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雑誌目次

雑誌文献

病院54巻3号

1995年03月発行

雑誌目次

特集 薬価と病院経営

薬価差益の病院経営に及ぼす影響

著者: 米田啓二

ページ範囲:P.234 - P.238

薬価差益とその由来
 薬価差益とは,略して薬価差とも言われるが,医療機関が保険者に薬剤費の支払いを請求する価格(薬価基準価格)と実際に卸売業者等から医薬品を購入する価格の差益のことを指して言う言葉である.この差益は,およそ1兆3,000億円,国民1人当たり年間に直すと1万円の計算になると言われ,薬価差益縮小の必要性が説かれている.しかし,反面この差益は,現に医療機関の経営に大きく寄与しているので単なる縮小のみでは,医療機関にとって大きな混乱を巻き起こすことは必至であり,対応は簡単ではない.
 わが国では江戸時代より前から医師は薬師(くすし)と呼ばれ,医師の治療と投薬は一体のものと一般には考えられ,治療費は薬代として患者に請求される場合が多かった.昭和2年健康保険発足の頃は,医療機関は,一般に診療券の名義でそれぞれ有効期間と金額を決め,その技術差に応じていわば普通の初診・再診の診療料を先取りしていた.その頃の健康保険による患者数は,中流以下の労働者を対象としていた関係もあり,全体の1割程度に過ぎなく,医師の収入に対する影響も少なく,医師は「医は仁術」の立場から診察料は無料で薬の実費を頂くという傾向も多かったという.したがって,保険の医療費の配分が府県毎に人頭請負方式で始まった経緯があり,医療費の配分が薬本位,物本位の配分でその後推移していた.

薬価は妥当か—製薬会社の利益

著者: 梶原優

ページ範囲:P.239 - P.241

病院の経営が公私ともに苦しい
 私は,ここ数年,国,公,私を問わず,明るく希望に満ちた,そして21世紀の国民医療に誇りと夢をもっている病院経営者や,病院管理者の顔を見たことがありません.皆一様に,現在の病院をどう維持していくかに必死であり,日夜悩んでいるのが現実であります.また理想に燃え,21世紀に対応できる病院を建設した方は,あとに残された負債や,膨大な公的起債,また,運営するためのコストの負担の大きさに,日々苦しんでいるのが現実であります.
 平成6年9月26日付け日経新聞に,94年度,厚生省推計によれば,国民医療費総額で25兆7千3百億用,1人当たり20万円を突破,総額の伸び5.9%,「4年連続国民所得を超す」とセンセーショナルに報道されました.しかしながら世界との比較で,国民医療費が国民所得に比して西欧が8%なのに対して,日本は5%であることは書かれていません.新聞紙上では「超高齢化が進行するから,これからも医療費がどんどん膨らんでいくのですよ」と読者に訴えているのです.その裏には,「このままいくと国民の皆様の負担が大きくなりますよ,だから出来るかぎり抑制しなければなりません」と訴えているし,それ以前の10年間は国民所得の伸びより平均して,国民医療費が低く押さえられていたことは書かれていません.

建値制の現状と問題点—21世紀を見据えた流通改革論議を

著者: 水巻中正

ページ範囲:P.242 - P.245

建値制が業界に与えたインパクト
 新しい薬価算定方式として総量加重平均値に一定の価格幅を上乗せする方式が採用されて,早4年目を迎える.上乗せ幅は1992年に15%,94年に13%,96年に11%,98年に10%と段階的に縮小,この後も取引価格の状況をみながら見直すというものだが,医療機関,医薬品卸業界からは制度の是正を求める動きや,製薬メーカーの高仕切価設定への不満が噴出している.
 「卸間競争の激化で価格は急落,卸は潰滅的状況にある」「メーカーの一人勝ち.このままでは病院経営が苦しくなって倒産が続出する」.中小メーカー,弱小卸をも巻き込み,各業界,機関の戦いは当分収まりそうもない状況だ.

卸業界からみた流通制度の問題点

著者: 後藤基隆

ページ範囲:P.246 - P.249

はじめに
 現在医薬品卸業界は,昨年当(社)日本医薬品卸業連合会(以下「卸連」という)がまとめた本年3月期決算通期予想によると,売上微増大幅減益となり,近年にない厳しい経営環境下の只中にある.流通を担う卸業界に何が起こっているのであろうか.
 本稿では,標題のテーマについてまず平成4年4月以降,医療用医薬品において薬価差の縮小を段階的に行うための新薬価算定方式の導入と,値引補償制度を廃止し新仕切価制への移行を中心とした流通近代化を車の両輪として推し進めることになった流通制度改革を述べ,次に,当卸連が進めている流通改善の動きや流通の問題点を指摘していきたい.

製薬企業の立場からみた薬価

著者: 尾藤猛

ページ範囲:P.250 - P.253

はじめに
 最近の国民医療費は,対前年比で5.9%(平成3年),7.6%(平成4年)と伸びているが,これに比して医薬品生産額は,1.8%(平成3年),−2.2%(平成4年),2.2%(平成5年)と低成長であり,GNPに占める割合も,それぞれの年で1.24%,1.20%,1.21%と相対的に低下傾向にある.
 平成5年の医薬品生産額は,約5兆7千億円であるが,このうち84.6%の4兆8千億円が医師を通じて使用される医療用医薬品であり,これらのほとんどは薬価基準に収載されて健康保険制度で使用されている.医療用医薬品は,薬価基準に収載されていない限り健康保険で使用することが出来ず,薬価基準制度のあり方が,好むと好まざるとにかかわらず,製薬企業の経営にとって死命を制するものとなっている.

わが国における後発品の現状と将来

著者: 鉄谷保彦 ,   上能伊公雄

ページ範囲:P.254 - P.258

はじめに
 厚生省の諮問機関である「21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会」では平成4年10月以来10回にわたって協議が行われ,その最終報告が平成5年5月に提出された.その最終報告書の中でいわゆる「後発品」についての事項が明記されている.その中で「後発医薬品のあり方等」という項目を立て,後発品の有効活用について,またその問題点などを提起している.この報告書は,医薬品の適正使用の推進を前提に,後発品の有効活用とそのための条件整備について初めて言及されたもので,画期的な報告であるといえる.このような「後発医薬品」に対する薬務行政の動きは何が狙いなのか.
 それは,本格的な高齢化社会を迎えるにあたって,膨大にふくれあがる医療費の抑制策の一環として,これら安価な後発医薬品を有効に活用し,薬剤費を抑制させるためにほかならない.日本では財源不足から,医療費抑制の動きが顕著である.特に医薬品は,薬価の引き下げなどで,医療費抑制策のターゲットとして注目されている.このような時流の中で,安価な後発医薬品を有効に活用させようという動きが出てきてもおかしくないのである.

製造物責任(PL)法とこれからの医療

著者: 泉陽子 ,   上家和子 ,   松本恒雄

ページ範囲:P.259 - P.265

 1994年6月22日,製造物責任法が国会で成立した.20年以上に亘り,消費者,製造者,学界,行政の間でさまざまな思惑にもまれ続けた法律が成立したのである.
 とはいえ,読者の多くにはおそらく,「製造物責任(PL)法」(以下「PL法」)という名は記憶にあっても,その内容は馴染みの薄いものであろう.巷で,「猫を電子レンジに」云々の浅薄な話が未だにまことしやかに語られているのも現実ではある.

グラフ

医療・保健・福祉の一体化に向けて—京都府・国保久美浜病院

ページ範囲:P.225 - P.230

 京都駅からJR山陰線特急で約2時間半で兵庫県の豊岡駅に到着する.豊岡で北近畿タンゴ鉄道に乗り換え約15分で久美浜駅に到着する.
 久美浜町の人口は1万3千人弱,高齢化率も25%を超えており(65歳以上の高齢者は25.6%,1995年1月31日現在),過疎化と高齢化が進行し,高齢化対策は緊急の課題となっている.国保久美浜病院はこの町の高齢化対策の中核的役割が期待されている.

日本赤十字社医療センターで三度目の病院長を務める 森岡恭彦氏

著者: 萬年徹

ページ範囲:P.232 - P.232

 森岡院長は大学以来の友達なので,私は彼の人となりを比較的よく心得ている者の一人として,人物紹介をすることになったのであろう.同級生も官職にあるものはほとんど停年となった.国立大学医学部の停年教授は,教授であった故を以て,適,不適を問わず院長として天下る,だから病院は赤字に苦しむことになると世間では喧しい.漱石ではないが,とかくこの世は住みにくい.
 それは兎も角,65歳までの間に3回病院長を経験する人物はなかなか珍しい.森岡君は現職中に東大の病院長をやり,停年後に関東労災病院,次いで日赤医療センターの院長を経験している.院長は部屋でハンコを押していればそれで務まるのだ,などのたわ言はさて置き,彼は自治医大の時は,病院の基本構想を練り上げて自治医大の臨床教育の何たるかを決定づけた.東大病院では患者さんに対するサービスを改善すべく積極的に働いた.関東労災では任期の短かったこともあり,また私も自分のことに追われていたのでよく知らぬ.

主張

病院経営者のさらなる意識改革を

著者:

ページ範囲:P.233 - P.233

 「とにかく,今回の診療報酬の改定は全く経営に反映していない.」「厚生省は,一体何を考えているのか分からない.」「病院の消費税をどうするのか!」と,最近の病院経営者の言動は激しさを増すばかりである.たしかに,医療経営実態調査に示された最近の病院経営は,急激な悪化を辿っており,病院経営者は将来の展望を全く描けないでいる.過去,診療報酬のアップのみを信仰して経営を行ってきた病院経営者にとっては,上記の如き言動は当然と思われる.
 ところで,最近のわが国経済界に目を向けてみると,数年前の「我が世の春」とばかりのバブル経済崩壊後の経済不況は,企業のありとあらゆる分野におけるリストラを徹底させ,原価の逓減を少しずつ可能とさせてきた.昨今では「価格破壊」という言葉すら聞かれるようになり,わが国経済界の底力には身震いを感じるほどである.

現代病院長論

三流病院長のぼやき

著者: 中山耕作

ページ範囲:P.266 - P.273

 病院長として30年間やってきたこと,考えてきたことをお話したいと思います.30年間の経験を通して言えることは,病院長はその人の持ち味を生かしてゆくしかないということです.
 さて,私どもの病院は社会福祉法人の田舎の貧乏病院で,「三流」病院の「三流院長」のぼやきとしてお聞き取りいただきたいし,ご参考になれば幸いです.一流院長は生まれつきの名院長.カリスマ的な存在で先見性とチャレンジ精神が旺盛で,何をやってもすべてに成功する.二流院長はすべてをスマートに処理され,病院経営もすこぶる順調です.私のような三流院長は周囲に支えられ,経験と勘だけで泥臭く何とかこなしている.人間は非常に単純で,試行錯誤を繰り返している.しかし,職員が一流ならば院長は三流でもいいのだと思います.

特別企画 高齢者のケア・1

高齢者ケアプラン方式—開発の経緯と今後の可能性

著者: 池上直己

ページ範囲:P.274 - P.280

はじめに
 高齢社会の到来に対応するために様々な施策が矢継ぎ早に提示されてきた.1989年のゴールドプラン,1990年の入院医療管理料,1993年の訪問看護ステーション等に引き続き,1997年には「介護保険」の導入も予定されている.このような動きの基底にあるのは,急性医療に照準を置いた医学・看護学モデルではなく,また措置制度による弱者救済という福祉モデルでもない,新たな「長期ケア」モデルの模索であるといえよう.
 長期ケア(long-term care)は,「身体的,精神的障害があるために継続的に援助を必要とする人々に対して提供される様々な医療と社会サービスである.サービスは施設,在宅,地域のいずれでも提供することができ,家族や友人によるインフォーマルなサービスも含まれる」というようにアメリカの医学研究所(lnstitute of Medicine)は定義している1).すなわち,長期ケアでは急性医療のように「治癒(キュア)」によって完結せず,サービス提供に継続性が求められている点に特徴がある.

研究と報告

きぬ医師会病院におけるMRSAの現状と検出症例の背景

著者: 陶山時彦

ページ範囲:P.281 - P.289

はじめに
 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcusaureus:以下MRSAと略)は,ペニシリン耐性ブドウ球菌用にメチシリンが開発された翌年の1961年にすでに英国で報告されている1)が,わが国では1980年代から臨床上問題となっていた2).さらに1990年代になり新聞・週刊誌等にて社会的問題として取り上げられるに至り,患者のみならず病院職員からもMRSAに対する恐怖や不安が聞かれるようになった.またMRSAが検出されたという理由だけで,転院や老人ホームへの入所が断られることも経験するようになった3).しかしMRSAに対する対応は各病院まちまちで行われており7),平成4年にようやく厚生省からガイドラインが示された8)ものの十分とは言い難い.
 筆者はこのような状況で,平成3年1月よりきぬ医師会病院の感染対策に関わる機会を得た.当初は全くの手探りの状況であったが,最近はMRSAが収束に向かっているとは言えないまでも感染対策業務は軌道に乗りつつある.そこでMRSA対策のためにこれまで行ってきたサーベイランスのうち,鼻腔と環境中のMRSA,および培養検体からみたMRSAの推移と検出症例の背景につき,その評価と若干の考察を加えてここに報告する.

連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第5回

精神保健総合センター2題—埼玉県立精神保健総合センター/滋賀県立精神保健総合センター

著者: 天野良和 ,   暦利徹

ページ範囲:P.290 - P.297

埼玉県立精神保健総合センター
はじめに
 埼玉県立精神保健総合センターは,精神保健センター部門,診療部門,社会復帰部門の3部門で構成された複合施設であり,地域医療機関と連携を図りつつ,包活的な精神保健活動を行うことを目的としている.
 運用に当たっては,診療部門,社会復帰部門を利用する患者は医師からの紹介制とし,特に社会復帰部門に関しては,訓練終了後のケアの連続性を考慮して利用申し込みの窓口を保健所としている

医療技術革新の展望とこれからの医療政策—ヒト遺伝子研究の意味するもの

ヒトゲノム・プロジェクトとアメリカの医学研究政策

著者: 広井良典

ページ範囲:P.298 - P.301

ヒトゲノム・プロジェクトの背景
その“アメリカ的”文脈(承前)
②第2期(1966〜1982年)増加の鈍化の時代;医学研究への疑義と「がん十字軍」をめぐる攻防
 前回述べたように,第2次大戦後の時期にアメリカの医学研究予算は飛躍的な増加を示したが,60年代に入った頃から,予算当局や議会のなかにはそうした大幅な研究予算を今後とも増大させ続けていくこと,とりわけそうした研究支出への見返り,すなわち医学研究の具体的な成果に対し疑念を抱く者が現れるようになった.加えて,前回も触れたように地滑り的勝利で大統領になった民主党のジョンソンは,これまで医学研究分野に連邦政府は大幅な投資を行ってきたが,そろそろその成果が具体的に国民に還元されるべき時期であり,そうでないのであれば,政府より直接的な形で国民の医療へのアクセスを高めるような政策を進めていくべきだ,との態度を示すようになる.そのひとつの現れが1965年に法制化された地域医療プログラムであり,そのひとつの眼目は,医学研究の成果を中心的な研究機関から地域の医療施設へと迅速に拡散・普及させることにあった.

厚生行政展望

阪神・淡路大震災の初動

著者: 厚生行政研究会

ページ範囲:P.302 - P.304

 今回の阪神・淡路大震災(以下,阪神大震災)では,医療活動のピークはほとんどが初日であったと聞いている.重傷者は災害現場近くの医療機関に集中し,周辺では比較的軽症の患者があふれた.被災地の中心部を除き,病院がごった返したのは初日だけのようであった.重症患者が大阪方面の救急専門施設にスムーズに搬送されるようになったのは2日目からである.いかに初動が大切かが問われている.行政の対応の遅れを見て憤る人も多かったと思う.なぜ,初動があれほど遅れたのか.今回は近い将来,その発生が危惧されている「南関東地域震災」時に今回の教訓が生かされるかについて検討を行いたい.現在一生懸命頑張っている担当者には申し訳ないが,災害時の初動について分析することにする.

病院管理フォーラム

[病院図書室]病院図書室の文献検索—CD-ROMとオンライン検索

著者: 奥出麻里

ページ範囲:P.305 - P.307

文献検索がなぜ必要か
 今日,医学分野に限らず,情報が氾濫し,情報過多の時代といわれています.情報の波に押し流されず,さまざまな問題を解決するための方法を身につけることが,若い頃から望まれている時代でもあります.ことに医学文献情報の増加は著しく,医学関連領域の雑誌の数は2万誌とも3万誌ともいわれています.
 有名なMEDLINE (メドラィン)データベースをとってみても図1のように増加し,1966年から現在までの文献数は750万件以上にのぼります.これらをやみくもに探してもとうてい必要十分な文献を入手することはできません.「生命」にかかわる医療関係者にとって必要不可欠なものも多々あり,忙しい日々のなかで,できるだけ短い時間で必要な文献を効率的に探したいところです.
 そこで2次資料の検索が不可欠になります.

[放射線設備・機器管理Q&A]エックス線一般撮影装置および透視装置

著者: 諸澄邦彦

ページ範囲:P.308 - P.309

 医療における放射線防護関係法令は,医療法施行規則以外に,障防法,電離則,人事院規則等があることは1月号で述べた通りである.しかしながら,エックス線装置のみを用いている施設でも,障防法の適用を受けると考えている医療機関がある.エックス線装置と放射性医薬品(RI医薬品)のみならば,障防法の適用を受けないことを再度確認していただきたい.同様に,放射線業務に従事する作業者を雇用する国立以外の医療機関は電離則が適用され,国立の医療機関では人事院規則が適用される.
 医療法における放射線管理体系は,規則の第4章に規定されており,第1節および第4節の規定は,医療法第17条に基づく管理者の遵守すべき事項,また第2節および第3節の規定は医療法第23条に基づいて定められた構造設備の基準である.

[外国人医療費の未収金]東京都における「外国人未払い医療費補てん制度」について

著者: 斎藤実

ページ範囲:P.310 - P.311

外国人未払い医療費補てん制度がスタート
 今日の東京は,政治・経済・情報・文化等の世界的な活動の拠点都市として,国際社会から大きな期待を寄せられています.一方,地域社会では,多彩な外国人が急増するとともに,外国人をめぐるさまざまな問題に直面しています.
 東京都では,平成6年4月,「東京都国際政策懇談会」(座長:大河原良雄)から,「21世紀を展望した東京都の国際交流,国際協力,地域社会の国際化等のあり方について」の報告のなかで,不法就労者などの医療の確保に努める必要がある,との提言を受けました(表1).

病院管理相談コーナー・5

病棟内に食堂を設けたいが……

著者: 筧淳夫

ページ範囲:P.312 - P.313

 Q 平成6年10月から新設された食堂加算を利用して,病棟内に食堂を設けようと考えていますが,その条件はどのようになっていますか.また改修にはどの程度の費用がかかるのでしょうか.

病院の少子化対策

倉敷中央病院における小児科の現状と対策

著者: 田中陸男

ページ範囲:P.314 - P.315

はじめに
 筆者が倉敷中央病院小児科の責任者となったのは昭和49年(1974年)である.その頃の岡山県の年間出生数は,まだ増加傾向にあった(図1).ところが,1975年の30,102人をピークに1993年には18,348人にまで減少した.18年間に約4割(39%)も減少したことになる.この20年間の当科運営上の対策は2つに分かれる.前半の対策は,基幹病院の小児科として高度医療を目指すこと,後半は,その上に少子化時代に要請される医療を加味すること,であった.

データ・ファイル

平成4年度国民健康保険医療費マップ

著者: 厚生省保険局調査課

ページ範囲:P.316 - P.317

1.実績医療費
 平成4年度の国保被保係者1人当たり医療費の実績値は全国平均で251千円(表1).
 1)都道府県別

MSWの相談窓口から

共に生きる国際ネットワークを—外国人医療の体験から

著者: 西山保五郎

ページ範囲:P.318 - P.318

切迫早産の外国人
 94年3月,切迫早産の妊婦が救急人院してきた.妊婦は,韓国釜山市から出稼ぎにきたRさん.
 A市のスナックで働いていた.観光ビザ入国,いわゆる資格外滞在の「外国人」である.

医学ごよみ

3月—March 彌生

著者: 木村專太郎

ページ範囲:P.319 - P.319

□3日 ビタミンDを分離
 米国の代表的な栄養学者であるマッカラム(Elmer V.McCollum,1879〜1967)が,カンサス州フォート・スコット(Ft.Scott)に生まれた日である.
 南極大陸には,ビタミン学の先駆者である5人の科学者の名前が付けられた地名がある.「高木岬」,「エイクマン岬」,「フンク氷河」,「ホプキンス氷河」そして「マッカラム峰」である.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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