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雑誌目次

雑誌文献

病院53巻9号

1994年09月発行

雑誌目次

特集 効果的な会議

病院において各種会議はどう活かされるべきか

著者: 北川定謙

ページ範囲:P.800 - P.803

はじめに
 今回,「効果的な会議」という特集の中で,「病院において各種会議はどう活かされるべきか」というテーマを項戴した.
 私は病院務めの経験がないから無理であると,一度はお断りをしたのであるが,それは承知の上のこととの編集担当からのお話で,お引き受けすることとした.

公的病院における会議

著者: 松島松翠

ページ範囲:P.804 - P.807

はじめに
 病院は,カンファレンスをはじめ,各職場や部署のミーテイング,役職者会議など,会議の多い職場である.しかも,それらの会議の多くは,ワンマンショーよろしく,特定の人の発言に終始することが多いといわれる.また会議が多いため,日時も出席者も重複することもあるし,会議が多いためにかえって日常業務に差し支えるという矛盾も生じてきている.会議をある程度整理をしたいと誰しもが思っているのだが,それがなかなかうまくいかない.他の企業に比べれば,病院は随分無駄なことをやっている面が多いと思われるが,これには会議の持ち方や進め方も関係している.
 公的病院の場合,内部会議だけでなく,外部との会議も必要になる.行政,農協(私どもの場合),地域の団体,住民代表などと会議も定期的に持たなくてはならない.病院の公的な性格からいってそれは当然なのだが,ともすれば形式的になる恐れもある.

医療法人病院に求められる会議

著者: 岩本光存欣

ページ範囲:P.808 - P.811

医療法人を取り巻く医療状況
 「医療法人病院に求められる会議」について書くようにとの要請を受けたのだが,遅々として筆が進まず編集担当者に大変迷惑をかけてしまった.大変申し訳なく思っている.
 いい訳にもならないだろうが,ことほどさように,この表題は私にとって難しいものであった.効果的な会議を開いて職員の叡智を結集し,勤労意欲を鼓舞して氷河期にあると言われている医療法人経営の難問を乗り切りたいのは山々である.しかし,それが出来ない所に民間病院経営者たる院長の悩みがあるのではないだろうか.

病院を活性化する委員会

著者: 依田忠雄

ページ範囲:P.812 - P.815

はじめに
 わが国の医療制度は大きな曲がり角に来ており,国は着々と21世紀にも通用する医療体系を構築し,それに対応する施策を行っている現在である.すなわち,量的拡充から質的向上,急性疾患の対応から慢性疾患への対応,超高齢化等,医療・福祉と保健を包括した診療報酬体系も見直されている.これを総括し,数年来の医療費抑制の厳しさに輪をかけて,我々病院は,生き残りのための手だてを好むと好まざるとにかかわらず,とらざるを得ない.
 60%の病院は赤字経営と言われる.病院経営は単に院長,副院長,事務部長だけに委ねられてよいものではない.組織は個人を生かすものでなければならないし,個人は組織の歯車の一要素であることを自覚してもらわなければならない.その上で初めて,組織をあげての成果があると思われる.

[座談会]会議は踊る

著者: 高久史麿 ,   冨田信也 ,   井部俊子 ,   紀伊國献三

ページ範囲:P.816 - P.822

 紀伊國 今月号の『病院』の特集は「効果的な会議」です,病院と学校ほど会議の多いところはないと言われております.果たして本当に効果的な会議が行われているのか,反省と皮肉の意味も込めて,「会議は踊る」というテーマにしました.実際に病院の運営と管理に携わっておられる3人の方々をお招きして,お話をお伺いしようと思っています.
 高久先生は東京大学の医学部長もおやりになった.自治医大の創立にも関与されました.現在は国立国際医療センターの総長というお立場から「会議は踊る」というテーマで何をまず思い浮かべられますか.

当院における効果的な会議

国立病院の会議

著者: 寺本成美

ページ範囲:P.823 - P.824

はじめに
 病院の潤滑な運営上,各病院は各種の多様な会議を持っているのは周知のことである.この会議が病院運営上効果があるとの信念を持ち,会議が開催されているのも事実であろう.しかし果たしてそうであろうか.一部の幹部職員の自己満足的な会議になっていないか.病院の組織の末端まで会議の内容が伝達されているのか.この情報過多の時代に情報を整理する代わりに混乱させるための情報を流しているに過ぎない会議も多くあるに違いない.また,「会議」をどう定義するかも問題である.3人以上が集まる会を会議というか,委員会というか,あるいはミーティングというか.日本人にとっては「会議」はフォーマルの意味が強く,「ミーティング」はややインフォーマルな,あるいは小グループの集まり的なとらえ方が強いのではないか.これらの点をふまえ効果的な会議について以下検討してみる.

公的病院の会議

著者: 奈良昌治

ページ範囲:P.825 - P.827

 当院は北関東の栃木県の第2の都市,人口17万人の足利市の中心にある610床の総合病院です.足利赤十字病院以外に,周辺には大きな国公立私立の病院が無く,公立病院の代わりとして,一次救急から周辺市町村を含めた輪番制二次救急,さらに高次の救急医療まで担当しています.この地域は両毛地域といって群馬県にまたがる独自の生活圏を形成しており人口は約60万になります.足利赤十字病院は両毛地域で設備的にも人的にも最大の基幹病院として機能し,地域住民の信頼を受けています.20の診療科を標榜,医師68名,薬剤師20名,看護婦350名,放射線技師16名,検査技師31名,事務職員75名,全職員数680名の大所帯です.また内科学会,外科学会などの各学会の認定教育病院を引き受け,複数の大学医学部の研修病院として研修医を受け入れていますので,私どもは診療2,教育2,研究1と言う心づもりで運営しています.
 したがって病院経営上の会議はもちろん,各診療科で必然的に診療,教育,研究の領域の会議もかなりの数を開催する必要があります.

特定医療法人病院の会議

著者: 竹内實

ページ範囲:P.827 - P.828

 当院は内科,外科,整形外科を標榜する90床のどちらかというと小規模病院である.2病棟基準看護特2類,正職員76名,パート職員42名が在籍している.各部所の常勤,非常勤数は表1の通りである.近い将来周辺の医師を包括する開放型病院の申請を準備中であり,実現すると病診連携の医師十数人がこれに加わることとなる.

民間中小病院の会議

著者: 矢野勇人

ページ範囲:P.828 - P.829

 当院における管理者会議が効果的かどうかは疑問であるが,現状を報告させて頂きます.当病院は昭和63年1月14日開業した100床の中小病院であり循環器科,内科,整形外科,眼科を診療している.

社会福祉法人病院の会議

著者: 高砂子裕平

ページ範囲:P.829 - P.831

当センターの概要
 当センターの経営母体である岩手愛児会は昭和32年に創立された.
 運営は一貫して「先駆的・開拓的・実験的」志向のもと,医療(病院)と生活指導(施設)と教育(県立養護学校)の三本柱を中心に行ってきた.

民間大病院の会議

著者: 西村昭男

ページ範囲:P.831 - P.834

はじめに
 組織の運営・管理については,その形態,規模,機能,特性によって望ましい姿も多様である.
 ワンマン独裁型は,トップの頭脳が組織の頭脳となる例で,実質的な会議は不要である.しかし,少しでも協同的な色彩の組織にあっては,何らかの会議が必要であり,会議が組織の頭脳として役割を担うことになる.この場合,トップはいわば組織頭脳という捉え方になる.

グラフ

地域包括医療体制づくりに向けて始動—山形県小国町立病院

ページ範囲:P.791 - P.796

 「院長がじっくり腰を落ち着けてこの町で地域医療に取り組んでくれると言明されましたので,本格的な活動が展開できると期待しています」とJR小国町駅まで出迎えの斎藤事務長が私たちに紹介される.
 阿部院長は平成3年に山形大学第2内科教室からの派遣という形で院長に就任した.小国町立病院はこれまで院長を含め医師は山形大学医局の人事に依存してきている.阿部院長が就任したころは外来機能と入院機能のみの病院で,「老人が多い病院だなあ」という印象が強かったという.そのような状況のもとで,地域医療に取り組んでいこうという土壌は醸成されてこなかったようだ.

地域医療に献身26年—第22回医療功労賞を受賞 香川県・三豊総合病院 今井正信院長

著者: 坪井修平 ,   八木保

ページ範囲:P.798 - P.798

 今井先生は26年にわたる香川県西讃地区の地域医療の実践を高く評価され,本年3月に医療功労者として顕彰されました(読売新聞社主催).
 昭和34年,岡山大学医学部卒業後,第1内科教室へ入局,循環器病学を専攻されました.昭和43年に郷里の三豊病院が学園紛争の余波を受けて崩壊寸前となると,講師の座を捨て故郷に献身することを決意されました.学生時代にサッカーで鍛えられたバイタリティと明るさで,職員や地域医師会,病院当局者の理解と協力を取り付けられました.さらに老朽化した212床の病院の建て直しが始まり,沈滞していた病院に活気が漲り,昭和46年に新病棟が落成して,260床,職員162名,医局員11名の病院となりました.

主張

介護と病院

著者:

ページ範囲:P.799 - P.799

 高齢化の進展はこれまでにも病院医療に深刻な影響を与えてきたが,最近に至って社会保障の基本的な枠組をも変える課題として介護の問題が浮上してきた.すなわち,従来の年金と医療に加えて,介護のための保障制度を導入しようとする動きである.一般の傷病のリスクと要介護のリスクは確かに様相が異なっている.従来はこれらをすべて医療とみなして対応してきたのであるが,救命・治療の医療の論理にそぐわない部分も少なくなかったと言える.介護保障制度の導入によってこのような矛盾が少しでも解消されるのであれば,病院の立場からもこれらの動きに十分な関心を持って見守る必要がある.
 介護という負担が発生した時,通常まず家族によって支えられるが,場合によってはかなりの部分が病院によって対応されてきた.これは特例老人病院に限らず,一般の病院においても社会的な要因で入院を継続する事例は少なくなかったことは今さら言うまでもない.これは患者も家族も病院に入院するという形を希望し,病院も保険診療の枠の中で比較的容易に受け入れが可能であったことによる.一般的には医学的管理のある介護はむしろ望ましいと言わなければならないが,医療の論理で介護に対応する矛盾や在院日数の長期化などにより,病院医療はその機能や経営基盤などに大きな影響を受けたことは紛れもない事実である.

特別寄稿

戦後精神医療を語る・3

著者: 計見一雄

ページ範囲:P.835 - P.839

討論 戦後精神医療をめぐって
 計見 お2人の先生に大変熱のこもったお話をいただきました.「近ごろの若いもんもなんですが,古いもんもなんですなあ」という矢沢永吉のコマーシャルがありますが,私も含め3人の古い者と会場の若い人たちとの討論に入ります.活発なご発言を歓迎します.討論が活発化しないと,壇上が「若いもん」であるということになります.

研究と報告

第3木曜日休診—患者サービスと職員の労務管理

著者: 佐藤太一郎 ,   中江良之 ,   廣瀬武 ,   小林正則 ,   石川好文 ,   神田和美

ページ範囲:P.840 - P.843

当院の概要
 我々医療人は患者サービスをモットーとしていることは当然である.しかし,現在のごとき厳しい医療経営の前に,その理想も鈍りがちである.それに加えて医療労働者の労務管理や職員の充足と質の向上をはかる必要性にも迫られている.月1回の病院休診日を設けて,問題解決の糸口にしたいと考えた.

中小病院における印刷物の管理—費用をかけずに経済効率を高める工夫

著者: 松山文治

ページ範囲:P.844 - P.846

はじめに
 病院で使用される物品の中で,小量多品種の代表はおそらく印刷物であろう.しかしながら個々の印刷物は制作単価が小さいので,多分どこでも各部門任せか,事務部門で機械的に処理しているのが現状ではなかろうか.
 当院でも印刷物の購入総額は年間3,000万円程度で,消耗品の中ではそれほど目立たない物であった.

MSWの相談窓口から 老いの行く末・2

看取る側と看取られる側の深淵今昔

著者: 川端庸貴

ページ範囲:P.847 - P.847

昔話の中の老人達
 むかし,むかし,あるところに,おじいさんとおばあさんがすんでおりました.……そして,幸せに暮らしましたとさ.めでたしめでたし.
 日本の昔話に出てくる“老人の行く末”を描いた『親捨山』『舌切り雀』『三枚の札コ』は,私たちに何を訴えているのだろうか?

建築と設備・99

大阪市立大学医学部附属病院

著者: 久保田秀男 ,   小北武 ,   藤記真

ページ範囲:P.848 - P.856

 本病院は,既存施設の老朽化および発展を続ける現代医療に対応すべく,大阪市制100周年記念事業の一環として,大正14年に建設された旧本館の跡地に現地建替えとして計画された.敷地は,JR天王寺駅の西約800mの位置にあり,開発が進む阿倍野再開発地区に隣接する都心型大型高層病院である.
 1980年に建替委員会が設置されて以来,長年にわたる検討と設計を経て,診療が継続され多くの患者さんが往来する中を,工期約41か月をもって,1992年10月に完成した.

病院管理相談コーナー・1

看護支援システムの導入

著者: 星野桂子

ページ範囲:P.857 - P.859

 Q 最近いくつかの病院で看護支援システムが導入されると聞いております.看護支援システムとはどのようなシステムでしょうか.また,このシステム導入で経営的メリットはあるのでしょうか.

厚生行政展望

「ソリブジン」問題と臨床治験の在り方

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.860 - P.862

はじめに
 抗ウイルス剤「ソリブジン」問題は,臨床治験,がん告知,インフォームド・コンセント,大学医局の在り方等に一石を投じた.
 薬はもともと危険なものである.それを十分管理し,文明の利器として定着させてきたのが医師であり,医師は危険物管理のプロのはずである.それなのに今回の事件が起きてしまった.現在の医師には危険物管理者としての自覚がないのだろうか.それとも医療システムの問題なのだろうか.今回は臨床治験の在り方を中心に検討を行う.

事務長の業務を考える・9

税務調査と事務長の役割

著者: 萩田強

ページ範囲:P.863 - P.863

 最近は,民間病院でも赤字の病院の割合が年々増加しているが,民間病院の場合は,黒字であればそのほとんどの病院が,法人税あるいは所得税を課せられている.税金を払っている民間病院と,税金を払っていない公的病院とでは,経営を考えていく上で大きな差があるといわれているが,当然民間の場合は,病院に限らず税金を考えないで経営は成り立たない.
 民間の小病院でも今日では,病院会計準則に則って経理処理がなされているところが多いと思うが,まだ一部には経理事務については,会計事務所などに任せている病院もあるように聞く.中規模以上の病院では当たり前のことであるが,小病院でも病院の中に,経理,税務に関してある程度の専門知識をもったものがいる必要があると思う.

看護業務善事例集

武蔵野赤十字病院の取り組み(1)—整形外科病棟で,限られた条件の中で業務改善を行つて

著者: 吉田和子 ,   織田幸恵 ,   増子ひさ江

ページ範囲:P.864 - P.867

はじめに
 看護管理の目的は,質的にも量的にも十分な看護を効果的に行うことである.
 近年,看護婦の人材不足が深刻な問題となっているが,限られた人的条件の中で,いかに効果的で効率的な看護をめざすかが管理上重要である.管理機能の本質は促進機能(やる気をおこさせる)であるともいわれている.やる気を起こさせるためには,自己のもつ能力が十分に発揮できるような環境づくりが必要と考える.

医学ごよみ

9月—September 長月

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.869 - P.869

□4日 ギプス包帯法創始者
 骨折のさいに四肢や身体の一部を固定させるためにギプス包帯を行うが,オランダの軍医Antonius Math-ijsen (1803〜1878)が1852年に初めてこの包帯法を発表した(Mathij-senは恐らく「マティユセン」と読むのだろうか).ギプス包帯法は彼の著書が1854年にフランス語に翻訳されて以降,次第にヨーロッパ中に普及していった.
 マティユセンは1803年9月4日にオランダのブーデル(Budel)に生まれた.ドイツのギーゼン(Giesen)大学を1837年に卒業し,オランダの軍医となった.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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