の経営基盤は大きく揺らいでいる.

病院への融資の現状

著者: 山口和英

ページ範囲:P.434 - P.436

 高齢化社会の到来に備えて,医療をめぐる環境は大きく変化している.療養型病床群の制度化といった医療施設の体系化が進む中,一方では病院の経営環境が厳しくなっていることが指摘され,民間病院の多くが今後の病院運営に大きな不安を抱いているのが現状のようである.
 このような状況の中で,病院の施設整備が今後どのように進むのか,いくつかの資料をもとに述べることとする.

病院の施設および設備投資に対する税制—キャピタル・コストとの関連等について

著者: 田中重代

ページ範囲:P.437 - P.439

病院とキャピタル・コスト認識
 私人による医療事業としてのあるべき社会性を整えたものが医療法人組織である.その制度を定めた医療法第41条に,「医療法人はその業務を行うに必要な資産を有しなければならない」と規定されているように,病院は医療サービスを提供するための資産の保有を自前でなすべきことを前提にしている.医療事業を行う法人として,事業遂行のための必要な施設の確保を,法人格附与の必須の要件としたことは,法制上頷ける措置としても,保有を義務づけた背景は何か.日本的風土に根ざす家業としての伝統と,自由開業医制が自然の姿として受けとめられる.医は仁術との思想に立つ医業の非営利の理念とも相まって,企業としての概念や事業意識が薄く,殊にその中における資本の調達,施設面にかかる原価意識・キャピタル・コストへの認識はきわめて稀薄であったと考えられる.
 医療費支払いの社会化は保険制度の徹底で進められてきたが,医療供給面での社会化は放置されてきた.私人の善意に依存し,結果的に特定の資産提供者の負担によって運営されている一面をもっている.

諸外国における病院施設整備に関する制度

著者: 川渕孝一

ページ範囲:P.440 - P.443

 病院の資本的費用について,諸外国はどう手当てしているのだろうか.
 病院のキャピタル・コストをどう手当てするかは,その国の医療制度によって随分異なる.本稿では,数カ国(米国,ドイツ,英国)の先進諸国の病院施設整備に関する制度を概観した後,その中で最近制度を大きく変更した米国に絞って,議論を進めることにする.なお,詳しくは,老人保健事業推進費の助成を得て,先進諸国の診療報酬制度や医療費支払方法についてまとめた「欧米諸国の診療報酬」中に記されているので,興味のある方は参照されたい.

グラフ

老人病院から出発,医療・福祉の包括的サービスを志向する—医療法人渓仁会グループ

ページ範囲:P.409 - P.414

Sさんの笑顔を引きだした札幌市手稲区の地域ボランティア活動
 浦河町で暮らしていたSさん(現在57歳)は4年前の交通事故で夫と長男を失い,同乗していた自分にも左半身麻痺,歩行障害の後遺症が残った.病院を退院後,札幌に住む息子夫婦と同居.しかし,共働きの夫婦が朝出勤したあと,子どもたちを保育園から連れて戻ってくる夕方まで,Sさんはマンションの自室で独りだけの時間を送らなければならなかった.事故のショックに加え,不自由な身体で友人もいない札幌での不慣れな生活.2年半つづいたそんな生活に転機が訪れたのは,Sさんが手稲区役所にかけた電話がきっかけだった.
 区報で電動ベッドのレンタルモニターを募集する記事が目にとまり区役所に連絡したところ,訪ねてきた保健婦がSさんに,話し相手となる在宅ボランティアの派遣を提案,月1回の保健婦の訪問と,昨年9月22日からはボランティアによる週1回の訪問が始まった.事故や自分の障害を受け入れられないまま悶々とした日を送っていたSさんは,訪問を開始した当初涙もろく,人生を後ろ向きにとらえる姿勢が目立った.しかし,ボランティア3人がチームを組み訪問を重ねていくにつれて明るさを取り戻し始め,この頃では,以前には滅多に見せなかった笑顔も見られるようになった.

第20回日本診療録管理学会会長 国立呉病院名誉院長 大村一郎氏

著者: 野崎公敏 ,   八木保

ページ範囲:P.416 - P.416

 大村先生の御専門は神経内科学である.昭和38年に大阪大学第二内科を経て国立呉病院に赴任され,当時原因不明であったスモンと遭遇された.患者のカルテをみてみると,どの患者にもキノホルムが投与されていることに医師としての重い責任を痛感され,以後一貫してスモン患者の方達を支援されることとなる.
 キノホルムが投与されたことを証明するためにはカルテが整備保存されている必要があった.このようなこともあって,先生は診療記録の保存の重要性に早くから着目された.国立呉病院が患者一人一番号一カルテ方式を取り入れたのは昭和44年で,これは全国的にも最も早い部類に属する.同じシステムで保管されているX線写真とともに病院の貴重な財産となっていて,臨床研究に活用されているのはいうまでもない.

主張

民間病院のキャピタル・コスト

著者:

ページ範囲:P.417 - P.417

 平成6年の社会保険診療報酬の改定は,4月から3.3%,10月から1.5%,併せて4.8%で決定した.従来に無い変則改定であることは別にしても,実質2%台の改定である.前回平成4年4月改定も実質2.5%であった.改定は2年毎なので,平均としていえばこの4年間は即ち毎年1%強の増収以外は経営努力により収益を保つ以外に無いわけである.事実,平成4年改定は人件費重点の改定であったためか,大病院においては平均7%前後の増収であった.しかし医療経済実態調査では改定後更に経営が悪化していることを示している.もう病院医療は今までと同じスケールで,今までと同じパターンでは経営が日増しに困難になると覚悟しなければならない.
 このような医療をめぐる情勢の中で建物設備の改築を迫られている病院の今後はどうなるであろうか.公立病院においてはほとんどの場合,他会計の補助金を当てにした増改築が行われ,しかも固定資産税等の負担もない.民間病院の改築に際しては建築に要する資金に加えて消費税,取得税,固定資産税等も当然負担しなければならない.最近比較的経営の安定している民間中小病院の経営実態調査を個人的に行ってみた.総収益に占めるキャピタル・コストは平均おおむね10%前後であった.

現代病院長論

地域社会の中での病院のあるべき姿

著者: 藤沢正清

ページ範囲:P.444 - P.451

 私は昭和32年,金沢大学第1外科から福井県済生会病院に3か月の予定で派遣され,それ以来この病院で働いてきた.したがって,済生会病院以外は知らないし,病院経営についても専門的なことはほとんど知りません.ここでは,非常に厳しい経営状況のもとで,地域住民に慕われる病院づくりにひたすら励んできた経験談をお話します.
 済生会は正式には恩賜財団済生会といい公的病院ですが,その財政基盤は脆弱で,一般の民間病院同様に運営補助もほとんどありません.ただ,院長としては幸せだったのは,自主性が発揮できたこと,だれも助けてくれないので自分ですべてやらざるを得なかったこと,もう一つは,早くから福祉に力を入れ一所懸命にやってきたことです.こういったことでようやく地域の住民に愛されるようになったと思います.

特別寄稿

病院経営の実態と今後の対応

著者: 岸口繁

ページ範囲:P.452 - P.457

病院経営の実態
 今日病院の倒産がマスコミをにぎわせ,経営危機を噂される病院がわれわれの身近に珍しくない状況になっている.大阪でも卸問屋に薬代を払うのが困難という病院が,最近のデータで89病院もあると言われている.これらの病院はすべて私的病院であり,大阪の全病院626病院の14%,私的病院502病院の18%である.平成5年9月17日の全国公私病院連盟の「平成5年6月病院運営実態分析調査中間報告書」によると赤字病院80.4%,黒字病院19.6%となっており,平成4年6月の赤字病院73.1%,黒字病院26.9%に比べると大幅に赤字病院が増えている.赤字病院を開設者別に見ると,自治体病院91.6%,その他公的病院62.8%,私的病院63.1%となっている.また,平成5年6月の厚生省健康政策局の「病院経営緊急状況調査」では赤字病院は平成3年38.0%,平成4年38.6%となっている.病院経営の実態については各種のデータが発表されているが,公的助成のない民間病院においては経営合理化にも限界があるので,このような実態は切実な問題である.

研究と報告

大学病院等における院外処方せん発行の経済的評価に関する研究—「保険医療における医薬分業の評価に関する検討会」平成3年度調査報告書

著者: 大国真彦

ページ範囲:P.458 - P.465

はじめに
 わが国における医業分業は,昭和49年の処方せん料の大幅引上げ以来、徐々にではあるが着実に伸びている(図)1).これには永年に亘る日本薬剤師会による推進の努力と日本医師会および日本歯科医師会の理解と協力とともに,厚生省が医療分業の推進に積極的に取り組んできたことが大きく寄与している.例えば,厚生省は,国民(患者)に対する医薬分業への啓蒙に努めるとともに,薬剤師研修センターの設立や医薬品備蓄センターへの補助など医薬分業の基盤整備を図ってきた.また,管下の国立病院(37施設)に対して院外処方せんの発行促進を指示している.これらに加えて処方せん料の引上げや,医薬分業を支える調剤技術の評価など診療報酬の面からの対策も取られている.一方,医薬分業が院内投薬よりもトータルとして医療費がかかることも事実である.投薬内容により異なるが,例えば,気管支炎・咳に対し抗生剤・解熱鎮痛薬等を1週間処方した場合は,院内外で約1,700円の差が認められている(表1).保険医療の考え方の基本は,「良質な医療の効率的な供給」とされているが,医薬分業がこれに値するのかどうかが本検討会の検討課題である.
 一般的には,医業分業のメリットは次のように説明されている.

集中治療施設の医療経済—現場で働く医師の医療経済に関する認識

著者: 岩﨑康孝 ,   黒澤尚 ,   岩崎榮 ,   辺見弘 ,   高野照夫

ページ範囲:P.466 - P.469

はじめに
 医療費全体が高騰し,今や医療経済は国民的問題である1,2).その中で,集中治療(以下IC)の医療費について言及されることが多くなっている.ICでは他の領域に比べ,高額医療になることが多いからである.すでに米国では外傷センターなどの集中治療施設の多くが,経済的問題から閉鎖されている3,4).医療施設の適切な運営上,医師の経済的意識の持つ意味はきわめて大きい.
 それは,大きく2つの側面を持っている.

医療サービスの交換プロセスの分析—病院経営論的視点から

著者: 中島明彦

ページ範囲:P.470 - P.473

はじめに
 医療サービスのマーケティングを考える場合,その前提として医療サービスにはどんな特性があるのかを分析しておくことが必要である.我々はこの論文で医療サービスの交換プロセスの分析を行うことにより,医療サービスの特性を新しい視点から明らかにしたい.
 その前提として我々は次の2つの基礎的問題を検討したが,詳細は誌面の制約から別の機会に譲る.その第1はマーケティング理論で一般に言われてきた顧客概念(顧客=患者)の見直しである.我々は「消費者とは現在または将来治療やケアを必要とする人々すなわち地域住民,顧客とは現在または将来治療やケアが必要となったときに,当病院に受診しようと思っている人々,すなわち病院のシンパ(新しい中間概念=従来のマーケティングで言う潜在顧客)である」と定義した.病院では潜在顧客の顧客化が重要なのではなく,消費者の潜在顧客化が重要なのである.では患者はなにかと言えば「顧客の代表・モニターである」と我々は考えた.消費者(地域住民)は情報の蓄積により病院の顧客(シンパ)となり,治療が必要になると顧客のモニター(患者)となって病院で受診する.ドラッカー(1987)によれば事業とは顧客の創造であると言うが,これを医療サービスに当てはめてみると,従来のように患者を顧客と考えれば,顧客の創造は患者を作り出すということになってしまう.

退院計画 病院に求められる新しい機能・7(最終回)

諸外国における動向と日本における課題

著者: 手島陸久

ページ範囲:P.474 - P.478

はじめに
 1993年8月号より,これまで6回にわたって,「退院計画」に関する連載を行ってきた.今回はまず,これまで触れられなかった米国以外での退院計画の動向を紹介する.そして,病院ソーシャルワーカー(以下SW)の各病院における実践からの第2〜6回の報告を踏まえ,今後の日本で退院計画を推進していく上での課題について,整理を行いたい.
 なお,英語の場合,個々の患者への退院に関する援助計画(Discharge Plan)と,それを保障するための病院全体としてのプロセスあるいはプログラム(Discharge Planning)が区別されているが,翻訳ではどちらも「退院計画」という同一の言葉が使われていることが多い.混同を避けるために,以下では個別の‘Discharge Plan’については「(退院に関する)援助計画」,その計画に基づく具体的な援助をさす場合には「退院援助」とし,病院全体としてのプログラムをさす場合「退院計画プログラム」という用語を用いることにする.

建築と設備・95

病棟の「水まわり」考

著者: 西野範夫

ページ範囲:P.479 - P.483

病棟20年間のうつろい
 日本の病院も施設面でのレベルが随分上った,欧米に比べても遜色がなくなった,という話をよく聞く.しかし,大体において「病棟以外は」というただし書きがついている.とくに起債をたよりにして建設される多くの公立病院では,「基準面積」によって病床当たりの総面績が規制されており,どうしても診療部門が優先される傾向のあおりを喰って,病棟はつめられ,なかなか豊かなものにならなかった(平成5年度より病院事業債取扱要領で基準面積はなく,数値上の制限はなくなっているが,基準に準じた指導が行われている).しかし,入院患者に豊かな生活を指向する社会の需要に応じた改善が行われて来ている.図1は千葉県がんセンターの病棟階の平面図である.開院後18年を経て各部門の大改造と増築が行われた.新病棟では旧に対し以下の改善がなされた.
 ①多床室は4人室 ②個室率をあげる ③デールーム,食堂を設ける ④個室はすべてトイレつきとす る ⑤病室には旧も洗面器が設けら れているが,新ではさらに中央 に洗面所を設ける ⑥車椅子用便所を設ける ⑦通常の浴室以外に介助浴室を 設ける ⑧MRSA等の汚染防止のため手 洗器を要所に設ける

事務長の業務を考える・5

事務長が考えこむ時

著者: 緒方廣市

ページ範囲:P.484 - P.484

医師の管理的職務
 「事務長さん,人工心肺装置の技師養成に反対するつもりはないが,人工透析センターの臨床工学技士をもっていかれるのは絶対に困るので,別の臨床工学技士にして貰えないだろうか」と人工透析担当の腎臓内科部長から話があった.「そのことについては十分考えました.人工透析に携わっている4人の臨床工学技士の中でも目立つ存在であることも聞き及んでいます.しかしこれから臨床工学技士グループを一つにまとめたい方針という視点から彼に白羽の矢が立ちました.いずれにしても当院のMEセンター(中央機器管理室として昭和48年にスタートした.可能な限り医療材器類を中央に保管させ,保守点検を日常的に行い機器の寿命を延ばし,いつでも安心して使える,その上電話でのオーダーで各現場への出前,それも24時間体制での対応,その他大きなメリットとして医療機器の適正数保有と効率的運用など,既に日本病院会学会において数回に亘り発表済み)にも臨床工学技士が2名おり,人工透析室とMEセンターをリンクして透析業務に支障のないようにしますから御心配なく」ということで実施され,現在持に支障は起きていない(MEセンターは事務長直轄で透析室には派遣という形をとっている).
 病院というファンクショナル組織体系では交叉した指示系統を否定することはできないが,守備範囲を超えると組織が機能を果たせなくなる恐れが生じる.

厚生行政展望

MRSAと情報公開

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.485 - P.487

はじめに
 厚生省は新年度の院内感染対策(MRSA対策)を発表した.主な柱は,自動手指消毒器設置のための国立病院,民間病院等への補助,個室整備の補助,院内感染対策の実施,施設内相談窓口の設置等である.4月の診療報酬点数改定でもMRSA関連で認められたのは細菌薬剤感受性検査の引き上げとブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子同定検査の新設のみである.MRSAの社会問題は鎮静化したように思われるが,今回は,MRSAが病院医療に投げかけた問題を検討することにする.

動き出した療養型病床群・5

全国で初めて「完全型」の承認を受けた—(財)竹田綜合病院附属芦ノ牧温泉病院

著者: 宮沢登

ページ範囲:P.488 - P.489

当院の概要
 当院は会津若松市(人口約12万人)の郊外,市の中心から車で30分ほどのところにある芦ノ牧温泉郷に立地している.温泉と静かな自然環境に恵まれた当地に,財団法人竹田綜合病院に附属するリハビリテーション専門病院として当院が設立されたのは昭和61年のことである.特別養護老人ホーム「芦ノ牧ホーム」(定員80名,昭和55年開設)が隣接しているが,これも系列の社会福祉法人の運営によるものである.
 当院の病床数は120床,診療科目は内科,理学療法科,歯科の3科で構成されている.

病院管理フォーラム

[病院の委託業務]検査業務

著者: 塚田慎吾

ページ範囲:P.490 - P.491

プランチ・ラボ方式
 医療機関における臨床検査業務は,医師の診断・治療について科学的な根拠に基づく裏付けとして最も重要な業務であることは周知の通りである.
 病院における臨床検査業務は,従来より直営で実施し,特殊の検査でその件数も少なく,しかも試薬が高価なものについて外部に委託をするという方法をとってきたものである.

MSWの相談窓口から

生活の場と医療の場の狭間で

著者: 森山正治

ページ範囲:P.492 - P.492

 われらの病院も一部が特3類に転換しベッドの回転,早期退院はますます重要な課題になってきている.相談室には日々「退院援助」のオーダーが入る.在宅資源の乏しい現在MSWにとって施設は頼みの綱.福祉サービスの基本は経済と場の保障だが,対象者に見合った場としての施設の確保は,イコール生活の保障であるだけにその意味は重い.ただ病院側からみた福祉施設には主に医療と介護の点に不安がある.以下例をあげながら医療と福祉という観点から施設の現状を考えてみたい.

医学ごよみ

5月—May 皐月

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.493 - P.493

 今月も医学史上に重大な発見をした人に関して三つ述べる.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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