icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院54巻12号

1995年12月発行

文献概要

医療技術革新の展望とこれからの医療政策—ヒト遺伝子研究の意味するもの

障害の受容,死の受容

著者: 広井良典1

所属機関: 1社会保険大学校

ページ範囲:P.1178 - P.1182

文献購入ページに移動
 本連載では,1年間にわたり,ヒト遺伝子研究のもつさまざまな意味について議論してきた.最後に,私たちがここまで遺伝子をめぐる多様な問題について述べてきたことの全体を受けとめていく場合の基本的な哲学について考えてみたい.
 すでにみたように,高齢化の急速な進展や慢性疾患への疾病構造の変化を背景として,現代の医療においては,看護や介護など「ケア」的な部分の比重や重要性がきわめて大きくなっており,これに関連する動きとして,過度の専門分化の見直し,在宅ケアの拡大,末期医療における緩和ケアといった方向が新しい形で追求されている.一方,医療技術そのものについては,メディカル・エレクトロニクスのさらなる展開や,近年における生命科学の飛躍的展開を基盤として,技術革新がさらに加速しているという状況がある.すなわち,こうして「ケアの比重の増大」と「医療技術のいっそうの高度化」という,一見異質なベクトルがく同時進行〉しているのが,現代の医療の特徴である.これは言い換えれば,先にふれた「生活モデル」と「医療モデル」それぞれの新しい展開と拮抗である.こうした状況の全体を,私たちはどのような視点で捉えていけばよいのだろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら