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特集 院内感染対策は万全か
感染防止モニタリングシステムの構築を目指して—システムの概要から、感染防止に役立つ設備・機器の紹介まで
著者: 野本亀久雄1 鈴木達夫2
所属機関: 1九州大学生体防御医学研究所免疫学部門 2北里研究所医療環境科学センター
ページ範囲:P.552 - P.565
文献購入ページに移動システム開発の基本的視点
外来性の微生物や自己由来の異物的成分を処理し,個体の恒常性を維持するしくみは,原始的な食細胞や進化した免疫を含むものであり,筆者は生体防御機構として全体像を構築することを提唱してきた.病院に代表される医療環境は,感染症にかかっている人々がさまざまな微生物を持ち込む場であり,同時に何らかの病気のためあるいは強力な治療の副作用として,生体防御機構に機能不全をおこしている人々が集合する場でもある.一般生活環境よりもはるかに多い種類の微生物が大量に存在し,これらの微生物にかかりやすい人々が多数集まる場として病院を位置づけすることが必要である.
このような必然的な条件から,(病)院内感染症を絶滅することは不可能であり,現代科学のベストをつくした最低のレベルに病院内の微生物汚染度を封じ込めつづけることが対策のポイントとなる.汚染度が許容限界以下に封じ込められていることを経常的に保障するモニタリングシステムが要求され,一方では科学的データーにもとづく許容限界の設定が要求される.
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